自公政権の姑息な指導を笑う。

  安倍政権はスーパーなどの「消費税還元セール」などと銘打った商売を禁じる、という。愚かなことだ。


 箸の上げ下ろしまで小姑のように一々文句をつけることもあるまい。それならなぜ「税収の範囲で予算を編成せよ」と財務官僚に厳命しない。


 


 とても足らない、というのは分かっている。この国の税収は減少の一途をたどり、最高で71兆円あったものが現在では40兆円そこそこでしかない。到底足らないが、しかし国民の公的負担率は39%にも達しているし、公的負担から公的給付を差し引いた純公的負担では欧州各国が14ないし15%なのに対して、日本は17%に達している。


 


 この数字の意味するところは大きい。つまり欧州各国は公的負担も50ないし75%と驚異的だが、公的給付も驚異的に大きいということだ。それは国家による富の再配分を強力に行って、巨万の財産を築く者もいないが餓死するしかないような貧困層もなくしている。


 日本は富める者への減税を行い、貧困層に対する最低課税所得を引き下げて貧困層からも剥ぎ取っている。しかも世界と比較しても重税感のある「すべての品目に対する消費税」を5%から8%に引き上げようとしている。


 


 欧州諸国の消費税率は確かに15ないし20数%と高率だが、食料や医療や教育に対しては非課税かあっても数%と極めて低率だ。だから国税に占める消費税収の割合は日本が22%なのに対して欧州諸国も20数%と遜色ない。つまり現行の消費税5%ですら欧州諸国の消費税と同程度の課税になっているのだ。


 


 数字に騙されてはならない。評論家たちは揃って数字の上面を並べて、さも日本は低税率の国家だと吹聴しているが、実態を比較検討しようとしない。マスメディアも政府・財務省の広報機関に堕して久しく、独自の論評を展開しようとしない。TPPに関しても「聖域なき関税撤廃」さえクリア出来れば問題ないかのように報道している。TPP問題の正体は「非関税障壁の撤廃」とISD条項などの外国企業・投資家による国家提訴を認めていることにあるが、そのことを国民に伝えようとしない。


 


 この国のマスメディアは腐りきっている。ばかげた政府の「消費税還元セールを禁じる」という江戸時代の「奢侈禁止令」程度の方針までも、御用聞きよろしく広報に余念がない。貿易は「国家を捨ててまで米国の言いなりになる自由貿易」礼讃だが、消費税に関しては箸の上げ下ろしまで干渉する。マスメディアはこの程度の低い政治家たちを嗤うべきが、追従して「還元セールは駄目だぜ」と喚く。この政治家たちにしてこのマスメディアかと、暗澹たる気分になる。



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