守秘義務で口封じをする卑劣さ。

 


 内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘(こさことしそう)・東京大学教授が2日記者会見をして20ミリシーベルトの危険性を訴えようとしていたところ、官邸から守秘義務があるとの通告があり、記者会見を欠席したという。これが日本国憲法に守られた法治国家日本の現状だ。


 


 内閣官房参与を辞任した小佐古氏が内閣官房参与時代に知り得た機密事項、たとえば菅氏は癇癪持ちで人の言うことを聞かないとか、そうした国家機密をばらすのは問題かもしれないが、学者の良識として学童が年間被爆する許容限度は5ミリシーベルトと考えている、と見解を披歴するのがなぜ国家機密事項厳守の守秘義務に当たるのだろうか。


 


 菅氏とその取り巻きは驚くほど法解釈が自己中心的に過ぎるようだ。原子力委員会が決めたと答弁していたようだが、当該期間に原子力委員会は開催されていなかったと、民主党国会議員により指摘されている。それなら誰が年間被爆限度を20ミリシーベルトと決めたのだろうか。責任の所在も政権にとって「守秘義務」事項なのだろうか。そして何よりも放射能汚染地区に学童や生徒や幼児が暮らしているという厳然たる事実を忘れてはならない。将来放射能被害と認定される甲状腺癌や他の疾病が顕在化してから補償する、では済まされないことだ。


 


 国民は国家によって守られなければならないが、国家による放射線被爆許容限度線量の嵩上げにより福島の子供たちの健康が危機に瀕しているとしたら尋常な事態ではない。菅氏は「幼児・子供放射能被爆被害を放置した張本人」との汚名を勝手に遺せば良いが、福島の幼児・子供たちを政府の自己都合で嵩上げされた被爆許容線量の中に放置して良いわけがない。


 


 奇しくも憲法記念日の今日、日本国民は国民の健康と存在を真剣に考えない政府を持つ不孝の只中にある。



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