「脱原発」が都知事選挙の争点でどこがいけないのか。

 都知事選挙の争点として「脱原発」はいかがなものかという論が全国紙に満ちている。本当に「脱原発」は都知事選の公約として見当外れでおかしいのだろうか。
 確かに東京に原発はない。ただただ莫大な電力を呑み込み、巨大なモンスターとなって電気エネルギーを消費しているだけだ。その限りでは安定的な電力供給のために地方へ原発を何基でも押しつけて電力を供給させる必要がある。

 しかし、そうした在り様はスマートでない。それのみならず放射能漏れ事故以後2年半以上も経った今も福一原発事故は収束していない。それどころか溶解しスルーしたウラン燃料が何処にあるのかすら明らかになっていない。福一原発は事故以降手付かずのまま、水を注入して冷却しているだけの状態なのだ。
 他の一ヶ所でも原発が放射能漏れ事故を起こせばこの国は終わってしまう、というのはあながち誇大妄想的な比喩ではない。福一原発は立地条件から年間を通じて偏西風の風が吹いているため放射能の大半が太平洋方面へと飛散している。それでも世界にとって迷惑至極なことなのだが、放射能汚染が地域限定的で日本を壊滅状態に陥れていないということでは不幸中の幸いだった。

 しかし、例えば福井県や新潟県などの原発が放射能漏れ事故を起こせば確実にこの国は終わってしまう。いかに東京が直接放射能被曝から免れたところで、関西圏や中部圏が深刻な放射能汚染に見舞われればこの国の経済のみならず国民生活が根底から根こそぎ奪われるのは福一原発で実証済みだ。
 いうまでもなく東京は日本の首都だ。その首都の知事選挙で「脱原発」が争点として有権者に問われるのは福一原発間接的な設置者である東京都民として至極当たり前のことだ。なぜなら福一原発を設置したのは東電であり、そこで発電した電力を消費していたのは東京だったからだ。

 安倍政権は先の衆・参国政選挙で「脱原発」らしき振る舞いをしていた。しかし、それは選挙の争点から「脱原発」を外す戦略でしかなかったことが原発推進機関「原子力規制委員会」の福一原発事故を津波被害に限定したことから明らかだ。
 安倍政権は原子炉直下に活断層があるか否かの判定に原発再稼働の条件化して、原発事故の深刻さを矮小化した。それは地球規模の放射能汚染を招いた国家の首相としてとても原発と取り組む真摯な態度とは云えない。世界を放射能汚染の恐怖を与えた国の首相なら即時「脱原発」を宣言して、国家総動員で福一原発の放射能漏れを抑え込む作業に当たるべきではないだろうか。なぜ放射能物質除去装置アルプスが信じられないほどのロウテクな技術的原因により稼働停止に追い込まれているのだろうか。

 「脱原発」を明確にすることにより自然再生エネルギー開発に本腰が入る。都知事候補が「脱原発」を掲げることにより未来が開ける。日本の経済成長は電力発電の自由化により自然再生エネルギー発電装置の競い合いが激化することにより果たされる部分が大きくなるだろう。
 未来に禍根を残す原発輸出よりも、自然再生エネルギー発電装置を世界へ輸出する方がどれほど現地国民から感謝されるだろうか。「脱原発」は未来への扉を開く公約だ。都知事候補は未来へのプランを競い合うべきだ。


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