シリア情勢に見る米国内のモンロー主義の高まりに日本は備えよ。

  反政府勢力に大量殺害化学兵器を使用したとして、オバマ大統領は強硬にシリア政権へ軍事制裁を行うべきだとして、国の内外で環境作りをしていた。しかし当初オバマ氏に同調していた欧州最大の同盟国英国が議会の反対にあって脱落し、欧州のもう一つのカギとなる国フランスは当初から軍事制裁に乗り気ではなかった。


 もちろん日本はオバマ氏に理解を示していたが軍事行動は日本国憲法の規制により米国とともに軍を中東へ派遣することは出来ない。当然のこと常任理事国の中国とロシアは反対していた。


 


 当初オバマ氏は米国単独でも限定的な軍事制裁をしようとしていたが、米国議会は「ノー」を突き付けた。それにより米国の軍事制裁はなくなったといえる。ただオバマ氏は名誉ある妥協として「シリア政府が化学兵器を国連機関にすべて引き渡すなら」という条件で振り上げていた拳を下ろした。


 米国の憲法規定では大統領権限でシリアに軍事制裁を科すことは出来た。しかしオバマ氏は議会の同意を得ることを優先した。つまり民主主義の仕組みからそれが国民の同意とみなすことが出来るからだ。


 


 これは日本の防衛に重大な意味を持つ。日米安保条約では米軍基地の攻撃など直接米国人の生命にかかわる事態の他の軍事行動は米国議会の同意を必要条件としている。つまり、尖閣諸島に中国が軍事進攻した場合、直ちに日本の自衛隊と米国海軍とが中国軍に対応する仕組みになっていないからだ。


 米軍の軍事行動を米国議会が承認しない限り、日本は単独で中国軍に対応せざるを得ないことになる。中東のイスラエルと国境を接するシリアへの軍事介入を思い止まった米国議会の対応を見る限り、その可能性が高いといわざるを得ない。


 


 戦後も一貫して軍需産業コングロマリットが国内に強い影響力を保持し続けて来た米国社会でも、相次ぐ戦争と芳しくない結果に米国民はウンザリとしている。もういい加減国外の紛争に口を出すのはよそうではないか、というモンロー主義が台頭している。


 それは米国の最大の理解・同盟国の英国でも顕著だ。果てしなくダラダラと続くテロ対策という殺戮の連鎖にウンザリしている。こうした状況は膨張主義を国是とし、近隣少数民族国を軍事侵攻してきた中国にとって、本格的に海洋進出を具体化するのに好都合だ。


 


 南シナ海の南沙諸島に軍事基地を強引に建設し、中国は実効支配しようと企んでいる。東シナ海でも尖閣諸島を手に入れれば太平洋への回路が開けるし、軍事的に台湾を孤立させるのにも効果的だ。どう考えても中国は尖閣諸島が欲しくてたまらないだろう。


 しかし、決してそれを許してはならない。シリアにですら軍事制裁を強行できないほど米国内に厭戦気分が高まっている現実を日本政府は直視するなら、日米安保条約があるから米軍が中国の尖閣への侵攻に対応してくれると考えるのは楽観的に過ぎるかもしれない。日本国民も日本の防衛について本格的に議論すべき時期に到っていると自覚すべきだ。


 


 いつまでも憲法9条があるから日本は平和だ、と能天気なあなた任せの安全幻想から脱却しなければ飛んでもない事態になりかねない。中国の狂気じみた膨張主義は現実に日本に迫る危機だと認識すべきだ。



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