維新の会のツートップは最初から妥協の産物だった。

  橋下氏の慰安婦発言をめぐって石原氏と橋下氏の亀裂が明確になったようだ。しかし元々大阪府を中心とする人気を支えとした橋下氏と、東京都の人気を支えとした石原氏とが手を組んだのは国政進出のための妥協の産物に過ぎなかった。


 ただ政界での維新の会の立ち位置は自民党の補完勢力に過ぎず、新自由主義と経済界最優先を掲げる自民党と政策的には大差ないものだった。むしろ日韓併合などは侵略ではなかったとする石原氏は自民党政権が是認している「村山談話」や「河野談話」などの立ち位置よりは右翼的だといえるだろう。しかし橋下氏は自民党的な政治的な曖昧な立ち位置にいた。それも大きな亀裂の原因でもあった。


 


 ここ一年有余の維新の会の存在は一体何をもたらしたのだろうか。マスメディアによる民主党政権に対する「無能キャンペーン」で民主党政権から離れた支持者を集める一極として維新の会はマスメディアによって散々持ち上げられた。


 本来なら「消費増税」決定や「即時脱原発」を反故にした民主党政権から離反した民主党支持層は「生活の党」へ向かうはずだった。しかし徹底した「生活の党」ネグレクト報道により、民主党から離反した支持層を維新の会に取り込むことに成功した。そうした自公安定政権確立の立役者として維新の会が働いたのは間違いないだろう。


 


 今も民主党は去年12月の総選挙大敗の総括も出来ないまま、民主党本部にありあまり政党資金を唯一の求心力として瓦解の道を転がり落ちている。2009総選挙で民主党に期待した国民の期待を裏切ったまま、民主党の幹部連中はなぜ自分たちが負けたのかすら判然としていないようだ。


 いや、あるいは明確に解っていながら、「消費増税」や「子供手当」からの撤退や「年金最低補償年金」制度改革などは夏の夜の夢であって、政治主導政治が無能な政治家に重荷だったことに省みて、官僚政治を実施するためにはグチャグチャと丸めてボイッとゴミ箱に放り投げるしかなかったのだと自己弁護しているとしか思えない。そうした無能な政治家が集まっている限り、民主党が再び国民の信頼を取り戻して政権を担うに足りる体制再建は出来ないだろう。


 


 自公政権最後のアイドル安倍氏はマスメディアの追い風を受けて順調に国政を運営しているかのような幻想を振り撒いているが、金融政策は市場の乱高下という危険水域に突入し、さらに年金基金などの国民から預かっている資金を株式市場という博奕場に投入している。


 官僚たちの宴を満たすための税制を、国民の生活を第一に考える税制へ転換すべく根本的な議論をすべき時に、この国の政治は新自由主義へと大きく舵を切ろうとしている。官僚たちの現行制度には手つかずで、正規社員も非正規社員並みに首切りを容易にすることがこの国の企業の国際競争力をつけることだという誤った論理を推進しようとする政策を竹中氏たちのグループが画策している。


 


 自民党は更にそうした新自由主義・経営者たちと手を握るべく参議院選でワタミ社長などを取り込もうとしている。それが国民の生活のための政治なのかと批判すべき民主党が、そうした批判勢力の中核になりえないのは新自由主義者を党内に抱えているからだ。松下政経塾は成り立ちからしてパナソニックを否定する政策は採れない、つまり新自由主義を推進する勢力として自民党内にも塾卒業生がいる。彼らが民主党内で大きな顔をしている限り民主党が「国民の生活が第一」とする政策を果敢に掲げて国民の支持を得ることは未来永劫あり得ない。よって民主党は消滅する運命にある、ということだ。


 


 維新の会というマスメディアが作り上げた幻想以外の何物でもない政界の鬼っ子が分裂して消滅するのは当然の帰結だ。地方分権も行政の仕組みの改編に過ぎず、それにより景気が良くなるだとか、官僚制度が改革されるだとかいうのは幻想だ。官僚の改革はまず政治主導により官僚がいつの間にか手にしてしまった政治力や権力を取り上げることから始めなければならない。


 その最適任者は小沢一郎氏だ。官僚の権力を取り上げるには検察から捜査権を取り上げ、公訴権だけに専念させることだ。そして取り調べの可視化や未決囚に対する取り調べの弁護士立会いなど、冤罪若しくは「やった者勝ち」といった検察権力の暴走をなくす仕組みをしっかりと作らなければ、国民の代表者が官僚によって使役される現行政治の改革は百年河清を待つが如くだ。


 


 この国の病理の根源は官僚制度であり、その治癒を阻んでいるのは官僚の機関紙になり下がっているこの国のマスメディアだ。たかが電気であり、しかも不足していない電気を何が何でも原発再稼働しなければならないとする歪んだ論理を展開するマスメディアは国民のために存在するのか、それとも原子力ムラのために存在するのか、結論は余りにも明白だ。維新の会は原発に対しても「容認」していた。消えるべくして消える維新の会に拍手はしない。勝手に消えて行くが良い。



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