PRESIDENT誌は何が言いたいのか。
< 日中間の諍いが絶えぬ尖閣諸島とその周辺海域。いつ、何をし出すかわからない中国の意図と行動を読む手掛かりは何か。 ■ 1993 年から石油輸入国に転じる 世界各地での中国の傲岸ともとれる行動が止まらない。尖閣諸島周辺に、 8 月 2 日までに 111 日連続で中国公船を送り込み、「中国の領海であり、日本の船は入ってくるな」と日本の実効支配を脅かし続けている。 習近平 国家主席の国賓来日の協議と同じ時期であったために、多くの日本国民の怒りと戸惑いを呼び、来日は無期限延期となった。 それだけではない。南シナ海のサンゴ礁を埋め立てての軍事基地化、「一帯一路」構想においては、格下の国々を相手に現地プロジェクトへの巨額融資→焦げ付き→借金のカタに港湾などを専有化……という高利貸のような手法を繰り返す。新型コロナウイルスの感染拡大に際し、他国が切望したマスクや検査キット提供をちらつかせて外交を展開する……さながら 100 年遅れてきた帝国主義国という体である。 そもそも尖閣諸島を含む南西諸島は日本領であり、「領土問題は存在しない」というのが日本の立場だ。 1945 年の敗戦とともに米軍の管理下に置かれていたが、中国が同諸島を意識し始めたのは 1968 年、国連アジア極東経済委員会 (ECAFE) の海洋調査で、周辺の海底にイラクに匹敵する埋蔵量の石油資源が眠っている可能性を指摘されてから。 70 年 12 月、中国が尖閣諸島とセットで「南シナ海の大陸棚に主権を擁する」という主張を開始した。 1993 年から石油純輸入国に転じている中国。 14 億人弱の人口を抱える今、他国の領土内とはいえ目の前にある豊かな資源に、半世紀にわたってこだわり続けるのも無理はない。 ■台湾国民を目覚めさせた「同胞に告げる書」 19 世紀以降、欧米や日本の帝国主義国群に食い荒らされた被害国。その屈辱のリベンジという側面もあろうが、こうした直情的な行動パターンは、かえって周辺国のみならず世界各国の脅威・反発・警戒心を呼び覚まし、中国自身にマイナスの効果を及ぼしているように見える。それらを圧倒する国力があれば別だが、米国の存在を考えればそうとも言えまい。 なのに彼らの強面外交は、将棋の基本に例えれば「 3 手の読み」――こう指す、相手がこう...