自民党よ、官僚下請け政党から脱却して真正・保守政党を目指せ。

　自民党党大会を見て、自民党の将来も暗いと思わざるを得なかった。なぜなら政権党という冠が取れると、あれほど輝いていた政治家諸氏が単なる自己顕示欲の強い日和見政治家に過ぎなかったことが歴然としてきたからだ。あるいは官僚の代弁者であったり、あるいは米国の代弁者に過ぎなかったり、あるいは地方自治体の代弁者に過ぎなかったり、とこの国の将来に責任を負う理念を示す政治家が余りに少ないと判明したからだ。かつての真正・保守政党だった自民党は何処へ行ったのかと慨嘆せざるを得ない。

 

 　真正・保守政党とは何か。保守政党でも真正と限定するのにはわけがある。従前の自民党は保守政党と名乗りながら、長期政権を維持する必要性から改革政党の面も持たざるを得なかった。そのため股裂きに会い、小泉氏のような撥ねっ返りの出現を許してしまった。

 

　真正・保守政党とは国家と国民の為に国益を第一に置く政党のことである。だから国内産業の空洞化を招く「円高」誘導の国際社会に対しては敢然と注文を付ける政党でなければならない。長期的に国力を削ぐ「少子化社会」に対しては仏国以上の抜本的な対策を講じなければならない。そして近隣諸国に迎合するあまり国内居住外国人の数を無制限に許すのではなく、一定規模において制限しなければならない。現行の２００万人程度はまだ容認できるとしても、これ以上の増加は国内居住基準を厳しくすべきだし、特に居住外国人の６割を超えて今も激増する中国人に対しては厳しくすべきだろう。

 

　別に偏狭なナショナリズムからそう言っているのではない。ドイツやフランスなど3Kの労働力確保として労働移民を促進した結果、既に全人口の１割を超え、国内に文化圏の異なる一団の異民族を抱えるために様々な社会的軋轢を生じている。

　かつて民族自決主義により国際社会は国家形成を促進してきた。つまり民族国家が文化的軋轢を国内に抱え込まない安定的な社会と見做していたのだ。

 

　人には異質なものを排除する性向がある。攻撃しないまでも、少なくとも心地良い感覚を抱かない。そうした社会的不安定要因を率先して抱え込まないことも重要だ。米国のような多民族国家ならまだしも、日本は単一民族国家としてしか経験のない国だ。そこに中国人の一団が社会を形成して彼らの価値観を正々堂々と主張して地方政治に影響力を持ちこめは、日本人社会までも混乱するのは当たり前のことではないだろうか。

 

　この国の国益を中心に置く保守主義が影を薄くして既に久しい。安易なグローバリズムへの迎合を囃したて、米国追従一辺倒の外交に終始し過ぎてきた。そのためにアジアの一員としてのアイデンティティをも失いかねない情勢だ。

　国益を守るためには「自主防衛」を前面に打ち出さなければならない。米国軍隊の後押しで国際社会へ向けて発言しても、世界は米国JRとしか見做さない。日本外交の展開を考えるなら日本政府をウオッチするよりも米国の顔色を窺った方が早いと世界は見ている。あるいは米国を梃にして日本を動かそうとの思惑も見えている。近頃の中国が米国と実は異常接近しているのはそうした思惑からだと判断するしかないだろう。

 

　官僚は使いこなすべき存在であって、官僚に顎で使われる自覚なき政治家には真正・保守政党から出て行ってもらうことだ。改革・革新政党を自認していた民主党の政治家たちが一旦政権に就くと、アッという間に官僚たちに取り込まれ野田氏に到っては背骨まで抜かれて官僚の操り人形と化してしまった。民主党に於いて政権獲得以前のままの民主党であり続けているのは小沢氏とその仲間たちだけだ。野田氏と閣僚たちはすっかり官僚たちに取り込まれた狎れの果てだ。彼らは政権交代を目指した民主党の政治家たちとは似ても似つかない政治家に変貌してしまった。つまり改革・革新政党は政権獲得の便法に過ぎない、メッキ政治家たちだったわけで、小沢氏の尽力で政権が転がり込んでくると検察官僚たちと悪乗りして小沢氏を民主党の座敷牢に幽閉してメッキ政治家たちが政権を奪ったに過ぎない。

 

　民主党は改革・革新政党であった真正・民主党へ回帰しなければならない。そうでなければ次の選挙で瓦解するだろう。そのためには民主党は最後の任期を小沢氏へ政権奉還すべきだ。そして２００９マニフェストで国民と約束した「国民の生活が一番」の政策実現へ向けて官僚たちを蹴散らすことだ。そうすることが国家と国民の為であり、民主党が本来の改革・革新政党へ回帰するラストチャンスだ。自民党も真正・保守政党へ脱皮することでこの２つの二大基軸の下に政権交代可能な政党政治をこの国の実現しなければならない。断じて官僚政治という官尊民卑の轍を踏んではならない。