TPP参加の問題は農産品非関税化どころではない。交渉の詳細を説明すべきだ。

 正規労働者の非正規化を許してはならない。昨今は「限定正社員」とか「地域限定正社員」とか称する非正規社員化することを政府はたくらんでいるようだ。
 それとTPPは関係ないようだが、そうではない。TPPが発効されると日本国内の労働者と企業との契約までも「非関税障壁」としてISD条項により提訴される可能性があるからだ。つまりTPP参加に向けて、日本国内の労働環境を米国化しようとする動きの一環だと思った方が良いだろう。

 TPP交渉で「非関税5品目死守も非関税化した場合を検討すべきだ」という西川発言により自民党内は揺れているという。農産品の非関税化は「絶対しない」と7月の参議院選挙で訴えていたにも拘らず、非関税化を検討すべきだとしているのは何事だろうか。
 しかしTPPに参加すれば当然こうしたことになるのは当初から分かっていたことではないだろうか。米国の穀物メジャーが虎視眈々と狙っているのは日本のコメだと解っていたはずだ。それを米国の自動車関税との取引で非関税化を阻止できると説明していたが、これまで日本が交渉で米国の押し付けを跳ね返したことがあっただろうか。

 米国社会は日本が理想として目指す社会だろうか。1%対99%の社会は貧困層が拡大した格差社会だ。日本も株主を第一に考える経営者を経済評論家が持て囃し、労働分配率を問題にしなくなって久しい。それが米国流だ。
 しかし日本はそうではなかった。労働者も経営者も同じ立場に立ち同じように働いていた。経営者が何億円もも年俸を手にすることなど論外だったが、米国流はそうではない。短期であれ利益を上げれば経営者は数億円もの年俸を手にしても許されるという考えが日本国内に蔓延し始めている。1%の者による恥知らずな99%の労働力搾取を問題視しない社会的観念が定着しつつある。それが問題だといわなければならない。

 下世話な関心を満足させる出し物がテレビや週刊誌などにあふれている。芸能人たちの豪邸を紹介したり年収を取り上げたりと、彼らが提供すべきはそうした話題ではなかったはずだ。芸能人はより質の高い芸能を国民に提供すべきだ。
 政治家に関しても彼らの個人的な事情を国民に提供するのがマスメディアの仕事ではないはずだ。どのような政治を行い、その結果としてどのようなことになるのかをマスメディアは国民に報せるべきだ。首相の女房が何をしようと、彼女は政治家ではない。そんなことを知ったとしても国民にとって何があるというのだろうか。

「安倍氏も米国のポチですよ」と説明すると、目を丸くする人がいる。彼は毅然としたスタンスを中・韓に対して取っているためタカ派だと思われているが、私はそうとは思わない。単に外交的に思慮分別を欠く不器用な政治家でしかないとしか思えない。
 そして対米では無節操な譲歩を重ねて日本の国益を著しく損じている。竹中氏を登用して米国の御用聞きに徹しているのが何よりの証拠だ。彼が活躍した小泉政権時代に何があったか、国民は知っているだろう。様々な構造改悪をしたことにより、日本社会は貧困層の拡大と更なる貧困化を経験したではないだろうか。しかしマスメディアは必死になった小泉氏を持ち上げ続けた。

 この国は何処へ向かおうとしているのか、TPP茶番劇・猿芝居騒動を冷静に眺めることが何よりも必要だ。


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