巨大な脅威に成長した中国に、協力から警戒に姿勢転換すべきだ。
<欧州歴訪中の中国の 習近平 国家主席はローマで23日、イタリアの コンテ首相 と会談した。会談に合わせ、両国は中国の提唱する巨大経済圏構想「 一帯一路 」協力に関する覚書に署名した。先進7カ国( G7 )で初めての一帯一路への参画となる。 一帯一路を巡っては支援対象国で債務が拡大している問題や、港湾など交通の要衝を中国が支配することによる安全保障上のリスクから、米国や欧州連合(EU)は懸念を抱く。習指導部はイタリアを取り込み、こうした懸念を念頭に対中戦略で結束しようとする欧米にくさびを打ち込んだ形だ>(以上「共同通信」より引用) 中国が「一帯一路」構想にイタリアを巻き込んだ。「一帯一路」とは経済開発に名を借りた中国の経済侵略だ、ということは明らかになっている。 その手法は後進国に港湾や空港の「共同開発」を持ち掛けて、到底債務返済できないと思われる巨額資金を貸し付けて事業を行い、返済不能に陥るや債務の「カタ」に開発した港湾や空港を「租借地」として中国の支配下に置く、という手法でアジアから欧州へ到る海上交通の要衝を支配下に置いてきた。 そして遂に中国の野望は地中海へと及ぶ。イタリアのシチリアをターゲットにしているようだが、さらにギリシャやスペインなどにも触手を伸ばしている。 当然のことながら、EUは中国の「一帯一路」と称する投資開発攻勢に警戒感を抱いている。南シナ海の岩礁に軍事基地を構築して、南シナ海は中国のものだと主張する中国の膨張主義を欧州は知っている。その手法で地中海へ進出したなら、EU傘下の弱小国では太刀打ちできない。個別に撃破されかねないし、EU圏ではない地中海の対岸のアフリカ諸国に進出することもあり得る。 欧州にとって内海の地中海を中国が支配する事態になったなら、それは悪夢に違いない。当然、NATOを形成する米国も黙っていないだろう。もちろん、地中海を通らなければ世界の海へ出られないクリミア半島のロシア艦隊を擁するロシアも他人事ではない。 中国の膨張主義は留まるところを知らないようだ。しかし一方で、中国には「一帯一路」で財政難に苦しむイタリアを抱き込む投資余力が中国にあるとは思えない。なぜなら中国は外貨が中国から流出するのを防ぐために、外国企業の送金規制を行っている。それに対して、米国は中国「元」の為替の高止まりを容認し