報道の自由が伝える側の自由だけで良いのか。

 来年四月から消費税が8%に決まっているかのような報道ばかりだが、さらに消費増税に対する国民の不満を地均ししているかのような内容ばかりなのにも驚く。消費増税が景気の足を引っ張るのは誰の目にも明らかだが、政府の云う景気対策が果たして効果のあるものなのか疑わしい。
 しかし景気対策と称する詳細なメニューも示さず、具体的な景気支えになる論理的な根拠も何も示していない。最悪なのは法人税率引き下げにより海外資本が国内にやって来る、もしくは国内資本が海外へ流出しなくなるなどというデマを大真面目な顔をして評論家と称する連中が唱えていることだ。

 法人税率が先進諸国の中で最も高いのは周知の通り米国だ。それでは米国へ外国資本が進出していないとでもいうのだろうか。中国や韓国は押しなべて世界平均値に近い25%前後だが、今も世界から中・韓へ資本がドッと流入しているだろうか。
 現実は反対だ。米国へは海外資本が今も流入し続けている。サムソンも韓国内を見捨てたかのように巨大自社ビルを米国内に建設している。翻って、中国や韓国から外資はどんどん撤退している。

 法人税率だけで投資家や企業家の投資行動を云々するのは愚かだ。他の社会的な要因の方が遥かに大きいことを考慮しなければならない。
 消費増税でこの国の消費税率が8%になれば、日本は世界で最高の消費税を生活必需品や医療費に課す国になる。万が一にも軽減税率なしに10%にするなどというのは狂気の沙汰だ。それは恰も「呼吸税」として酸素消費に対して生きている人間に税を課すのと同じことだ。食料品など生活必需品を売買するのは生存権そのものだ。それを侵害する権利が政府にあるわけがない。

 政治家やマスメディア関係者は少し頭を冷やして、冷静にこの国を眺めてみようではないか。報道する自由にどっぷり漬かって、マスメディアは政府の御用報道に勤しんでいるが、その政府の背後にいるのは官僚たちだ。官僚たちの構造的な利権に切り込まないで、国民の生存権に切り込む税制の普及に手を貸すなどという愚行をいつまで続けるつもりだろうか。
 世界比較を行うのなら、実際の例を以て世界比較をすべきだ。政府広報紙のようなこの国のマスメディアの報道姿勢にはウンザリだ。


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