集団的自衛権は憲法解釈の範囲を超えているだろう。

 憲法のどの条文をどう読んでも『集団的自衛権』を容認する、とは解釈できないだろう。もちろん普通の国として友好国が攻撃されていて助けられる立場にある日本が一切手を貸さず見捨てるのは心情として忍びない。
 しかし国家の法の根幹をなす憲法で交戦権を禁じている以上、集団的自衛権の発動は憲法に反しているだろう。ただ自衛隊は個々人に於いても刃物を持って攻撃して来る通り魔に対して自身の身もを守る『防御』は当然の権利として認められている。いわゆる個々人における『正当防衛』は国家においても明文化しないまでも国家として存在している以上攻撃してくる相手国に対して国家と国民を守るのは当然であって、現憲法下でも認められているというのが存立根拠だ。

 しかし防衛の戦闘以外で、友好国が攻撃されているから自衛隊が交戦相手国を日本の敵とみなして攻撃するというのは『正当防衛』の範囲を逸脱している。義を見てせざるは勇無きなり、という言葉が胸に突き刺さるが、しかし憲法規定を蔑ろにすることの方が国家にとって損失は甚大だ。
 法に基づくのが法治国家で、法は憲法によって規定されている。憲法を逸脱した法を国会が圧倒的多数で決議しても、それは憲法違反であって、最高裁判所の『違憲立法審査権』により違憲判断されるものとみなすべきだろう。

 日本が世界で普通の国になるには憲法を改正し、軍備を明文化して自衛隊をいつまでも日陰の立場に置かず、そして独立国家として友好国と同一歩調を取って共通の敵国に対して攻撃できるようにしておくべきだ。
 現憲法下では韓国が北朝鮮に攻撃された場合、日本国内の基地から米軍が直接朝鮮半島の前線へ赴くことになるが、それは認められない。もちろん自衛隊も前線投入も後方支援も現憲法では認められない。それを逸脱すれば最高裁判所が違憲審査の上、執行停止などの行政処分を課すだろう。それをしないとしたら最高裁判所の司法権とは張り子のトラ以下で、あってなきが如きモノというしかない。それはマトモな独立国家のありようとは云えない。

 もちろん外国軍が首都圏にこれほど常駐している独立国は世界に日本だけだ。異常な事態が先の大戦以降ずっと続いていることも問題としなければならないだろう。クリミア半島にロシアの海軍基地の存続を旧ソ連以後も容認していたウクライナがどうなっているかを、明日は我が身として見ておくべきだ。
 米国が永遠に友好国だと思ってはならない。むしろこれまで日本の発展は米国によって大きく阻止されて来た。GHQによる東京裁判史観の日本国民に対する刷り込みプロパガンダの酷さは歴史がやがて公平に批判する日が来るだろう。日本の放った砲弾は悪いが、米軍の投下した焼夷弾や原爆は正義だ、というバカげた議論は今日的な似非・文化人の書生議論だ。そんな青臭い論理に絡め盗られているうちは日本は独立国家とは云い難い。

 交戦権を保持しない独立国家はあり得ないし、集団的自衛権のない交戦権もあり得ない。しかしあり得ない憲法が日本には存在する。だがしかし、世界的に照らし合わせて非常識な憲法だから無視して良い、解釈改憲で実際は違憲であろうと構わない、とはならない。憲法はあくまでも最高法規として存在する。
 安倍氏は姑息な解釈改憲に進むべきではなく、政権獲得以前に明言していた通りに憲法改正へと進むべきだ。そうしなければ世界は日本を言葉だけの憲法ですら蔑ろにする人治国家だと看做すだろう。日本の内・外に於いてその不利益は計り知れないものがあることを認識しておくべきだ。


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