行政区分の変更に過ぎない「都構想」になぜ、かつて有権者は熱狂したのか。

 橋下氏の大阪維新の会が都構想に従わない現職堺市長に対して対抗馬を擁立した堺市長選挙で敗れた。当然といえば当然のことだ。大阪都構想は単なる行政区分の変更に過ぎない。それに大阪府民が熱狂して橋下氏を支持していたのが常軌を逸していたといわざるを得ない。
 政治の世界が政治理念の競い合いではなく、候補者のタレント性の競い合いになって久しい。なにも漫才師が政治をやってはならないというつもりはないが、テレビに顔をさらして人気さえあればオリンピック選手でもアナウンサーであろうと小説家であろうとも何でも当選するというのは尋常ではない。

 そうした風潮が少しでも醒めて欲しいと願う。政治はもちろん人が行うのだが、政治的な素養と政治理念を確立した人格が政治に携わるべきだ。
 現在の政治が経済原則を無視したデフレ下の「消費増税」をやろうとしていることも何なのかと首を捻らざるを得ない。政治は万民、国家国民のためにある。それがどうやら現行政治は官僚のためにあるようだ。

 同時にマスメディアは事実の報道にこそ「報道の自由」を掲げるべきだが、世論誘導に「報道の自由」を使っているようにしか見えない。マスメディアによる世論誘導が功を奏して、有権者の半数超が「消費増税」を仕方ない、と容認しているとテレビなどの報道番組で報じている。
 社会保障などでこれからも安定した財源が必要だから仕方ない、というのはテレビなどに登場する幇間評論家たちの弁だ。彼らがテレビで繰り返し「社会保障費の伸びを賄うのに消費増税は必要だ」と国民に刷り込んで来た。マンマと功を奏して財務官僚たちはコンマリとしていることだろう。

 そしてタレント政治家たちがエラッソーな顔をして財務官僚たちの掌で踊る。しかし8兆円といわれる消費増税による税収増分は何処へいくら使われるのか、詳細に有権者は知っているのだろうか。決して社会保障に使われようとしているのではないことは明らかになっている。
 景気対策と称する法人に関する減税と、消費増税対策と称する還付金などに5兆円ほど使われ、真水として財務省の会計に入るのは2.5兆円だという。それですら、すべてが社会保障に向けられる保証はない。

 景気が悪化するわけがない、と幇間評論家たちは口を揃えて言っているが、果たしてそうなのか、来年四月以降に結論が出る。デフレ経済対策は「減税」だという経済原則を無視して個人消費を直撃する「消費増税」を実施するとは狂気の沙汰だ、ということが身に沁みて解るだろう。
 社会保障のために消費増税は必要だ、とマスメディアの刷り込みを信じ込まされた有権者たちの愚かさに、有権者自身も気付くだろう。しかし、一体いつまでこうしたバカバカしいマスメディアの「プロパガンダ」に国民は騙されて誘導されるのだろうか。先の戦争へと誘導されたことから国民はマスメディアの偽善性と危うさに気付いて反省したはずではなかっただろうか。決して「マスメディアの報道を頭から信じてはならない」という鉄則を失念してはならない。信じるべきは国民個々人の判断能力だ。そのために学校教育はあり、様々な学問を「自由」に取得したはずだ。

 デフレ経済対策は減税という経済政策原理は高校の社会科で学んだはずだ。少なくとも大学一年の教養課程の「経済原理」で詳しく学ぶはずだ。そうした学問が国民の身に着き、政治的な判断基準にならないのはなぜだろうか。
 簡単にマスメディアのプロパガンダに洗脳され政策誘導されるようではこの国の未来は危うい。今朝もテレビで北朝鮮への日本人遺骨収集が遅々として進まないことを、「植民地時代」のという枕詞からアナウンサーが伝えていたが、日本が朝鮮半島を植民地化していた史実はない。併合して朝鮮人も日本国民として処遇し、半島全域に日本国民の税を投入して日本国内以上のインフラを施した。
 そうしたことを微塵も伝えないで「植民地時代」と報道するのは危険だ。朝日新聞が犯した反日報道の愚行を日本のマスメディアは日々繰り返していると断罪しなければならない。マスメディアは事実のみを伝えるべきで、勝手な解釈や論評は一切加えないことを切望する。

 マスメディアが吹かせた維新の風はやんだようだが、その間国民・有権者が自民党の補完勢力に過ぎない維新に惑わされたのも事実だ。今は維新の会は「国会改革」を声高に叫んでいるだけだ。その中身は国会審議に首相や大臣などを縛り付けてはならないというもので、実態は国会審議を空洞化させる策略に過ぎない。国会審議を空洞化させて、テレビなどのマスメディアによる政治的な誘導の可動域を広げようとする策略に過ぎないと私の目には映る。
 そうしたチマチマとした策略を弄している時ではない、安倍政権がマスメディアを巻きこんで「アベノミクス」なるプロパガンダで国民の目晦ましをしている間に個人課税と一部法人に対する減税を実行しようとしているのを野党政治家は止めるべく奮闘すべきなのだ。しかし最大野党の民主党は「消費増税」を提起した立場から金縛りにあって動けないでいる。官僚におもねて自民党になろうとした民主党の愚かさを国民は冷笑して罵倒すべきだ。泥鰌は泥鰌として頑張れば良かっただけなのだ、と。

 さて、風頼みの中身のない政党「維新の会」は風がやんで凧のように墜落している。政策の中身に共感したわけでもない有権者たちは足早に去って行くだろう。それは「みんなの党」にもいえることだ。自民党の補完勢力に過ぎない政党の辿る道は似通っている。民主党も同様だ、彼らの場合は2009マニフェストという国民政党の理念をかなぐり捨てて、長期政権を夢見て自民党になろうとした。民主党こそが飛んでもなく愚かな政治家たちの集まりだ。
 見識ある野党政治家は現在の政治的対立の大きな軸は「1%対99%だ」ということを認識して離合集散して頂きたい。野党の政界再編なくして政権交代はあり得ない。今一度野党は2009民主党マニフェストを評価すべきだ。未来への投資「子供手当」を今からでも復活すべきだ。社会保障とは「負担は応能で支給は一律」との大原則に回帰すべきだ。維新への風がやんで、野党が真空状態に陥っては自公政権がますます勢いづくだけだ。それを心から危惧し憂える。


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