「良いこと」は「良いこと」だ、しかし政権延命はあり得ない。

 浜岡原発の停止要請は時宜に適ったものだ。地震の巣の真上に立地している浜岡原発は即座に停止すべきだった。中部電力の「受け入れ」判断も歓迎する。しかしその舌の乾かないうちに、火力発電にシフトすると一日につき燃料費が7億円も高くつくとは何事だろうか。


 


 これまで全国の電力会社は国内元売りから軽油や天然ガスや石炭を言値で買ってきた。独自に安い原油や天然ガスの輸入元を探すこともなく、原価引き下げ意欲に乏しい経営を続けてきた。そのあおりを受けて国内の電気料金は国際相場と比較して約二倍以上になっている。電気の缶詰といわれるアルミ精錬事業などは世界競争力を失って、国内で精錬をやっているところはない。


 


 原発を止めると大変だ、という議論は現状のエネルギー源輸入頼りを固定化しているのではないだろうか。以前このブログで書いたことがあるが、日本海底には固形化した天然ガスが豊富に存在している。世界最大ともいわれているほどだ。そのメタンハイドレートの掘削技術も日本にあるというのだから、この機会に積極的に開発すべきだろう。


 


 何でもかんでも「電気が足りなくなる」とか「電気料金が上がるぞ」と電力会社は大した努力もしないで最終顧客に皺寄せを安易に考えないことだ。その程度の経営なら誰にでもできることで、役員たちに何も高い報酬を支払う必要はない。福島原発事故が起きて早くも二ヶ月が経過しようとしている。この間に何ら自社の原発の安全性を検討していなかったとしたら怠慢の誹りを受けるだろう。中部電力が緊急役員会を開いて浜岡原発停止の結論を仕切り直しをしたのは検討していなかった証拠ではないだろうか。それほど甘い経営でやって来れたのは東海地震がまだ起きていない僥倖以外の何物でもない。


 


 福島原発事故があったことから、全国のすべての原発の地震と津波の想定は福島を基準とすべきだろう。そうした上で菅氏は全国の原発を子細に検討したのだろうか。その結論から「浜岡以外は停止を考えていない」と発言したのだろうか。スッカラ菅氏が他の原発は一切検証しもしないで「浜岡停止」だけを要請したのなら、巷間伝えられるように浜岡原発停止は米国からの要請だったというのがあながちガセネタでもなさそうだ。どうやら日本国政府は米国のコントロール下にあるようだ。


 


 本人は「ヤッタゼ。これで政権の延命ができる」と繰り出した夜の会食で仲間と歓声を上げているかもしれないが、「浜岡停止」が綿密な原子力行政の検証から出た結論の一部でない限り、菅氏は思い付きの首相だと非難されても仕方がないだろう。


 確たるエネルギー戦略もなく、ただ浜岡原発を止めただけでは浜岡原発の放射能事故の脅威は取り除けても新たに電力供給力確保という課題が浮かび上がるだけだ。長期的な電力需給展望の下、エネルギー戦略を立てられる政権でなければ国民の最大幸福を実現できないのは言うまでもないし、政権維持を考えるなぞは飛んでもないことだ。国家経営の理念なき政権は国民にとって不幸をもたらすだけだから一日も早く退陣することだ。



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