財政の健全化とは国家経済が着実に成長して、国民が経済成長の分け前に与かる状態を実現することだ。
<30日の東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=162円台半ばを付けた。約39年半ぶりの円安ドル高水準となった。
北国新聞を弱小紙だと貶めるのではないが、北国新聞だからこそ高橋氏の論評を掲載できたのではないだろうか。「高橋洋一・政治経済ホントのところ【39年半ぶり円安ドル高】巨額の外貨準備、活用を」との記事に感慨一入だ。
そもそも円安は、ミクロ経済的には得する人も損する人もいるが、マクロ経済的には日本経済に有利で他国経済には不利だ。これは、古今東西「近隣窮乏化」として知られている。 米国のトランプ氏やノーベル賞学者のクルーグマン氏らからも指摘されている。近隣窮乏化の効果は国際機関や各国のマクロ経済モデルで定量的に確認され、例えば日本で10%の円安になれば1%程度の成長率アップとなる。近隣窮乏化が古今東西成り立つのは、自国通貨安が輸出関連企業に恩恵を与えるからだ。
それらは世界市場で活躍するエクセレントカンパニーだが、そこに恩恵を与えるのは、得点能力の高い米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の打順をトップにして、得点機会を多くするのと同じだ。近隣窮乏化は、事実であり筆者の感想ではない。
実は財務省にとっても円安悪者論は都合がいい。というのは、円安で被害を受ける人向けの経済対策がなされるが、それを「高く売れる」からだ。円安はマクロ経済からみれば、成長率アップで税収が増え、その範囲で対策をするのは容易だということは、財務官僚なら常識である。
実際、円安になってから、税収は過去最高水準になっている。ところが、円安で被害を受ける人は実際にいる。マクロ経済に疎く、目の前の事実を取り上げ、世間はこうだという報道手法にどっぷりと染まっている一部マスコミは、円安が大変という。日銀や財務省の意図を国民に知らせるべきであるが、マクロ経済への無知でできない。
普通の学者ならば近隣窮乏化など知らないはずはないが、日本の学者は日銀や財務省に忖度(そんたく)して、だんまりを続ける。日銀や財務省の手先となっている人も少なくない。 財務省が恩着せがましく対策をするのは看過してもいい。どうせ効果のない為替介入なら、数十兆円にもなる外為特会(外貨準備)の為替差益を吐き出すのがいい。実際、5月の10兆円以上の介入で、3兆円程度の含み益が実現益になった。そもそも先進国は変動相場制で日本ほど巨額の外貨準備を持っていないので、外為特会を使い切れば先進国並みになり、それを国民に還元するのはいい政策だ。>(以上「北国新聞」より引用)
北国新聞を弱小紙だと貶めるのではないが、北国新聞だからこそ高橋氏の論評を掲載できたのではないだろうか。「高橋洋一・政治経済ホントのところ【39年半ぶり円安ドル高】巨額の外貨準備、活用を」との記事に感慨一入だ。
オールドメディアは円安を「国家安」だと報じて批判的に扱っている。しかし円安は為替相場であって、日本経済の総合評価指数ではない。しかも対ドル交換比率でしかない。
かつて対ドル円は戦後長らく固定為替相場の360円だった。1971年8月15日(日本時間1971年8月16日)に変動相場に切り替えられ、ニクソン・ショック(ドル・ショック)と呼ばれた。それは日本からの対米輸入超過が拡大して、米国政府が貿易赤字を問題視したからだ。
その後なかなか円高にならないため1985年9月22日にアメリカ・ニューヨークのプラザホテルで開かれたG5(先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議)において発表された、ドル高を是正するための国際的な為替協調介入の合意した。プラザ合意とよばれる円高誘導が決定され、1ドル240円前後から1年余りで150円台へと急激な円高(ドル安)が進行した。それにより日本の輸出産業は深刻な打撃を受けた。
現在日本円は歴史的な円安相場になっているが、決して日本経済基盤が脆弱化しているわけではない。ただトランプ氏がドルを甦らそうとトランプ関税を課していることから、対ドル円が高くなった対米関税分だけ円安に振れていると見るべきだ。
引用記事で高橋氏が論じているように円安は「近隣窮乏化」だ。日本の輸出産業にとって、これほど大きな輸出奨励政策はない。だが円安は同時に輸入物資の価格を高騰させる。それは消費者物価を高騰させるが、同時に輸入物資や製品を生産する国内産業の競争力を高めることでもある。
もちろん経済界は円安を歓迎しているはずだ。円安を理由に消費者物価引き上げが容易になるからだ。食料品などが軒並み価格上昇しているが、その上昇率を見れば円安以上に引き上げられていることが判るはずだ。つまり多くは便乗値上げでしかない。しかし、そうした円安率と消費者物価上昇率の比較をオールドメディアは全く報道しない。
高市政権が積極的に国内投資を行う経済政策を実施しようとしている。それは適宜を得た経済政策だが、軌を同じくして日銀は「理由なき公定歩合引き上げ」を実施している。日銀の金利引き上げ策は景気を冷やす政策だ。日本経済の現状は景気を冷やす金融政策を行うべき状態にないことは誰の目にも明らかだ。しかしオールドメディアは日銀の金利引き上げを大歓迎している。まったく解せない報道機関だ。
高市政権の経済政策が成功したら、困る人たちがいるのではないか。つまり「責任ある積極財政」や「食料品消費税ゼロ」政策が日本経済にプラスに働くと存在意義を失う者たちがいると勘ぐらざるを得ない。それは「緊縮・増税」こそが日本の財政健全化に必須だと叫び続けている財務省だ。
断っておくが、国家財政のために納税者・国民が存在しているのではない。国民生活を豊かにするために国家財政運営政策が決定されるべきだ。主客転倒してはならない。政治を執るのは政治家であって、官僚が政治家を統率してはならない。なぜなら官僚は自分が所属する省庁のために働くからだ。国家と国民のために働くのは政治家の使命だ。国民生活を犠牲にしてまで、財政健全化を図るのは主客転倒だ。また財政黒字化が財政健全化でもない。財政の健全化とは国家経済が着実に成長して、国民が経済成長の分け前に与かる状態を実現することだ。そのために政治家は存在する。