歴史問題や領土問題に安易な妥協は禁物で、原理原則を貫くべきだ。

　野田氏が慰安婦問題で韓国と秘かに協議しているという。橋下氏は竹島を日韓で共同管理してはどうかと提案したようだ。中国政府は日中国交40周年記念行事を中止すると日本側に通知してきた。

　そうした一連の動きに対して危惧を表明しなければならない。まず野田氏が首相として韓国政府と非公式に水面下で話し合うとは飛んでもないことだ。かつて日本は慰安婦に補償を求める韓国民に対して「基金」を創設して対処したことがある。今回も同様な対処方法を試みているようだが、日本国民はそうした妥協による解決を歓迎する世論にない。

 

　物事には限界というものがある。日韓基本条約で日本は韓国に対して莫大な賠償を行い、既に過去の諸問題に関しては解決済みだとしているはずだ。それに対して過去の問題でもない日本マスメディアの過失により提起された慰安婦問題を問題として韓国民が騒ぎ出すと基金を設けて補償してしまった。それが日韓関係の間違いのボタンで、後はいくらキチンと掛けてもボタンは間違ったまま掛けられ続けることになる。国際関係に関しては原理原則を貫くことがいかに大切か、日本政府は教訓としなければならないはずだが、その場凌ぎの先送り体質が変わってないとしたら、この方が大問題だ。

 

　橋下氏の「日韓共同管理」により竹島問題を片付けよう、という発想も大問題だ。日本領を掠め取る韓国に譲歩することは他の周辺国にも「実効支配すれば日本は妥協する」と誤ったシグナルを送ることになる。竹島に関してはどこまでも日本領だという主張を変えず、韓国が妥協してくるまで粘り強く頑なに日韓関係が破綻しようと譲ってはならない。妥協すれば竹島問題を先送りすることに他ならず、子孫にも不幸な日韓関係を引き継ぐことに他ならない。われらの世代で起こっている問題はわれらの世代で片付けなければならない。

 

　日中40周年記念式典が中止されたのはすべて中国の責任だ。友好関係を結んだ相手国に対して、海底資源が確認されたらそれまで日本領だと認識していたにも拘らず、直ちに中国領だ、いや台湾領だ、と騒ぎ出した。

　その本音は騒動を起こし領土問題化して海底資源の一部でも手に出来れば儲けものだというものだが、そうした魂胆は日本人には理解できないかもしれない。が、彼ら中国人にとっては常識的な日常行動でしかない。

　それにより日中関係がギクシャクしているかのようになっているのはすべて中国政府による演出だ。今回の40周年式典の中止通知も中国政府の演出による演目の一つに過ぎない。

 

　日中関係も中国は「反日教育」を国内統治の道具に使っていることに抗議一つしなかった日本政府の甘い現状認識に問題がある。日本政府は反日教育の事実を知った段階で史実と異なる、日中関係を破壊するつもりか、と一々抗議しておくべきだった。

　沈黙は是認に他ならない。日本政府の腰抜けぶりに日本国民は大きな損失を背負わされている。特にチャイナスクールと呼ばれる外務官僚たちの責任は甚大だ。彼らは日本により給与を頂戴しつつ中国の工作員となって日本の国益を損なってきたのだ。

 

　原理原則を蔑ろにしてはならない。交渉ごとは一歩退けばすべて反故になったと相手は認識する。頑なに原理を貫くことだ。

　今回の反日暴動による中国に進出した日系企業への破壊行動による賠償を日本政府は中国政府に求めるべきだ。中国国内の治安の責任は中国政府にある。それを日本が悪いから中国民が暴動を起こしても仕方ない、というのなら日本の自衛隊が邦人保護を名目にして中国に駐留すると表明しても仕方ないだろう。中国政府は国際的な常識を欠く発言をしていると、日本のマスメディアはなぜ指摘しないのだろうか。そうしたら中国駐在の記者たちが国外退去を求められると心配しているとしたら、本末転倒も甚だしい。ジャーナリストたちにもまた、原理原則を貫く覚悟が必要だ。