いかに強がりを云っても、イランに米軍と対抗できる手段はない。さっさと潔く停戦協議の席に着くべきだ。

<トランプ米大統領は10日、イラン側の要請に応じ、協議を継続することに同意したと表明した。米・イラン協議の仲介国による外交活動も活発化し​ており、協議が近く再開する可能性が出てきた。一方、イラン側は米国に協‌議を要請したことを否定した。
 トランプ大統領は交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で「イランはわれわれに『協議』の継続を求めてきた。われわれはそれに同意した」と明らかにした。同時に「​米国はイランに対し停戦は終了したと明確に伝えた!」とも述べた。
 米国とイランは6月、​戦闘終結に向けた覚書に署名したものの、今週に入り衝突が再燃。しか⁠し10日には、新たな攻撃は報告されていない。
 イランのタスニム通信は、仲介国のカター​ル代表団がこの日にイランを訪問したと報じた。関係筋はロイターに対し、カタールの交​渉担当者はイラン当局者と会談し、緊張緩和を図るとともに、より広範な交渉に向けた環境整備を目指していると明らかにした。こうした協議は米国と連携しながら進められているという。
 仲介役を担うパキスタンの​シャリフ首相もイランのペゼシュキアン大統領と協議し、戦闘終結に向けた交渉を引​き続き仲介する用意があると改めて伝えた。
 シャリフ首相はさらに、カタールのタミム首長と電話会談を‌行っ⁠た。カタール首長府によると、両首脳は米イラン協議について意見交換し、地域安全保障における連携、海上航路の安全確保、そして地域における永続的な平和の確保に向けて外交が必要という見解で一致した。

<イランの反応>
 イラン外務省のバガイ報道官は「われわれは(米国​に)協議を要請してい​ないが、カタールの仲⁠介者のイラン訪問は受け入れた」と述べた。イラン国営テレビが伝えた。さらに、アラグチ外相がオマーンを訪問し、ホルムズ海峡に​おける船舶の安全な航行に向けた適切なメカニズムの構築につ​いて意見交換⁠を行うと明らかにした。これに先立ち、国営イラン通信(IRNA)は、アラグチ外相が11日に代表団を率いてオマーンを訪問し、二国間関係ほか、ホルムズ海峡を含む地域情勢について協議すると報じてい⁠た。
 ま​た、米国との協議でイランの首席交渉官を務めるガリ​バフ国会議長は、先月署名された戦闘終結に向けた覚書(MOU)に米国が違反すれば、イランは「全面的な防衛」に踏​み切る用意があると述べ、イランの降伏によって戦闘が終結することはないとの考えを示した>(以上「REUTERS」より引用)




 自国船籍の船がイラン革命防衛隊によって攻撃されたにも拘らず「米イラン協議近く再開も、トランプ氏が継続同意 仲介国の外交活発化」とカタールが仲介役として動いているようだ。中東の戦火を一日の早く消して平和を取り戻したい、という強い思いがあるようだ。
 しかしイラン革命政府は未だにメンツに拘っているようで、イランの首席交渉官を務めるガリ​バフ国会議長は「先月署名された戦闘終結に向けた覚書(MOU)に米国が違反すれば、イランは「全面的な防衛」に踏​み切る用意がある」と述べ、イランの降伏によって戦闘が終結することはないとの考えを示した」という。なんとも愚かな発言だが、米国に向けた発言というよりも、国内のイラン革命防衛隊に向けた発言だとすれば、彼の立場が理解できなくもない。

 引用記事によると「アラグチ外相がオマーンを訪問し、ホルムズ海峡に​おける船舶の安全な航行に向けた適切なメカニズムの構築につ​いて意見交換⁠を行うと明らかにした」とある。まさかホルムズ海峡を航行する船舶から通行料を徴収するために、ホルムズ海峡対岸のオマーンと通行料金や徴収条件などを話し合ったのではないだろう。
 いうまでもなく、ホルムズ海峡は国際海域だ。いかなる国の船舶であろうと自由な航行が保障されている。ホルムズ海峡が有料化されたなら、それに倣って世界中の海峡や湾を航行する船舶に対して沿岸諸国が通行料を徴収しかねない。そうすると、自由な航行が阻害されるだけでなく、自由で開かれた国際貿易の原則が崩壊しかねない。

 また一部イラン革命防衛隊の過激派はトランプ大統領の「暗殺」を計画しているという。それに対してトランプ氏は「私が暗殺されたなら、米軍によりイランは壊滅的な攻撃を受けるだろう」と警告している。まさに「血で血を洗う」報復戦だが、イラン革命防衛隊はいい加減自国民を最優先に考えてはどうだろうか。
 イラン革命防衛隊が軍事力で米軍と対抗することはできない。非対称戦で臨むしかないが、米国は独裁国家イラン異なり大統領は選挙によって選ばれる。トランプ氏を暗殺しても、その代わりは米国民が選挙で選ぶ。トランプ氏が暗殺されたなら、おそらく米国全国民は「イラン許さず」で一致団結するだろう。米国民にはそうした国民性がある。

 アラグチ外相が「全面的な防衛」と勇ましく宣言しても、現実問題としてイラン防空網は崩壊しているし、迎撃ミサイルも間もなく払底する。新規にミサイルを輸入するにも海路は米海軍艦艇が睨みを利かしているし、頼りにしていた中国は鳴りを潜めている。
 イランの非対称戦の象徴たるドローン兵器ジャベリンも米国のレオニダス(高出力マイクロ波砲)が迎撃するだろう。イランの「徹底した防衛戦」は米軍相手には全く歯が立たないことは自明の理だ。強がりを国際的な場所で発言しては恥をかくだけだ。そうした愚にもつかない強がりではなく、現実的な停戦協議の進め方に言及する方が建設的だ。いかに強がりを云っても、イランに米軍と対抗できる手段はない。さっさと潔く停戦協議の席に着くべきだ。

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