兵庫県が「負の遺産」から再起するには。

<兵庫県が過去に借りた338億円の不適切な処理が発覚し、財政破綻寸前になるおそれもあることが分かりました。

■地方財政法に抵触も「当時の知事の指示があった」と説明
 兵庫県によると、2000年度に「公共用地先行取得債」として490億円を借り、このうち338億円分の土地を売却していたにも関わらず、2020年度に「全額」を借り換えていました。
  これは地方財政法に抵触するもので、適正化へ向けて新たな負担が増えるということです。 斎藤知事は会見で、不適切な処理について「当時の知事(井戸敏三前知事)の指示があった」と繰り返しました。
 【兵庫県・斎藤元彦知事】「当時の知事から『全額借り換えと県債管理基金の残高の確保』という指示があって、それに基づいて実施したという報告を受けている。 7月上旬に財政当局から私に対して一連の経緯の報告があって、そこで初めて気が付いたという状況だ」

■財政破綻寸前の「早期健全化団体」に転落するおそれ
 斎藤知事は、この問題が「主な要因」になって、2030年度に財政破綻寸前の「早期健全化団体」に転落するおそれがあると説明しました。 しかし県の試算では、この問題の影響がなくなる2031年度以降も、実質公債費比率(=自治体の借金返済額の収入に対する割合)が、「早期健全化団体」の基準である25%を超え続ける想定です。
  斎藤知事は記者団から、「問題の影響はわずかであり、早期健全化団体への転落の主な要因は金利上昇で、人を惑わすような説明だ」と追及を受けました。
 【兵庫県・斎藤元彦知事】「ご指摘は真摯に受け止める。県としては検討会の場でこの金利設定についてもお示しして議論いただきながら、(県民に)オープンにしながらやらせていただいている」>(以上「カンテレ」より引用)





斎藤知事 兵庫県が過去に借りた“338億円”不適切処理は「当時の知事の指示」と強調 さらに「その影響で財政破綻寸前になるおそれ」主張も “実際は影響わずか”指摘受け「真摯に受け止める」」と報道された。前任知事が仕出かした「不法会計」による県財政悪化を指摘した知事を、会見の場で記者が「長期金利上昇が財政悪化の主要因だ」と指摘する異様さに驚く。
 兵庫県の知事記者会見は県議会よりも厳しい「追及の場」になっているかのようだ。
 まず、詳しく事の顛末を記しておく。
 県は公共事業を行う用地を先行取得するため、00年度に490億円分の用先債を発行した。その返済期間は30年だが、土地が売れた場合は、売却益を10年ごとに返さなければならない事になっていた。
 兵庫県の場合は17~20年度に計338億円分が売れたが、20年度に返済せず、売る土地がないのに全額の490億円を借り換えていた。この手続きが地方財政法に抵触する可能性があると県が経緯を調べている。
 ーーというものだ。

 元々兵庫県の実質公債費比率が国の基準(25%)を超える主な原因は、阪神・淡路大震災の復旧・復興事業で巨額の地方債(借金)を発行したことに加え、直近の金利上昇や、過去の地方債処理における算定上の不適切処理が重なったためだ。 
 阪神・淡路大震災の復旧・復興事業で約1兆3000億円もの借金を重ねており、現在も重い返済負担が続いている。地財法のルール上、借金返済の基金(県債管理基金)に組み入れてはいけない過去の地方債(公共用地先行取得等事業債など、約490億円)を基金残高に含めて算定していたことが発覚。これを除外して再計算したことで、比率が悪化している。
 記者が指摘した金利上昇(約3%程度で推移した場合)で想定すると、返済額が増大して比率をさらに押し上げる要因となる。 これにより兵庫県はすでに8月に「起債許可団体」(地方債発行に国の許可が必要)となることが確実視されており、将来的な「早期健全化団体」(財政再建計画の策定が義務付けられる状態)への転落を防ぐため、今後10年間にわたり投資的経費の削減など厳しい行財政改革が求められている。

 今後の投資削減など、県の財政健全化計画の具体的な対策内容は「兵庫県庁 公式ウェブサイト」にて確認すると以下の通り。
◇投資的経費の最低10%削減
 2027年度から9年間にわたり、公共事業などの投資規模を最低10%抑制する。これにより、当面の財政指標悪化を食い止め、早期健全化団体への移行(実質公債費比率25%超)を防ぐ緊急対策と位置づけている。
◇段階的な計画策定と見直し
 計画期間は今年度から10年間です。2027年度からの投資削減に加え、来年度(2027年度)には歳入・歳出の全般的な見直しを行う改革に着手する。また、2032年度以降は第2回目の計画を策定し、地方債発行に国の許可が必要となる「起債許可団体」からの脱却(実質公債費比率18%未満)を目指す二段階のアプローチをとる。
 この背景には、震災復興の負担に加え、過去の不適切な会計処理により「県債管理基金」の残高を多く見せかけていた地方債の違法発行問題が発覚し、将来の財政試算が悪化したことがある。継続事業が多いため、さらなる投資削減(20%〜25%)はインフラ維持への影響から困難と判断され、まずは最低10%の抑制で急場をしのぐ方針。

 長く続いた前任知事の下で執行部は独断専行し、執行部を監視すべき県議会はチェック機能を失い、ローカル・オールドメディアも報道機関として監視能力を喪失していたと云わざるを得ない。それらの兵庫県民への奉仕精神を喪失した「凭れ合い」こそが兵庫県の病巣だった。
 権力は腐敗するという。絶対権力は絶対的に腐敗する。一人の知事が長期政権で長く在任すると、いつの間にか知事権力が利権化し、清新だった知事もいつの間にか利権集団の親玉と化す。県議会議員諸氏も知事の絶対的な権力の前に平伏して監視機能を放棄する。それはローカル紙においても同じだったようだ。

 だから兵庫県は斎藤氏を知事に選んだ。猛烈なデマゴーグによる批判の逆風が吹き荒れても、県議会全会一致の「辞任要求」による辞任と再選挙でも、斎藤氏を兵庫県民は支持し再選させた。
 兵庫県の知事記者会見で記者が「兵庫県の財政危機は前任者の不適切な会計処理によるものではなく、金利引き上げによる財政負担増ではないか」と指摘したというが、金利引き上げにより金利負担が財政に重くのしかかる「元」を作ったのは前任者による不適切な会計処理により不良負債338億円が元凶ではないか。記者が記者会見の場で斎藤知事の財政に関する発言を否定する発言したのは間違いだ。前任者の違法な売却収入が負債償還に充てられなかったことこそが大問題ではないか。それは前知事とその執行部、さらにはその処理議案を了とした県議会の責任ではないか。そうした事実関係を詳らかにして、県民に報じ知らせることこそがメディアの使命ではないか。
 兵庫県を「負の遺産」から再起させるには、まずメディアこそが自由で公正・公平な報道に取り組むべきだ。そして執行部を監視するという県議会最大の役割を放棄した県会議員諸氏を厳しく批判すべきではないか。

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