政府はクロダ・バズーカの効果を経済に取り込め。

 クロダ・バズーカが止まらない。日銀黒田総裁が安倍氏の意向を受けて壊れた蛇口のようにエンをジャブジャブに金融市場に垂れ流し続けている。昨日も講演で黒田氏は「日本景気リスクがあるなら今後も金融緩和を続ける」と述べた。
 それで一段と円安が進み一時対ドル103円台になった。安倍氏が金融緩和で円安を実現し、輸出産業を元気づけて日本の景気回復の原動力にしようと目論んだのがアベノミクスの論理だった。確かに円安は進み輸出産業は好決算へと業績を上方修正している。

 しかし国内景気を持ち上げるには個人所得の回復がなければならない。安倍氏はデフレ経済からの脱却を優先して物価上昇を歓迎しているが、経済成長なき物価上昇は単なる悪性インフレに過ぎない。
 この国のマスメディアは物価上昇が0.9%になっただとか、失業率が0.03ポイント改善しただとか報じて好況感を国民に浸透させようと躍起になっているが、報道機関の役目を逸脱しているといわなければならない。マスメディアが伝えるべきは物価上昇が需要が供給を上回る「実需」の増加に基づくものなのか、それとも円安に基づく基礎的な輸入物価の上昇に基づくものなのかを分析して伝えなければならない。

 物価上昇が景気改善による結果なのか、単なる基礎材の価格上昇によるものなのかによって国民生活は大きく異なる。残念ながら個人所得の増加はないまま、円安による原油価格上昇や小麦などの価格上昇による物価上昇が顕在化しているだけだ。つまり悪性インフレの前触れが現れていると見るべきだ。
 失業率の改善を報じる場合も、その内容を分析して報じなければ意味がない。現在の雇用の増加は公共事業の大盤振る舞いにより現場作業員が人手不足に陥っているものによる。だからアルバイトや季節作業員の募集が増加していることによる失業率改善であって、労働市場に占める正社員の雇用率は相変わらず低下の一途をたどっている。

 そして問題なのは現場作業員の時間単価が低下していることだ。公共事業は民間事業よりも時間単価は1.5倍以上も良いはずだが、元請けのゼネコンや下請けの建設業者などによる「中抜き」が横行していると考えなければならない。大盤振る舞いした公共事業が国民の可処分所得増加に作用しないで、建設業者の内部留保を増加させているだけに終わっているとしたら大問題だ。
 自民党的な政策は所詮自民党的に建設業者を肥え太らせ、国民に国債のツケを増税で回すことになっているだけのようだ。このままでは政策が息切れすると同時に景気の高揚感は去り、悪性インフレだけが残って国民の生活を苦しめることになりかねない。

 なぜ金融緩和と同時に中国などへ事業展開している企業をターゲットにしたUターン投資減税を大胆に実施しなかったのだろうか。去年の年末の時点で実施していれば今頃は雇用の増大と各地の閑散とした工業団地に明かりが灯り始めていたはずだ。
 堅調な円安により国内に事業基盤を移してもそれほど企業戦略に違いはなく、中国リスクがないだけ随分マシなはずだ。なぜ政府と日銀は投資減税とセットで金融緩和を実施しなかったのだろうか。安倍氏が黒田氏を日銀に送り込んで日銀にだけアベノミクスのリスクをなすりつけただけで安倍氏の政策は息切れを起こしそうだ。いよいよ来年はアベノミクスがアベノリスクに転調して国民生活を直撃しそうだ。その強烈な第一弾が消費税8%だ。アベノリスクに驚いた時は景気後退とインフレの進行という最悪の経済の幕開けとならなければ良いが。


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