トランプ裁判は「人を呪わば穴二つ」だ。
< 不倫口止め事件裁判、トランプ氏選挙戦に追い風の理由 トランプ前米大統領が1年余り前、不倫相手への口止め料の支払いに関する業務記録改ざんの疑いで起訴された出来事は、結果的に同氏の選挙戦に弾みをつける役割を果たした。大統領選の共和党候補指名争いでライバルたちに対するリードを大きく広げ、そこで築いた圧倒的に優位な態勢は一度も揺らいでいない。 そして15日にニューヨーク州地裁で開かれたこの事件の初公判も、大統領選においてトランプ氏を勢いづかせることになる、というのが一部の専門家や政治ストラテジストの見方だ。 世論調査に基づくと、共和党員の約3分の1はトランプ氏に有罪判決が下されれば票を投じないもよう。ただ多くの法律専門家によると、不倫口止め疑惑に絡む事件の裁判は、トランプ氏が直面している合計4件の刑事訴訟の中で最も起訴の妥当性が弱いとみなされるという。 トランプ氏は今回の裁判を、選挙戦で支持者に発信するメッセージの中核部分を裏付ける材料として利用してきた。それはつまり「民主党の味方をして共和党員に差別的な扱いをする二重基準の司法制度の犠牲者が自分であり、バイデン大統領が選挙戦から自分を追い出そうとしている」という内容だ。 法廷に入る前にトランプ氏は「これは政治的な迫害だ」と改めて強調。同氏の陣営は、陪審員選任手続きが始まる中で支持者へ献金を要請するため「バイデンの私に対する裁判が始まった。あなた方はやつらに狙われている。私だけがやつらの前に立ちはだかる存在だ」とのメッセージを送った。 実際にはこの裁判は州レベルで行われており、バイデン政権は関与していない。司法省は、トランプ氏が連邦レベルで起訴されている私邸への機密文書持ち出し事件と2021年の議会襲撃事件についても、政治的な偏見なしに手続きを進めていると強調している。 一方、不倫口止め疑惑に絡む事件の裁判について、カリフォルニア大学ロサンゼルス校法科大学院のリック・ハセン教授は、トランプ氏が支持者に向けてどちらに転んでもアピールできる態勢を確保していると指摘する。「トランプ氏は有罪判決が出れば、ディープステート(闇の政府)や司法と自分が対決する構図を示す新たな証拠だと言い張り、無罪になれば勝利宣言するだろう」という。 トランプ氏が20年の大統領選結果を覆そうとしたことに批判的なハセン氏は、今回の裁判が「非...