長期戦略なきIT行政。

・デジタル庁発足。期待する声の裏に……
2021年9月9月1日、デジタル庁が発足した。
 菅義偉首相の突然の辞任表明から自民党総裁選挙へとなだれ込んだ政局に、やや印象が薄れた感はあるものの、日本にとって極めて重要な省庁が生まれたことは間違いない。
 デジタル化は休みなく進展し、社会のさまざまな場面で利便性が追及されている。
 そのスピードは日増しに強まっているようだ。それはスマホの多様な使われ方を見るだけでもわかる。これからさらにどんな可能性が広がるのだろうかと、期待を抱いている人も多いだろう。
 しかし、利便性の裏にはデメリットがある。無自覚なまま、便利を追求することにかまけていると、気付かないうちにとでもないことが起きると、ジャーナリストの筆者は近著で警告する。

タイトルは『デジタル・ファシズム』。
 穏やかではない。明るい未来どころか、どこか気味の悪い未来を予告するかのようでもある。私たちはいま、デジタル社会のどういう場所=「現在地」に立っているのか。
 内外の具体的事例をふんだんに使って解き明かすこの本に込めた問題意識とは、一体何なのか。
・デジタルが強欲資本主義をさらに獰猛にする
 著者は、自らの米国在住体験を踏まえ、米社会の影の部分である貧困や格差の実態などを俎上(そじょう)に、弱肉強食の新自由主義経済や、それを推し進める政治の問題に果敢にメスをいれてきた。
 また米国にとどまらず、米国に追随し、同じ轍(てつ)を踏もうとしている日本社会や政治のありようにも、批判の目を向ける。人間性や公共性を失った社会は、個人にとってとてつもなく過酷なものになるという意識があるからだ。そうした社会を招来せしめる最大の原因は、ビジネスの巨大利権であり、マネーへの飽きなき執着と信奉である。そこに、デジタルという新たな要素が加わるとどうなるか。「今だけ金だけ自分だけの強欲資本主義が、さらに獰猛になる」と著者は懸念する。
 デジタル社会というのは、利便性と引き換えに個人情報が企業や国家に集積されるシステムの社会ということでもある。個人情報がしっかりと守られているならいいが、IT企業に利用され、やがて国家に吸い上げられたらどうなるか。すでに中国では顕著だが、日本もそうならないとは限らない。
・日本政府のプラットフォームを米国のIT企業がつくる
 身近な所から説明しよう。いま各省庁は、様々な分野でデジタル化を進めている。マイナンバーカードと国民の情報を一元管理(総務省)、デジタル教科書(文部科学省)、マイナンバーカードと健康保険証の紐づけ(厚生労働省)。こうしたあらゆる省庁の担当プロジェクトを、デジタル庁は全て配下に収めることになる。
 補助金申請などの業務もまとめてデジタル庁が管轄するという。日本の行政は中央も地方も縦割で、手続きに時間がかかり、効率が悪いことは確かだ。そこで各省庁、地方自治体がバラバラに運営していたデジタル情報をひとつにまとめようというのがデジタル庁だ。

必要なのが「政府共通プラットフォーム」というシステム。
 製造・販売元であるベンダーとして選ばれたのは、米IT系大手の「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」である。日本政府のプラットフォームをなぜ、米国のIT企業がつくるのか。本書によれば、2015年に日本年金機構がサイバー攻撃を受け、個人情報が流出した事件に遠因がある。
 政府は共通プラットフォームに安全ゾーンを追加するよう国内企業に依頼。ところが、頑丈な安全システムはできたものの、使い勝手が悪く、使われないまま18億円がムダになったのだ。

そこで採用されたのがAWS(Amazon Web Services)だ。
・私たちの個人情報が米国に漏洩?
 それでも利用しやすければいいではないか、と思うかもしれない。しかし話はそう単純ではない。アマゾンは「CIA(米国中央情報局)やNSA(米国国家安全保障局)など、米国の諜報機関との関係が深い企業」であり、「CIAと契約を結び、2020年にキース・アレクサンダー元NSA局長を取締役に迎えている」。アレクサンダー氏は、NSAによる米国民の大規模な盗聴を指揮したと言われる人物。
 さらに、米国に有利な協定も日米間で結ばれている。
「アマゾンのような企業が日本でデジタルビジネスをする際に、その企業に個人情報などを管理するデータ設備を日本に置く要求は、2020年1月に発効した『日米デジタル貿易協定』によってできなくなっている」という。
 またアマゾンに限らず、グーグル、フェイスブック、アップル、マイクロソフトの「GAFAM」といったIT大手の持つデータを、米政府は令状なしで開示請求することもできる。18年に米で成立した「クラウド法」に基づくもので、米国内に本拠地を持つ企業にはすべて適用される。こうした日米のアンバランスな関係の中で、私たちの個人情報が米国に漏洩(ろうえい)したり、盗まれたりするリスクがあることを著者は示唆しているのだ>(以上「oonoarashi’s blog」より引用)




 売国政権というしかない。岸田自公政権は「政府共通プラットフォーム」をgoogleやamazon(Amazon Web Services)に丸投げしようとしている。その理由は「システムの信頼性」や「セキュリティー」が日本国内業者とは比較にならないからだという。
 何のことだか、意味が分からない。「システムの信頼性」とはデータ処理が不十分だとでもいうのか、それともデータそのものが消えるとでもいうのか。そして「セキュリティー」が問題だというのなら、しっかりとしたセキュリティーを構築すれば良いだけではないか。

 そもそも日本政府のIT庁にプルグラムの組めるSEが何人いるのか。IT庁トップがSE経験者でSEマネジャーの手腕がある人材が組織全体を指揮しているのか。実態は極めて怪しいと云わざるを得ない。
 初代IT庁長官は「組織論」を得意とする社会学者だったし、二代目の現長官はデザイナーの出自だという。彼らがトップなら政府共通プラットホームを米国民間企業に丸投げしてもおかしくない。なぜなら日本のIT業界の現状と課題と実力を知らないからだ。

 私は何社かのポームページを制作・管理している。しかしこの業界は凄まじいほどの進化を遂げていて、殆ど専門的なHTMLやCSSやJAVA SCRIPTなどの言語を覚える必要などない。ことにgoogleが提供しているgoogle siteでは素人が無料で簡単に「サイト」を作製し立ち上げることが出来る。
 日本にもgoogle siteに相当するポームページ作製ソフトとしては有料だがjust system社の「ホームページ・ビルダー」がある。それを使えば素人でも簡単にポームページが作成できる。ソフトの優劣においてはjust systems社のソフトの方がgoogle siteのソフトよりも勝っている。しかしながら「ホームページビルダー」は優良なため、今後はgoogle siteに押されるのは目に見えているが。

 日本の行政システムは全国1741地方自治体を顧客として数社のベンダーの餌食になっていた。基本的に行政システムは法律で定められた通りのシステム処理すれば良いだけで、全国各地方自治体で異なるシステムを制作する必要などない。だが数社のベンダーが地方自治体を顧客として高価なシステム開発費を利権として暴利を貪ってきた。
 それを一体化するのに、なぜ米国のgoogleやamazonに頼らなければならないのか。全く理解できないし、納得がいかない。なぜ、これまで暴利を貪って来た数社のベンダーたちは「実は」と行政システムが実に簡単なシステムでしかないことを、政府IT庁関係者に教えないのだろうか。現在の高度化し高速化し巨大容量化したサーバーが普通に存在している社会では特別な外国製のサーバーなど不要だ、とベンダーたちは政府に助言しないのだろうか。

 それは彼らが全国地方自治体で受注した各種システムが、実は簡単なアプリでしかないことと、同じシステムを焼き直して各地方自治体に納品していたことを暴露することでしかないからではないか。しかし、彼らは自分たちが貪っていた膨大な利益と過去の所業を外国のプラットホームに依存するのを防ぐべきではないか。
 日本にクラウドサービスを提供できる会社がないわけではない。歴史的に巨大なデータを扱って来たNTTデータなどはその最右翼だろう。他にも巨大サーバーを保有するデータ企業は何社かある。Web Servicesを提供する能力のある日本企業も数社と云わずある。なぜIT庁は行政プラットフォームを構築する計画段階で国内コンペを行わなかったのだろうか。もし行ったというのなら、私の不明を晒すことになるが、私が知らなかったということはIT庁の告知が不十分だつたという面があるかも知れない。

 何度も云うが、行政関係のシステムは決して複雑怪奇なものではない。すべては法律に示された範疇でしかなく、AIエンジニアが開発しているシステムと比較すれば「赤子」のようなものだ。そして国民のどの程度のデータまで収集するかによるが、行政プラットフォームのデータ管理に必要とされる大容量サーバーも国民の誰にでも普通に手に入る。ただ情報の書き換えや新規登録などの迅速性と確実性を担保するのなら、それなりに専門的なサーバーが必要とされる。
 日本のシステム開発能力が遅れている、というのならその遅れている点をIT庁は明らかにすべきだ。そしてgoogleやamazonに丸投げしなければならない理由を明らかにすべきだ。国民の情報のすべてを米国企業に丸投げしてはならない。国内のIT企業を育てるつもりがあるなら(日本の国家と国民の未来にとって国内IT企業の育成こそが急務だが)遅れているにしても日本国内企業に行政プラットフォームの構築を依頼すべきだ。もしくはIT庁内に行政プラットフォーム構築プロジェクトを立ち上げて、優秀なSEなどを高額報酬で招聘すべきだ。役にも立たない組織学者やデザイナーなど不要だ。ITテクノクラートこそが、現在の日本政府には必要だ。そしてその分野にこそ、税金を投入すべきだ。日本の基本OSをWindowsに決定した愚かさを繰り返してはならない。

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