それは年金一元化ではなく、年金差別化という。

 民主党の年金改革案が共済年金の三階部分「職域加算制度」を残したまま厚生年金に一元化する、ということで固まりそうだという。これでは破綻が見えている共済年金の厚生年金への抱き合わせによる温存に過ぎない。


 これまでも共済年金はお荷物を共済年金から剥がして厚生年金に抱合せてきた。一例が国鉄職員の年金を民営化に伴って厚生年金に抱合せたことだ。こうして共済年金はお荷物から身軽になって「特権」を維持してきた。しかし平成の大合併により地方公務員の数が激減し、数年後には退職した年金世代人口が現役世代人口を上回る 事態になり、共済年金の破綻が目の前に迫ってきた。そのため、これまで遅々として進まなかった共済・厚生年金の一元化がにわかに進みだしたのだ。


 


 官僚たちは何処まで図々しいのだろうか。自分たちの不利益は一切隠して、さも「年金一元化」を推進するように御用大マスコミを通じて報道している。それに官僚のポチに成り下がった民主党の政府と党役員がその方向で大合唱を始めた。なんという分かり易さだろうか。


 この期に及んで共済年金の特権を残すというのなら年金の「一元化」は当分の間先延ばしすることだ。そうすれば共済年金会計は破綻して、現行制度では年金支給が出来なくなり特権部分もまとめて解消される。それから共済年金をどうするかを議論することだ。これまで10年以上も散々「一元化」は議論の俎上の上っては官公労や官僚の抵抗にあって消えていた。それなら今度も意見の一致を見ないで先延ばしすることだ、そうすれば特権も丸ごと解消できる。


 


 ただし、国民年金を置き去りにして「年金の一元化」とは笑止千万だ。自分たちは「食える年金」を手にしているから文句はないが、国民年金加入者が死ぬまで働かなければ食えない状態に放置されていいても、政治家をはじめ官僚たちも気にならないようだ。これで「法の下の平等」が担保出来たと思っているのだろうか。一元化議論も国民年金を基礎年金と位置づけた上での議論に過ぎない。厚生年金加入者なら国民年金掛け金以下の保険料しか支払っていなくても、基礎年金以上の年金支給が確保されている、という矛盾が起こっていても政治家も大マスコミもスルーしている。悪名高きミノ氏の番組でも厚生年金の矛盾点は子細に分析してみせても、国民年金という存在には目を瞑ったままだ。


 こうした状況で政府も大マスコミも憲法に謳っている「文化的で最低限の暮らし」をこの国は国民に差別なく与えていると思っているのだろうか。満額支給ですら国民年金は月額6万7千円だが、平均支給額は月額4万6千円ほどだ。それ以下の人たちが半分はいる勘定になる。それでどうやって暮らせというのだろうか。憲法で謳っている「最低限の文化的暮らし」を送る権利が国民にあることを根拠に支給される生活保護費が8万2千円なのに国民年金受給者はこの程度の年金で年老いた晩年を送るのだ。


 


 国民年金を「基礎年金」と呼んで最下層に押し込めた年金改革がなぜ「年金の一元化」なのか、呼称にすら違和感を覚える。そして社会保障費のために広く国民が負担する消費税増税が最も適している、という議論にも誤魔化しを嗅ぎ取らざるを得ない。消費税は貧乏人ほど逆進性が高いのは周知の事実だ。しかも官僚や大マスコミが好んで比較する欧州諸国の高消費税率も、国税に占める割合を見てみるとスェーデンですら21%と日本の5%消費税が国税に占める割合と全く同じなのだ。


 なぜそうなるのかは明白だ。北欧だけでなく英国も消費税は暮らしに必要な食料の購入や教育費や医療費には無税か掛かってね極めて低率に設定してあるからだ。しかし日本では例外なくすべてに等しく同一税率が適用されている。これほど逆進性を露わに適用している国が他にあるだろうか。大マスコミも勉強不足なのか、それとも知って知り抜いた上でそうした欧州諸国の「消費税」の仕組みを伝えないで、消費税増税賛成の大合唱をやっているのだろうか。まさしく官僚の下請け広報機関に堕した大マスコミの大本営報道に邁進する姿に怒りを覚え、この国に真のジャーナリストが不在なのを嘆かざるを得ない。



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