日刊ゲンダイ氏の高市政権批判は的外れだ。

<これだけ数を持ちながら、野党や国民に挑むような拙速で問題法案ばかりを連発する異様な政権。
 じっくり時間をかけた熟議ができないのは、それなりの理由があるのだろう。識者が指摘するのはサナエノミクスの破綻で、金利上昇、物価高、消費減税含めて八方塞がり。
  ◇  ◇  ◇
「誠実に私は知り得る限りを答弁してきた──。自己評価の高さは天下一品だ。6日の参院決算委員会に出席した高市首相の答弁を聞く限り、国会空転を招いた責任はつゆほども感じていないようだ。
 参院の自民党と立憲民主党の国対委員長が6日、高市の出席する予算委員会の集中審議と党首討論を17日までの今国会の会期内に行うことで合意。国会はようやく正常化に向け前進した。
 オール野党の猛反発により、約1週間も審議がストップした元凶は高市だ。公設秘書が関与したとされるサナエトークンや中傷動画拡散疑惑の追及を受け、「秘書の陳述書を国会に提出するから、それを答弁に代えさせて欲しい」と訴えたのが、きっかけだった。事実上の「答弁拒否」で、説明責任を果たさない議会軽視。挙げ句に追及逃れで月1回行うと与野党で合意した党首討論や、野党が求めた集中審議にも「なんで出なあかんの」と応じなかったという。
 会期末まで2週間を切り、皇室典範改正案など17本もの政府提出案の成立も不透明さを増すばかり。審議日程が窮屈となり、与党内から衆院優越の「60日ルールを行使すべき」との強硬な会期延長論が噴出する中、ついに高市も観念したのか、6日は6月26日以来、久々に国会で答弁した。
 問題となった陳述書答弁について釈明し、「国会での質問に対応しない趣旨ではない」「あらかじめ陳述書を提出し、質疑者にも国民にも全体像を読んでもらうことで理解が深まると考えた」と自らの非を棚に上げ、しれっと修正してみせた。
 居直った態度で反省なし。改めてツラの皮の分厚さにはギョッとする。

◇統治能力の欠落を雄弁に物語る異常国会

 与党の議会運営も乱暴で、野党5党が見送りを申し入れた「定数削減法案」と「副首都法案」を委員長の「職権」で審議入りを強行。背景にあるのは高市の日本維新の会への義理立てだ。両法案は、維新との連立合意文書で高市が成立を約束したもの。長年の連立相手の公明党に逃げられて窮地の高市が、総理に就かせてもらった維新への借りを返そうと、国会終盤のドサクサでルール無用のゴリ押し。思想も政策もバラバラの共産党から参政党、チームみらいまで足並みをそろえ、全野党が両法案の撤回を求める異常事態を招いた。
「副首都法案は、地盤沈下の激しい維新の金看板『大阪都構想』のにおいしかせず、定数削減法案はもってのほか。与野党の協議会で1年以内に結論が出なければ、自動的に比例代表の45議席を削減するとはむちゃが過ぎる。比例削減は少数意見の切り捨てや権力集中を招き、多様な民意が国会に届かなくなる。議会制民主主義の土台を壊しかねません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
 衆院で過半数割れ、少数与党だった石破政権は昨年の通常国会で「熟議」を標榜。会期延長せず政府提出法案59本のうち58本を成立させた。一方、高市政権は総選挙にバカ勝ちし、自民は衆院3分の2以上の議席を独占。各法案の衆院通過後60日以内に参院で採決されなければ、自民単独でも衆院で再可決できるほど圧倒的多数を有しながら、この体たらくだ。
 これだけの数を持っていればデンと構え、余裕の議会運営を心がければいいのに、野党や国民に挑むような問題法案ばかりを連発する。何かに取り憑かれたような暴走がアダとなり、多くの重要法案を積み残し。「60日延長」の禁じ手に頼らざるを得ないほど稚拙で横暴で異様な政権の姿だ。
 異常な終盤国会は高市の統治能力の欠如、首相の器でないことを雄弁に物語る。

◇税収9兆円でも財源の穴は埋まらない
 高市政権がじっくり時間をかけた熟議の議会運営ができないのは、それなりの理由があるのだろう。考えられるのはズバリ、財政の行き詰まりだ。
 一例が高市の「悲願」である食料品の消費減税だ。超党派の「国民会議」での各党の意見はてんでバラバラ。とても議論はまとまりそうもないが、政府・与党は来年4月から2年間限定での税率1%への引き下げに向け調整中だ。残り1%分を中低所得者に給付金で還元し、「実質ゼロ」を目指す案もあり、必要な財源は年5兆円ほど。その穴埋めは「赤字国債に頼らない」と言うだけで、高市政権は何も示さない。
 2025年度に決めたガソリン税・軽油引取税の旧暫定税率廃止による国と地方の計1.5兆円もの減収の穴や、維新肝いりの高校無償化も財源の一部である0.7兆円が埋まっていない。
 自民も維新も政策減税の租税特別措置や産業向け補助金などの優遇制度の見直しで「財源を確保する」と息巻き、内閣官房に「日本版DOGE」を設置。片山財務相が担当閣僚を兼ね、所管する各省庁に自主点検を促したが、約120件の優遇制度のうち廃止の方向を明示したのは1件のみ。トランプ米政権で最大2兆ドルの支出削減を目指し、実業家イーロン・マスク氏が率いたDOGE(政府効率化省)は結局、推計2140億ドルしか財源を捻出できず、すでに解散。その本家にも劣る掛け声倒れである。
 高市政権は年内に安保関連3文書を改定。具体的な防衛費増額の規模や財源を先送りしているが、すでにトランプ政権に外堀を埋められ、同盟国に求める「GDP比3.5%」を押し返せそうにない。受け入れれば、防衛費は今年度当初予算の約9兆円から年24.1兆円と2.6倍以上も引き上げなければいけない。

◇庶民の犠牲と隣り合わせの刹那の財政運営
 加えて40年度までに戦略17分野を対象に370兆円超の官民投資計画をブチ上げ、ご多分に漏れず財源は先送り。この野放図さでは、いくら税収が増えても賄い切れない。25年度の国の税収は、インフレ効果で前年度比約9兆円の大幅増。物価高に喘ぐ庶民を尻目に昨年末の見込みから約3.5兆円も上振れしたが、必要な財源の穴埋めにはちっとも足りず、八方塞がりである。
 骨太の方針で高市政権が日銀の追加利上げを暗に牽制したこともあり、財政悪化への懸念とさらなるインフレが意識され、長期金利は急上昇。指標となる新発10年債の利回りは6日一時2.83%と、1996年10月以来の高水準を付けた。高市が勝った昨年の総裁選直前(10月1日=1.645%)から1.2ポイントも跳ね上がり、節目の3%も時間の問題だ。
 30年前の政策金利は0.5%と今以上の金融緩和局面で、翌97年には北海道拓殖銀行や山一証券が相次いで破綻。金融危機が列島を襲った。経済評論家の斎藤満氏はこう警告する。
「長期金利は名目GDPの成長率に見合う関係にあり、昨年の日本の成長率は4.5%。3%でも日本国債の需要は集まらず、まだまだ金利上昇の余地は残ります。しかも高市政権は経済財政運営目標の財政健全化を捨て、代わりに『債務残高の対GDP比の安定的低下』を掲げました。分母の名目GDPを増やせば、分子の財政赤字の拡大が可能となり、成長率向上のため、財源度外視の歳出増で需要を喚起。国民の望まないインフレを加速させ、1ドル=162円台突入の歴史的な円安も放置です。名目GDP拡大は放漫財政の“魔法の杖”とも言えますが、インフレに耐え切れず、消費が落ち込めばピークアウト。いずれ財政悪化が経済を圧迫します。庶民の犠牲と経済破綻リスクと隣り合わせ、刹那の財政運営です」
 もはやサナエノミクスは破綻寸前で、経済危機へと一直線。前出の金子勝氏は「高市首相は国旗損壊罪やスパイ防止法など、喫緊の課題とは言えない数々の戦争準備法案を自身のレガシーと捉え、成し遂げた後は野となれ山となれ。『今だけ自分だけ』で次世代にツケを負わせて平気なフシがある」と言った。憑かれたような高市の暴走の裏には利己主義しかない>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)




いよいよ経済破綻に現実味…憑かれたような高市暴走の裏に何があるのか」とは、何度目のオオカミ少年だろうか。かつては国債残が1,000兆円を超えたらハイパーインフレになる、とオールドメディアは大合唱していた。そして今、国債残は1,300兆円を超えているが、全く財政破綻する兆候すら見えない。
 日刊ゲンダイ氏は国会審議が空転して閉会が迫り、懸案事項の審議時間が足らなくなったのは高市氏の責任だと批判しする。しかし国会審議が空転したのは野党が延々と週刊誌ネタで高市氏を追求したからだ。それも秘書が他党の候補者を誹謗中傷した動画をSNSで配信した、というものだ。

 この時代、一瞬でも動画をネットにアップしたなら誰かがコピーして(ネット用語で「拓本」を取る、という)削除しても削除してもSNSに出回るものだ。しかし高市氏の秘書が他党候補を誹謗した動画は何処にもない。
 週刊誌の方から秘書と動画作成者の会話を記録したデータと称するボイスレコーダーが「公開」された。それを録音したネット市民から音声データを分析したら秘書本人の音声とは断定できない、と指摘された。つまり週刊誌ネタが捏造されたものではないか、という疑惑が逆に噴出している。そうすると高市氏が「証言」を拒否しているのではなく、「無実の証明」の困難さに直面していると見るべきではないか。

 国会を空転させた責任は週刊誌ネタで国会審議時間を浪費させた野党にある。むしろ野党が高市氏の秘書が関与した証拠とする「動画」と「音声」のデータを国会に提出して真贋の検証を行うべきではないか。その上で本物と判断されたなら高市氏を追求すべきだ。偽物と判断されたなら野党は週刊誌を提訴すべきではないか。最初から週刊誌の記事が事実だし決め付けて高市氏を国会で追及した愚を反省すべきだ。
 また高市氏の経済政策は今年6月に成立した「補正予算」から始まったのであって、2026年度予算は石破政権下で編成されたものだ。高市政権が成立した昨年10月は既に石破しの「緊縮・増税」予算が動いていたし、今年4月から施行されている予算も石破政権下で編成された。だから「いよいよ経済破綻に現実味」と日刊ゲンダイ氏が批判するのなら、その批判対象者は石破氏だ。

「庶民の犠牲と隣り合わせの刹那の財政運営」の最終章に到っては日刊ゲンダイ氏は錯乱しているとしか思えない。なぜなら「40年度までに戦略17分野を対象に370兆円超の官民投資計画をブチ上げ、ご多分に漏れず財源は先送り」とあるからだ。現在のデフレ経済を転換するには、まず政府が財政出動して民間投資の呼び水とすべき、というのがデフレ経済を転換する方法だと経済学の教科書に書いてある。教科書通りの経済政策を高市政権は掲げている。そのどこが間違っているのだろうか。
 50%近い国民負担を減少させ、個人消費を喚起して経済を活性化する政策こそが適宜を得た経済政策だ。そのための財源は経済政策により成長するGDPだ。改めて指摘するまでもなく、GDPが大きくなれば税収弾性値から、税収はGDPの成長率を上回る、ということが経験的に解っている。それが財源になる、という論理が解らないのだろうか。現に、円安による名目GDP成長が1.7%ほどあっただけで、2025年度で9兆円もの税収の上振れがあったではないか。40年までの15年で毎年9兆円の上振れがあったとすれば15×9=135兆円ではないか。それだけ官が財政出動しても何ら問題ないことになる。

 円安は輸入物価の高騰を招くが、日本の輸出物資の国際競争力を高める。つまり円安は日本の輸出産業にプラスに働く。だから米国は固定相場制1ドル360円を廃止して、日本の競争力を弱めようとし、プラザ合意で1ドル220円の水準から1ドル120円まで「円高」に誘導した。だから現在の1ドル162円の為替相場を円安だと大騒ぎする方がどうかしている。
 日本経済が成長路線に転換すると、対ドル相場は必ず円高へ向かう。それが「見えざる神の手」というものだ。その転換点は間もなくやって来る。高市政権が本格的に「責任ある積極財政」政策を国家予算に反映させる2027年度になれば、政府投資が具体的に動き出す。そうすれば今年度の補正予算で種を蒔いている産業が芽を吹く。ことに半導体分野で日本は世界に劇的な復活を印象付けるだろう。もちろん日本の防衛産業も世界中から注目されている。

 日本はパラダイム・シフトしている。戦後一貫して自虐史観に閉じ込められていた日本の復興力を日本国民が意識して使い始めた。
 ロシアや米国や中国などの世界に派遣を求める古い体質の覇権国家が没落する一方、日本が派遣ではなく平和を掲げて世界に存在感を示しだす。その転換点に高市政権が立っていることを認識できないオールドメディアの旧態然とした論理展開には呆れるばかりだ。少しはザイム真理教から脱却してはどうだろうか。

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