政治家の理念のなさは政治家が政治家としての修行・涵養期間なしにバッジを付ける弊害だ。

  安倍政権下の自民党は派閥が息を吹き返して活発に活動しているという。元々派閥は中選挙区時代の遺物で、同一選挙区内で自民党の複数候補者が競うことからそれぞれ異なる派閥の応援を必要としたことから成立したものだ。


 現在の小選挙区制の選挙では派閥は成立しないはずだ。政党が一つの派閥として機能しなければ小選挙区では他の政党の候補者には勝てない。しかしそれでも派閥が復活しているというのは派閥のもう一つの機能・ポスト争いにあるのだろう。


 


 かつて自民党は派閥の存在が長期政権を可能にした。それは巨大与党の中で疑似的に政権交代を行うことで長期政権を可能にしていた。そのため大きく分けて自民党内には官僚出身の議員たちが主として構成する派閥と、大衆の支持を得て当選してくる議員たちが主として構成している派閥との間に基本的な政策の違いがあった。


 そうした疑似的な政権交代を可能にするため、自民党内では各派閥は研修会を開いて派閥の存在感を示すと同時に所属議員の資質を磨いていた。いや、候補者になる前に官僚出身議員は官僚として国の政策に行政面や政策立案面などから関わっていた。大衆の支持を得て当選してくる政治家たちは国会議員の秘書として長年「先生」の許で雑巾がけをして人脈や金脈を構築し、併せて「先生」から政治家としてのあり方を学んでいた。


 


 しかし現在は政治家になるもう一つ別の大きな流れがあるようだ。それは何であれ知名度を手に出来るテレビ出演という道がある。その手段が何であれ、お笑いタレントであれバラエティ番組の解説者であれオリンピック選手であれ、テレビに映ることで国民に広く名を知られることで民主主義選挙で大量の票を獲得できる、という手法で当選してくる人たちだ。それと残り一つの方法は世襲により親族の地盤を引き継ぐことだ。


 彼らは政治家としていかにあるべきかという修行や資質の涵養期間を経ることなく、突如として政界入りして来る人が大半だ。そうすれば国会議員は以前と変わらない人数いても、政治家としての人材が欠乏するという奇妙な結果になりかねない。


 


 自民党にポスト安倍を覗う有力な新人ライバルが見当たらないといわれているのがそうした現象を現わしているのではないだろうか。国会に議員バッジをつけている人たちは以前と変わらない数ほどいても、政治家はそれほどいないということになる。


 それは野党にもいえるだろう。特定の宗教に支持されている政党は指摘するまでもないが、それ以外の政治家もいわゆるタレント議員や労組や共同利益団体などの特定団体から支援を受けている議員は選挙で当選してバッジをつけられても、国家とはいかにあるべきかといった政治家本来の基礎知識や政治家としての資質を涵養する時期を過ごしていない欠陥を抱えているといえるだろう。


 


 そうした欠陥が見事に表れたのが民主党政権の無様な失敗だった。民主党は党内で唯一無二の「政権」を知る政治家小沢一郎氏を検察官僚とマスメディアによる捏造人格攻撃により表舞台から追放されていたのが何よりも大きかった。


 国民は紙風船のような鳩山氏や「羊頭狗肉」政治家を恥ともしない菅氏や野田氏によって民主党に失望、落胆した。彼らは政治家とは到底呼べない小学校のクラス会を仕切る学級委員ほどの資質も持ち合わせていなかったと批判されても仕方ないものだった。


 


 政治家が育つのも育てられるのも有権者の資質に関わっている。有権者が本物の政治家を見抜く眼力を持つのか、それともテレビでタレントを視聴するのと同じ感覚で候補者を判じて投票するのか、という姿勢によって当選した人が政治家として大成するのか、単なる口先タレントで終わるのかに大きく作左右するだろう。


 政治家は国民のレベルを超えないといわれる。そうした意味では国民の方が政治を語る資質が低下しているのかもしれない。そういえば、かつて学生とは小難しい顔をしてデカンショを語っていたものだ。そうした形而上学を大事にしていたが、現代の若者はより実利的な学問に邁進しているようだ。そした異質な人たちと議論するよりも個に閉じ籠ってゲームして時を過ごすようだ。それでは自分にヤスリをかけて研鑽を積むことは出来ない。従ってゲーム感覚で時代を見ることは出来ても、時代を支配する一握りの人たちの野望を見抜くことは出来ない。それが現代日本の最大の問題だ。



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