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正念場を迎える習近平氏。

<中国南部で5月以降、記録的な大雨が続き、洪水や土砂崩れなどの被害が相次いでいる。国営新華社通信によると、21日正午までの24時間に広東省や福建省など5地域の113河川で洪水が発生した。中国メディアは、各地の被災者は計600万人以上と推計している。  新華社によると、広東省、福建省と広西チワン族自治区では5月1日から6月15日までの平均降水量が621ミリに達し、この時期としては1961年以来で最大を記録した。  各地では建物の浸水や農地の冠水被害が多発している。中国メディアによると、広東省では20日午前までに20万人以上が避難対象となり、被害総額は約17・5億元(約356億円)に上る。  一方、河北省や山東省など北部では高温が続き、干ばつによる農作物への影響も出ている>(以上「読売新聞」より引用)  毎年のように中国は大洪水に見舞われている。なぜ大洪水が起きるのか、どうやら中共政府の「治山 治水」政策の失敗に原因があるようだ。  中共政府は農業用水の確保と水力発電のために、経済発展の早い段階で全国各地の河川に膨大な数のダムを建設した。それらが建設後30年以上経過してダム湖が上流から流れ込んだ土砂で埋まり、洪水調節機能が低下している。しかもダムを管理している地方政府がダム湖の水量調節を降雨前に行うのを嫌うのが原因のようだ。  降雨前にダム湖の水をある程度放水したら、大雨が降ったとしても下流域の洪水調節機能が発揮できるだろう。しかし事前に放水して、大して雨が降らないで発電量に影響したなら地方政府の責任になる。だから出来るだけダム湖に水を蓄えておきたい、との思惑が働き、大雨が降ればダムを守るために放水せざるを得ない。そうした降雨とダム放水とが相まって、下流域で大洪水が起きている。  記事によると「国営新華社通信によると、21日正午までの24時間に広東省や福建省など5地域の113河川で洪水が発生した」という。華南の広範な地域が水没しているようだ。ご存知のように華南は中国の穀倉地帯で水稲が盛んに作付けられている。市民生活に打撃が及ぶのも勿論だが、水稲耕作地帯が広く水没して被害が及ぶとしたら中共政府にとって痛手になることは間違いない。  中国統計局の発表では食糧供給が6%ほど不足し、食糧輸入は欠かせないとしている。しかし本当に6%ほどの不足で済んでいるのだろうか。それだけの不足

人は自分の目で相手を見、世界を観る。

< 戦争の行方を左右する「広告代理店」のマインドコントロール戦略/ゼレンスキーを操るのは誰か?  戦争にプロパガンダは付き物で、アンヌ・モレリ『戦争プロパガンダ10の法則』(草思社文庫、2015年刊)によるとどちらの側も次のように言いたがる。 ▼われわれは戦争をしたくなかった。しかし敵側が一方的に戦争を望んだのだ。 ▼(だから)敵の指導者は悪魔のような奴だ(と判るだろう)。 ▼われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う。 ▼われわれの大義は神聖なもので、これは正義の戦いである。この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である。 ▼(いや)われわれも意図せざる犠牲を出すことが(少しは)ありますよ。だが敵はわざと残虐行為に及んでいる。卑劣な兵器や戦略を用いている……。  何やら、ごく最近も毎日のように耳にしてきた論法のようにも聞こえるが、これは英国の貴族の家柄でありながら労働党のリーダーになったポンソンビー卿が、第1次大戦中に英政府が行った「あらゆる国民に義憤、恐怖、憎悪を吹き込み、愛国心を煽り、『嘘』を作りあげ、広め」るための戦争プロパガンダの手法を分析して「10の法則」としてまとめたものの要約である。著者のモレリはベルギーの歴史家で、これらの法則が第2次大戦でもその後の戦争でも繰り返されてきた常習パターンであることを後付けている。 メディアの桁外れの波及力  とはいえ、第1次大戦の時代にはまだラジオもなかった。戦争プロパガンダと言っても、それが行われたのは議会や集会での指導者の演説とそれを伝える翌日の新聞くらいなもので、マイクロフォンとラウドスピーカーからなる音響システムや、その両者間を無線電波で繋いだラジオ放送が登場するのは1920年代、広く普及するのは30年代だし、映画が無声からトーキーに切り替わるのも同じ頃だった。  それらの新しい電気的マスメディアをいち早く活用して煽動政治を行ったのはヒトラーのナチスで、大広場に何万人もの聴衆を集めて集会を開くのは夜と決め、何十本の色とりどりのサーチライトが天を舞う中、ワーグナーの荘重な音楽が大音響で鳴り響き、そこで一転して訪れる静寂と真っ暗闇とを切り裂いて一筋の強力なスポットライトが輝いて、白馬に跨ったヒトラーが登場してヒラリと演壇に立ち、火のような演説が始まる……。  馬も演壇の陰の踏み台も、ヒトラーの身長が

急がば回れ。

<政府は21日午前、ロシアのウクライナ侵攻などに伴う物価高騰に対応するため、「物価・賃金・生活総合対策本部」(本部長・岸田文雄首相)の初会合を開いた。  22日公示の参院選で物価高対策が大きな争点となる中、食料品やエネルギーの価格抑制策を講じ、家計や事業者の負担軽減に取り組む姿勢を示した岸田首相。力を込めていたのが、電力不足への対応として掲げた、電力各社による節電ポイント事業の拡充だ。  岸田首相は「(電力の)利用効率化に応じて幅広く利用できるポイントを付与する」と説明していたが、家計や事業者への負担軽減なら消費税減税の方がよっぽど早いし、効果が出るだろう。なぜ、「節電でポイント還元」みたいなゲームのような案が出てくるのかがサッパリ分からない。 そもそもポイント制は「無駄の温床」と指摘されてきた。  1人最大5000円分のポイントを付与する「マイナンバーカードによるポイント還元」をめぐっては、マイナンバーカードを保有している人が増えていないにもかかわらず、2000億円以上のカネが投じられ、消費税増税対策と称して導入した「キャッシュレス決済によるポイント還元」では、加盟店が増え過ぎて1日当たりの平均還元額が想定を上回り、見積もった約2800億円の予算では足りなくなった。  ポイント制度は仕組みを作るために莫大な費用がかかる上、さらに関係団体・組織の“利権”が生まれかねない。それなのになぜ、ポイント制度にこだわるのか。経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。 「電力会社はすでに節電の割合に応じてポイントを付与するキャンペーン制度を導入しており、政府としてはその仕組みに乗った、ということでしょう。つまり、ポイント制度にこだわるというよりも、政府としての策が打ち出せなかったわけです。さらに言えば、電気代が上がっているのは燃料代の高騰だけではなく、福島原発の事故処理費用21兆円分が家計に上乗せされていることも忘れてはなりません」  風力、水力、地熱……。これまで国や電力会社が自然エネルギーを使った発電の仕組みを整備していれば、節電やポイント還元などを呼び掛けなくても済んだだろう。国や電力会社の「無策」のツケを国民に押し付けるのはいい加減、やめてほしいものだ>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)  レジの列にならんで順番を待つことが多いが、前の買い物客がスマホを手にするとウン

米国の民主主義は大丈夫か。

< <「アメリカを守る」ためには起訴だけでは足りないと指摘>  アメリカはドナルド・トランプ前大統領を訴追し、彼が今後の大統領選に立候補することを禁じるべきだ――ハーバード大学の名誉教授(憲法学)であるローレンス・トライブは主張した。トランプの側近だったマイケル・ラティグ元判事が6月16日、トランプは民主主義にとっての「明白にして差し迫った危険」と語った言葉を引用、連邦議事堂襲撃を煽った罪で刑事訴追するだけでは不十分だと示唆した。6月20日に行われた、2021年1月6日の議事堂襲撃事件を調査する下院特別委員会の公聴会でのことだ。  トライブはロサンゼルス・タイムズ紙への寄稿の中でも、トランプが再び大統領選に立候補することを禁止すべきだと主張。彼が合衆国憲法修正第14条の第3項に違反した証拠は、十分にあると指摘した。修正第14条の第3項は、合衆国憲法を支持する旨の宣誓をしながら、その後合衆国に対する「暴動や反乱に加わった」者は、大統領の職に就くことはできないと定めている。トライブは、トランプが議事堂襲撃事件の前後および最中に、これに違反したとの考えを示した。 ペンスを危険にさらしたツイート 「直接暴動に加わった罪に問われなくても、共謀してアメリカを騙し取ろうとした罪、正式な手続きを妨害した罪、あるいは治安妨害の共謀罪で起訴されて有罪となれば、憲法修正第14条違反と認められるのに十分かだろう」と彼は書き、さらにこう続けた。 「トランプに責任を取らせ、彼が今後大統領になる権利をはく奪することは、党派的な措置ではなく、共和国を守るために必要な措置だ」  トライブはこう主張すると、トランプが暴動の成功を望んでいたことを示す、数多くの証拠を挙げた。事件当日、(議会襲撃に参加した)支持者たちに「家に帰る」よう呼びかけるまで3時間もかかったことや、暴徒たちが議事堂に押し寄せるなか、トランプが負けた大統領選の結果を覆せというトランプの要求を拒んだマイク・ペンス前副大統領について、「復讐心に満ちたツイート」を行ったことなどだ。  トランプは事件当日、ジョー・バイデンを次期大統領と公式認定する上院での手続きを行なったペンスに対し、「やるべきことをやる勇気がなかった」とツイートで非難した。  選挙不正についてのトランプの嘘の主張を信じ、またペンスが選挙結果の公式認定手続きを阻止できる立場に

税は財務相の歳入確保の道具ではなく、国民のための政治を実施する「道具」である。

< 19日のNHK日曜討論での自民・高市政調会長の発言が炎上している。  れいわの大石政審会長に「数十年にわたり法人税は減税、お金持ちは散々優遇してきたのに消費税減税だけはしないのはおかしい」と追及されると、高市氏は「れいわ新選組から消費税が法人税の引き下げに流用されているかのような発言が何度かありました。これは事実無根だ」と色をなして反論。  消費税は法律で社会保障に使途が限定されているとして「デタラメを公共の電波で言うのはやめていただきたい」とまで言い放った。  しかし、消費税が法人税の穴埋めに使われているのは数字上、明らかだ。財務省の「一般会計税収の推移」によると、消費税が導入された1989年度の消費税収は3.3兆円だったが、昨年度は21.1兆円と6倍に膨れ上がっている。一方、法人税は19兆円から12.9兆円へと6.1兆円も減税されているのだ。  高市氏の発言に対して、ネット上では〈デタラメ、ウソつきはどっちだ〉〈高市に税収の表見せてやって〉〈組織票や献金の恩返しに大企業や金持ちを優遇〉と猛批判が起きている。  消費税減税について、高市氏は「安定的な財源が確保できなくなる」と強弁し、公明の竹内政調会長も「安易に減税すべきでない」と否定。高市氏は消費税減税について「増税前の駆け込み需要や減税前の買い控えも起こる」「事業者も大変ですよ」などと必死にデメリットを並べ立てていた。 海外では付加価値税減税が常識  しかし、「物価高対策」にも「景気対策」にも消費税減税が有効なのは間違いないのではないか。税理士で立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)はこう言う。 「事業者から『変更が大変だから、消費税減税はやらないで欲しい』との声は聞いたことがありません。多少手間がかかっても、減税により消費が上向くことを望んでいます。そもそも、引き上げはできるのに、引き下げはできないのはおかしい。また、値上げラッシュで価格変更は日常茶飯に行われており、値札替えが負担とも思えません。高市氏の発言は消費税減税の否定が先にありきで、かえって国民の不信を招いたような気がします」  物価高騰には消費税減税が有効なのは海外が示している。消費税にあたる付加価値税の減税を実施・予定している国は、昨年3月の56カ国から89カ国に激増している。  野党7党は何らかの形で消費税減税を公約に挙げている。普

崩壊する習近平氏の「一帯一路」経済侵略構想。

<中国外交が敗北を重ねている。南太平洋の島嶼(とうしょ)国との安全保障協力で合意に失敗したほか、巨大経済圏構想「一帯一路」でも、スリランカが事実上の債務不履行(デフォルト)となるなど各国が借金漬けだ。さらにロシアのウクライナ侵攻で欧州でも反中感情が高まる。  習近平国家主席は「中華帝国の偉大な夢」を抱くが、「脱中国」が加速しているのが現実のようだ。  「強固だった関係が壊れている」と語ったのは、スリランカで先月、新首相に就任したウィクラマシンハ氏だ。 同国ではラジャパクサ大統領らが港湾開発などを中国企業と進める方針を示すなど、親中外交を進めてきたが、4月に対外債務の支払い停止を発表した。  一帯一路の拠点として実施してきたインフラ整備のために背負った借金がふくらみ、財政難に陥ったことも一因とみられる。 これまでも一帯一路の参加国がインフラ開発費用の返済に窮すと、中国が戦略的施設の長期使用権などの要求を突き付ける「債務の罠」が警戒されてきた。   中国からユーラシア大陸を経由して欧州へと続く一帯一路構想のほぼ中央に位置するパキスタンでは、中露関係を重視したカーン前政権が高インフレや通貨安による経済危機で4月に失脚した。シャリフ新首相も親中姿勢だが、経済再建をめぐる政情不安が続く。 米シンクタンク、世界開発センター(CGD)は18年の時点で、一帯一路のインフラ投資計画があったパキスタンやモルディブ、ジブチ、ラオス、モンゴル、モンテネグロ、タジキスタン、キルギスの8カ国について債務問題に懸念があるとのリポートを公表していたが、すでに現実のものとなっている。   中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「中国はパキスタンの政情不安を背景に一帯一路の要衝だったグワダル港を諦め、最大都市カラチに港湾整備を移した。モルディブも親中派大統領の失脚でインドが勢力下に収めた。次にスリランカで大統領打倒の動きになれば、中国には大きなショックだ」とみる。 こうした状況を受けて、中国の王毅国務委員兼外相が今月8日、カザフスタンで開かれた中央アジア5カ国との外相会議に出席し、一帯一路への協力強化で一致するなど関係維持に躍起だ。   アジア圏だけでなく、欧州でも一帯一路に危機が生じている。きっかけの一つがロシアのウクライナ侵攻だ。 そもそもウクライナは中国と関係が良好で、一帯一路の拠点でもあった。し

習近平氏は「プーチンの戦争」を見守っている。

< 中国で3隻目となる空母が進水した。17日のことだ。  1隻目の空母「遼寧」は、いまロシアの侵攻を受けているウクライナから「カジノにする」として建造途中の旧ソ連の空母を買い取って、空母として完成させたものだ。  2隻目の「山東」は、「遼寧」に倣った初の国産空母となった。いずれも、艦首がそり上がって艦載機が発艦する「スキージャンプ方式」が特徴で、満載排水量は6万トンとされる。  ところが第3の空母は満載排水量8万トンを超え、甲板にはリニアモーターによって効率的に艦載機を射出する電磁式カタパルトを装備している。世界でも米海軍の最新鋭原子力空母「ジェラルド・R・フォード」にしか搭載されていないという。ただ、米海軍のこの最新の技術にもトラブルが多く、また、膨大な電力を必要とすることから、原子力でない通常動力で機能するのか疑問視する声もある。 台湾の対岸に位置する福建省  それよりも驚かされたのは、この新しい国産空母の艦名だ。「福建」と命名されている。6月4日付の日本経済新聞では、進水に先立って「新しい空母は『江蘇』と命名する見通し」と伝えていただけに、余計に驚かされた。  艦名の由来の福建省といえば、まさに台湾から最も近い対岸に位置する中国大陸の省で、地理的には台湾と福建省だけで台湾海峡を形成している。台湾の市民にも、祖先をたどれば福建省に行き着く人も少なくない。台湾企業の進出もめざましく、私がかつて日本人が好んで食べる冷凍枝豆の輸入先の福建省の工場と畑を取材したときには、台湾で生産に成功した企業が中国に進出したものだった。因みに、尖閣諸島で日本の海上保安庁の巡視船に体当たりの“特攻”を仕掛けた中国漁船の船長が暮らしていたのも、福建省の港町だった。事件後に自宅でインタビューしたこともある。  それだけに福建省と聞けば、台湾との関係が思い浮かんでもおかしくはない。まして、空母「福建」となれば、台湾侵攻を意識しての命名であることが、少なくとも私には連想された。  それをさらに確信に近づけるのが、福建省と習近平との縁の深さだ。 最年少で福建省の省長になった習近平  中国の習近平国家主席は31歳の時に、米国にホームステイしたことがある。それもアイオワ州のミシシッピ川の畔にある小さな街の家の子ども部屋に3泊している。その時にホストファミリーに『トム・ソーヤーの冒険』の作者の名前を挙

情報統制の瓦解から戦争の真実をロシア国民が知ることになる。

< アプリから漏れ出るロシア軍兵士の本音  ロシアが得意としてきた情報統制が、日を追うごとに機能しなくなっている。ロシア軍内部の兵士や司令官がアプリを通じ、厳しい戦闘の実情をロシア国民に直接発信するようになったためだ。世界トップクラスのシンクタンクのひとつ、欧州政策分析センター(CEPA)が分析リポートを通じ、ロシア情報封鎖のほころびを指摘した。  情報漏洩(ろうえい)の主な舞台となっているのは、暗号化メッセージアプリの「Telegram(テレグラム)」だ。軍上層部を信頼しない兵士や司令官、そして退役軍人や独立系メディアなどが、それぞれ独自の視点で生の情報を発信し続けている。ある司令官はTelegramに投稿した動画を通じ、ひどい食糧不足により部隊全体が飢えていると訴えた。プーチンはロシア兵を虐殺している、との猛批判だ。  ロシア軍の実情が現場から直接流出することは異例だ。CEPAは、「まったくもって前代未聞の事態が巻き起こった」と述べ、ウクライナ侵攻における情報漏洩の特殊性を指摘している。 ロシア軍司令官は「プーチンによって虐殺に送り出された」と非難  ある部隊は、飢えと病に悩まされている現実をTelegramで明かした。英ミラー紙が報じたところによると、ドネツク共和国第113連隊のロシア軍司令官は戦地からTelegramに動画を投稿し、プーチンは適切な装備もなく自軍の兵士たちを「虐殺」に送り出したと訴えている。この司令官は、食糧と医薬品の不足により部隊が「慢性的な疾患」に見舞われているとも訴えた。  動画では、やつれた表情を浮かべた数十名の兵士たちを背景に、司令官が戦地の過酷な状況を視聴者に明かしている。司令官は、自身の部隊が医薬品も十分な武器もなくウクライナ南東部のヘルソン地方に動員され、2月下旬以来、「飢えと寒さ」との戦いであったと暴露した。  さらに、部隊は適切な武器なくプーチンによって「虐殺に送り出された」と批判し、部隊をドネツクまで戻してそこで動員を解くよう求めている。司令官は続ける。「健康状態の検査を受けた者などいない。精神疾患をもつ子供たちが動員されている。多くの子をもつ父親たちや、後見人たちもだ」  動画についてミラー紙は、「彼の暴露は、ウクライナ東部で戦うウラジーミル・プーチンの一部部隊に関して、厳しい状況を浮かび上がらせた」と分析している。ウ

イタリアの労働者賃金ゼロ成長と日本の労働者賃金ゼロ成長を照らし合わせると、その原因が見えて来る。

< アルプス山脈に近いイタリア北部のリゾート地でウエートレスをしていたディアナ・パリーニさん(44)は先月、退職した。賃金と労働環境のひどさにうんざりしたからだ。時給8ユーロのうち現金手渡し分が6ユーロ、福利厚生も年金積み立てもなし。大卒のパリーニさんは故郷のミラノに帰り、ドッグシッターの仕事に就いた。  イタリアでは何百万人もが同じような話を抱えている。ほとんどの職業にきちんとした規制の枠組みが適用されないという、欧州で特異な状況に置かれた同国は、賃金水準が30年にわたって停滞している。  ユーロ圏全般は消費者物価の高騰に伴って、賃金も上昇する気配が見える。だがイタリアは域内第3位の経済規模を誇りながら、そうした流れとは無縁だ。  第1・四半期にユーロ圏で妥結された賃金は前年同期比で2.8%上がった。主導したのはドイツで上昇率は4%に達した。一方イタリアの上昇率は0.6%に過ぎない。  経済協力開発機構(OECD)がまとめた欧州22カ国の1990年から2020年までの実質賃金上昇率はもっと対照的だ。スペインの上昇率は6%、バルト諸国に至っては200%を超えるのに、何とイタリア1カ国だけが3%の下落となった。  OECDのこうしたデータは、「なぜイタリアは安定的で十分な給与が得られる雇用を生み出せないのか」という議論を巻き起こしている。そしてエコノミストが用意した答えは、特に教育と技術分野への過小投資、低い生産性、景気拡大の勢いの弱さが負の連鎖をもたらしているというものだ。また問題の根も深い。  ローマのルイス大学とパリ政治学院で経済学の教授を務めるフランチェスコ・サラチェノ氏は「われわれは1980年代に間違った成長モデルを選択してしまった。グローバル化への対応で、ドイツのような質の高い生産につながる投資をするのではなく、コストを下げて新興国と競争しようとした。つまり安月給が続いたというわけだ」と説明した。  イタリア経済は1999年のユーロ導入以降、加盟19カ国で最もさえないままだ。イタリア中央銀行によると、時間労働当たりの生産でほぼ測定できる労働生産性は1995年からの伸び率が13%と、ドイツの44%を大きく下回っている。  この落差の背景には、急速な高齢化や労働者の技能の低さを含めたさまざまな問題が存在する。さらにイタリアがユーロに加盟したため、競争力維持のた

国連安保理常任理事会議を開催して、「戦勝国」は核兵器使用に関する共同認識を持つべきだ。

<与野党9党の党首は19日、フジテレビ番組の討論会に臨んだ。岸田文雄首相(自民党総裁)は防衛力強化を巡り、原子力潜水艦の保有に慎重な姿勢を示した。立憲民主党、公明党も否定的な見解を示し、共産党、れいわ新選組、社民党は反対した。一方、日本維新の会、NHK党は導入を主張。国民民主党も検討すべきだと訴えた。  首相は防衛力強化の必要性を唱える一方、「いきなり原潜にいくのはどうかという思いだ」と指摘。原潜保有が困難な理由として、原子力基本法で原子力の平和利用が定められている点や運用コストの高さを挙げた。「相手の原潜に対して対応がしっかり用意されている。国民の命や暮らしを守るため、優先すべきものを考える」と語った。  立民の泉健太代表は「豪華なものがあれば強くなるという話ではない」、公明の山口那津男代表は「現実的ではない」と述べた。  共産の志位和夫委員長は「軍事対軍事の悪循環に陥る」、れいわの山本太郎代表は「日本が攻撃されるリスクを負う」と反対理由を述べた。社民の福島瑞穂党首は「どんどん軍拡していくのは問題だ」とした。  これに対し、維新の松井一郎代表は「抑止力強化のために性能の高いものを持つべきだ」と言明。NHK党の立花孝志党首は「中国に対して、しっかりした防衛力を持たないと国民を守れない」と力説した。  国民の玉木雄一郎代表は「警戒監視と偵察能力が大事で、原潜なら3、4カ月潜っていられる。原潜だけでなく、新しい技術の導入を検討すべきだ」と話した。  首相は、国内総生産(GDP)比2%以上を念頭にした防衛費増額を盛り込んだ自民党公約に関し「積み上げを行った上で、予算と財源のセットで考えていく」と言及した>(以上「産経新聞」より引用)  原潜の保有は是か非か、を巡って与野党党首が論戦を交わすとは、何と平和ボケした国だろうか。もちろん原潜は核ミサイルとセットで初めて効果を発揮する兵器だ。単に無寄港で長期間潜水したまま航行できる潜水艦ということではない。  原潜は敵に存在を知られず、核報復する最終手段の兵器だ。それを日本が保有するか否か、ということは日本が核兵器を保有しなければ意味がない。通常兵器を積載して長期間姿を水面下に存在を隠す必要は何処にあるのだろうか。  もちろん核兵器の保有は反対だ。世界中の核兵器は廃絶すべきだし、いかなる理由があろうと二度と核兵器を使ってはならない