弥縫(びほう)策ばかりだ。

 破れをせっせと繕っているが、すでに布切れが朽ちているのが解らない官僚と政府要員だと言わざるを得ない。福島第一原発放射能漏れ事故を引き起こした東電に対する弥縫策を見てつくづくそう思う。


 


 放射能汚染に対する賠償金額が膨大なものになるから東電一社では負担しきれないから、電気料金を値上げし、原発を所有する全国9電力会社でカネを出し合おう、という「現体制維持」のためのスキームを政府は閣議決定した。国民的議論不在の、まさしく電力10社による全国地域独占体制を維持するための弥縫策そのものだ。


 


 自治省出身の佐賀県知事などは早くも「原発は必要だ」と発言しているようだが、それこそ県民的な議論を行っての発言だろうか。政治を行う者は独裁者であってはならない。強力なリーダーシップとは未来を見据えた叡智でなければならず、既存の利権団体に阿ることではない。


 


 電力供給体制が現在の全国10社地域独占体制が望ましいのか、それとも独占体制のまま奉加帳を回すのなら、それこそ全国一社独占体制にした方が社長や役員などの椅子が減って管理費抑制に繋がるだろう。独占だから企業間競争は現在もなく、単に原価と必要経費に一定の利益率を乗じた金額が総必要額となり、それを利用者に負担させるのが電気料金だ。会社運営に実に簡単な計算式しか要らないわけだから、管理部門は極端に縮減できるはずだ。世界の電気料金に対して割安でなければならないはずが、反対に割高になっているのは人件費(現役の給与及び厚生年金の二倍に相当する退職者に対する企業年金)が異常に高額だからだ。


 


 その図式は官僚を頂点とする公務員給与にもいえるだろう。現役に対する給与が高額なのはもちろんのこと、退職者に対する共済年金も高額なのは周知の事実だ。それに対しておざなりの弥縫策としてわずかな期間限定の減額でお茶を濁そうとしている。そして国民に対しては大手マスコミを総動員して「国家も地方も財政破綻の危機にある」と大宣伝を繰り返し、増税・増負担がなければ2,3年後には日本はデフォルトする、と脅しを掛けている。その背後に財務省の影がチラチラするのは見え見えだが、菅氏をはじめ野田氏などの菅政権は増税・増負担ありきで議論を始めている。


 


 計算大臣の海江田氏も「原発ありき」発言を始めた。なんとも民主党政権にして官僚下請けの自民党政権そのままの様相を呈してきた。何のための政権交代だったのだろうか。


 自然エネルギーの大幅な進捗を望むのなら、現在の地域独占体制を止めなければならない。利権集団を温存したまま新たな電気事業者が参入するのは容易ではない。かつての鳴り物入りだったサンシャイン計画がいかにして破綻し、世界のトップランナーだった太陽光発電国が現在の凋落ぶりを呈しているのか、じっくりと検証したのだろうか。そうでなければ菅氏が「自然エネルギー計画」だとブチあげても、いつか来た道で大した効果を上げることなく消えてしまうだろう。現に未だに大手マスコミは「原発発電原価は安い」と発言している。彼らは賠償金も含めた福島原発事故対策と放射能処理費用をも原価に算入しているのだろうか。利権団体「よいしょ」のバカ丸出し発言は慎む方が良い。


 


 東電救済スキームは閣議決定したがまだ国会を通っていない。少なくとも災害復興を人質にした脅しに屈して、民主党国会議員は利権温存のための現体制維持ありきの弥縫(びほう)策を是としてはならない。すでに縫い繕おうとしている布地自体が朽ち果てているのをしっかりと認識して、発・送分離を大胆に行い、地域独占を止めるのが日本の電力に自然エネルギーを大幅に増やす根本策だということを議論すべきだ。それなくしてはかつてのサンシャイン計画に終わるということを覚悟しなければならないし、原発から脱却することもできないだろう。



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