「再生可能エネルギー法案」は発・送電分離による電力自由化とセットのものだ。

 突如として菅首相が「再生可能エネルギー」に血道を上げだし、退陣3条件の1つとして掲げた。これまで自然エネルギーにそれほど関心を示していなかった菅氏が自然エネルギー発電全量買い取りを柱とする「再生可能エネルギー法案」を退陣条件の一つと言い出した動機は何だろうか。


 


 これまで事あるごとに政府・電力会社は自然エネルギーの利用促進に非協力的、もしくは阻止する態度に一貫徹底していた。


 地熱発電は日本の全国各地に適地はあるが、環境省が主になって厳しく規制していた。ドイツで積極的に行っている地熱発電の機器と技術の多くは日本のものだという。


 


 太陽光発電もひどい仕打ちを受けて来た。いまも多くの評論家が「対投資効果の薄い」発電方式だとして批判の的にしている。その理由として設備費が高く20年程度とされる耐用年数の短さを論っているようだが、原発に関しては見事に放射性廃棄物の最終処分までのトータルコストを無視して「安価な発電方式」との刷り込みを大手マスコミを使って国民に行っている。自分たちの望む発電方式への誘導には嘘であれデータ無視であれ、何でも良いとする態度は評論の名に値しないし、ましてや学問や研究の成果でもない。


 


 菅首相はそうした政府・電力の過去のウソと規制による自然エネルギー排除の歴史をどのように総括し反省するのだろうか。


 本当に自然エネルギーを育成・拡大しようとするのなら「再生可能エネルギー法案」に予定されている全量買い取りでは生温いといわざるを得ない。


 


 これまでサンシャイン計画が頓挫した原因究明と対策を本気で考えたことがあるだろうか。自然エネルギーの拡大を本気で政府が取り組めば、現在の電力会社の在り方ではやがて「全量買い取りにより電気料金を値上げせざるを得ない」と言い出して国民を自然エネルギーから離反させるのは目に見えている。


 


 発電の自由化をまずやらなければならないのは自明の理だ。そして自然エネルギーの活用といっても「高価な電気」は自然と淘汰される仕組みがなければならない。もちろん原発も放射性廃棄物処理費も含むトータルコストを予測に基づいて積み上げ原価総額に参入した上で発電コストの比較対象にしなければならない。今回の放射能汚染の損害賠償も原価に算入しなければならなず、そうすれば「安全性を確認して」運転を再開することもなく発電方式として原発は退場すべきものだと経済原理からだけでも明らかになるだろう。安全か安全でないかという不毛な論議でなく、すでに割に合わない発電方式として原発はレッド・カードなのだ。巨額な設備投資と放射能物質を扱う特殊な技術を必要とする原発は他社の追従できないもので、電力会社の地域独占をさらに優位にする象徴かもしれないが、それほど大事なものにしては随分とお粗末な扱いをしてきたものだ。幾ら言葉を極めて追及しても東電の責任は追及されつくされることはない。


 


 発・送電分離という肝要な部分の抜け落ちた「再生可能エネルギー法案」が菅首相の退陣3条件の一つとするのには異論を唱えなければならない。なによりも菅氏は便宜的に自然エネルギー論者に宗旨替えをして退陣闘争の具にすることを止めて戴きたい。この国の電力会社による地域独占の役割と使命は「節電のお願い」をした段階で終わっている。彼らは独占と引き換えに電力の安定供給を至上命題にしていた。それを放棄したからには地域独占の最大利権を手放さなければならない。そのことを発言できない菅氏に「再生可能エネルギー法案」の成立を目論む正当性もまた存在しない。



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