予算国会が空転するのは分かっていた想定内のはずだ。

　野党時代の民主党が参議院で過半数を割った自・公与党の提案した予算審議などを巡って「歩み寄り話し合い」をやったことがあっただろうか。粛々と否決し、自・公が衆議院の２/３議席で再可決していたのではなかっただろうか。

　今回反対の立場になって話し合いを求めるのはないものねだりというものだ。なぜ参議院が過半数割れして以来これまでの半年有余の間、多数工作を本格化して来なかったのか、菅政権の対応には首を傾げざるを得ない。

 

　しかし与野党幹事長会議で小沢氏の国会参考人招致が野党から持ち出されるのにはウンザリだ。第五検審会の二回目の起訴議決を受けてのことだろうが、過日石川氏の二回目議決前の任意事情聴取の際のICレコーダー録音記録により検察官のドウカツと誘導質問があったと報じられたことに一切触れず、小沢氏の喚問を求めるのは国会議員としての見識を欠くと非難されても仕方のないことだ。

 

　小沢氏に関する一連の検察による「疑惑捏造」と「疑惑刷り込報道」を大手マスコミが総力を挙げて邁進したことが明確になりつつある現在、国民の代表たる政治家が取るべき態度は官僚組織の透明化ではないだろうか。

　検察が奥の院で何をしているのか、国会議員が恐怖を覚えないとしたら愚かとしか言葉がない。国権の最高機関と憲法で謳われている国会を構成する国会議員をスポイルする行為を官僚組織の検察と大手マスコミがグルになって強引にやってきた二年近くの愚行を愚行として批判せず、その被害者たる小沢氏と元秘書三人を非難するとは「推定無罪」や「法と証拠」に基づく刑事訴訟の起訴権に悖ると思い至らない国会議員は国民の代表として何から何を守り、国民に何をしようとするのだろうか。

 

　小沢氏マターで自分たちの無能を覆い隠す「国会招致」の攻防を与野党で繰り広げるのはウンザリだ。昨日の幹事長会議に出ていた各党の幹事長に聞きたい。小沢氏の「何が」国会招致に該当するのか、明確に事柄を挙げて一つ一つ説明してもらいたい。ゆめゆめ「政治とカネ」などという大手マスコミが散々使い古したプロパガンダで片付けるのではなく、検察が起訴を断念した「無罪」の小沢氏の何を以て国会に招致しなければならないのか、分かりやすく与野党幹事長は一人一人説明してもらいたい。あなた方の無能な思い込みの空転で国会は一日３億円も費用を使っていることを肝に銘じることだ。そして人権という言葉を口にするのなら小沢氏の人権も考慮すべきが人としての礼儀だろう。さもなくば路上で警官から職務質問されただけで国会に招致するのか、よくよく考えることだ。

 

　何度も書いたが、再び書かざるを得ない。国会に招致して聞くべきは第五検審会のしかるべき人だ。彼に委員の構成がどのようであったのか、議決に到った会議が何度開かれたのかなどをきちんと聞くべきだ。国民は第五検審会はフィクションではないかと疑っている。つまり存在しない検審会委員と検察・裁判事務官による捏造ではないかとすら思っている。先程は検察奥の院で何が起こっているのかと書いたが、裁判所奥の院でも何が起こっているのか、国権の最高機関たる国会がチェックしないでどこが検証できるというのだろうか。

　国会議員が馬鹿げたパフォーマンスに踊り狂って国権の長たる矜持を失って国民の代表たる仲間の国会議員が摩訶不思議な仕組みで汚名をかぶせられようとしている事態を愉しんでいる図は愚か以外の何ものでもない。

 

　菅氏には小沢マターを引き摺っていれば国会を乗り切れると安易に考えていた節がある。だから真剣に国会運営に支障のないように多数派工作をして来なかったのだろう。そのくせ、開会した国会を放置してダボス会議には出席するという。スイスまで往復する体力があるのならなぜ野党の幹部たちを官邸に招いて腹を割った話し合いを持とうとしないのだろうか。

　国民は国会議員が小沢マターに拘泥するのにはウンザリだ。雇用を改善しない、景気を回復させようとしない、公務員改革をしようとしない、それでいて「抜本的な税と社会保障改革」をやるという何年来も聞いてきたお題目の繰り返しには飽き飽きし絶望している。結局言うだけで何もしない政府によって官僚の既得権益は存続し続けている。それなら昨日も書いたが、国民はあらゆる税制改革と社会保障改革に反対して国家財政を破綻させる選択をするしかないだろう。国会議員が愚行を国会で繰り広げて自民党政権でも政権交代した民主党政権でも公務員改革が出来ない、特会の一掃と外郭団体の撤廃が出来ないのなら、根本的に構造を変革せざるを得ない国家破綻を選択するしかないではないか。国家破綻をもってしかこの国は抜本的に変わらないのだとしたら、国民は痛みに耐えて国家破綻を選択しよう。それが次世代の国民に良い日本を残す唯一の途だとしたらそうするしかないだろう。