国際秩序維持のために「中堅国連合」の創設を。
<2026年1月24日付フィナンシャル・タイムズ社説が、トランプの世界は暗黒の世界だ、グリーンランドで若干引き下がったが古い秩序の破裂は進んでいると述べている。
今の世界は、1週間毎に感覚が異なる。米国大統領は、経済の威圧を通じて、欧州の同盟国から領土を奪取するとして脅した。彼は、今では一部後退し、西側同盟は辛うじて持ちこたえている。
しかし、同盟国や規範を無視するトランプの姿勢は、根本的なものが変わってしまったと思わせる。これがトランプの世界で、危険な世界だ。
もちろん、1月21日にトランプがグリーンランドを武力で奪取する可能性を示唆した発言から引き下がったのは朗報である。その後、トランプは、グリーンランドへの野心を阻止する欧州8カ国へ関税賦課の脅しも撤回し、取引の枠組みができたと述べた。
欧州の指導者達は、これまで取れなかった反抗の姿勢をとった。そして、市場は動揺し、欧州が米国に痛みを与える構えを見せた状況に直面して、トランプは一歩譲った。
実際、トランプにとっても、ダボスの1週間は全面的な成功ではなかった。週末を迎えた時点で、グリーンランド「所有」に近づいたとは言えない。ガザの監督機関から、国連に代わる存在を目指す組織へと変形してきたトランプの「平和評議会」構想は、数十の開発途上国や独裁国家を引きつけたにとどまった。民主主義の同盟国の多くは、インドやブラジルといった新興大国とともに、距離を置いたままだ。
しかし、これらは何れも大きな安心にはならない。グリーンランド危機は容易に再燃しうる。枠組み合意の条件や、それが本当にトランプを満足させるのかは不透明だ。さらに、同盟国の権利を踏み躙ろうとし、ダボスでの演説で欧州に対する軽蔑を露にしたことで、欧州や北大西洋条約機構(NATO)の同盟国と米国との信頼は、深刻に傷ついた。
二つの大きなリスクがある。第一は、トランプが次に何をするかだ。トランプは、ベネズエラ大統領拘束の成功で勢いづき、自らと米国の力への自信と相まって、益々直感で行動する傾向を強めている。
彼がどこへ向かうのか誰にも分からない。いずれ深刻な誤りを犯すかもしれないし、その代償は世界の他の国々が支払うことになるだろう。
第二のリスクは、トランプの行動が他国を如何に増長させるかに関係する。ロシアや中国は、大国が自らの勢力圏で好きなように振る舞い、さらには領土を奪取しても容認されるシグナルを見つけようとしている。同時に、トランプは、これまで他の大国を抑制するためにあった米国主導の同盟網を損なっている。
カナダのカーニー首相は、「中堅国」が同盟網を通じて協力し、一定のルールや制度を維持し、貿易と安全保障を守るための構想を示した。欧州はトランプに対抗し、自らの強靭性強化の必要性を認識し始めたという心強い兆しを見せた。だが危険なのは、危機が後退すれば安易な自己満足に陥ってしまうことだ。
大事なことは、カーニーの言葉を借りれば、「破裂は起きている」ということだ。古い秩序は既に消え去り、そして二度と戻っては来ない。
* * *
なぜ、米欧は陰湿な批判を続けるのか
この社説は、1月のダボス後の世界の状況につき、①グリーンランドや対欧軽蔑等につき欧州が強く反攻の姿勢を見せ、トランプが「一歩譲歩」したのは「朗報」だ、②しかし、「危機が後退すれば安易な自己満足に陥ってしまう」のが従来の欧州の例だ、③カーニーの言葉を借りれば、「破裂は起きている」、「古い秩序は既に消え去り、そして二度と戻っては来ない」ということだと主張する。
社説が、トランプは「いずれ深刻な誤りを犯すかもしれないし、その代償は世界の他の国々が支払うことになるだろう」と述べるのも印象的だ。それは既に起きている。
しかし、カーニーは何が破裂していると言うのか。同盟の側面には、安保、経済、政治など幾多の重要な側面があるが、カーニーのいう「破裂」は恐らくこれらの諸側面の土台となる「信頼」が「破裂していること」に危機感を抱いているのだろう。それは理解できる。
カナダはトランプの無神経な言動に傷ついている。カナダのカーニーが、古い秩序は返ってこないというのは、「今や米国への信頼を無くした」と言うのであろう。
歴史や文化を共有する米欧は、なぜここまで陰湿な批判を執拗に続けるのか、いまだに良く分からない。恐らくトランプ政権を構成する側近達の病的なまでに歪曲された世界観やイデオロギーが根底に有るのだろう。
具体的に言えば、トランプやスティーブン・ミラー、バンス、ナバロらだ。極度に個人化された政治や外交を通じて、特殊な性癖を持つ一握りの人間がいじめやすいものをいじめているようにしか思えない。
トランプの世界では、いじめやすいものがいじめられる。欧州が反抗姿勢を見せたら、トランプもやや怯んだ。市場もトランプを怯ませた。
ダボスを通じて、欧州もカーニーと同じような感覚になっている。そこで、できることは、今後は他の国との協力を深め、多様化し、自国の力を強化する以外にない。
「トランプの世界は危険な世界!米欧で続く“陰湿な批判”…世界が支払わなければならない代償」と題して岡崎研究所が論評を発表した。まさにカナダのカーニー首相が提起した「中堅国連合」構想を取り上げている。それは「中堅国」が同盟網を通じて協力し、一定のルールや制度を維持し、貿易と安全保障を守るための構想を示したものだ。
今の世界は、1週間毎に感覚が異なる。米国大統領は、経済の威圧を通じて、欧州の同盟国から領土を奪取するとして脅した。彼は、今では一部後退し、西側同盟は辛うじて持ちこたえている。
しかし、同盟国や規範を無視するトランプの姿勢は、根本的なものが変わってしまったと思わせる。これがトランプの世界で、危険な世界だ。
もちろん、1月21日にトランプがグリーンランドを武力で奪取する可能性を示唆した発言から引き下がったのは朗報である。その後、トランプは、グリーンランドへの野心を阻止する欧州8カ国へ関税賦課の脅しも撤回し、取引の枠組みができたと述べた。
欧州の指導者達は、これまで取れなかった反抗の姿勢をとった。そして、市場は動揺し、欧州が米国に痛みを与える構えを見せた状況に直面して、トランプは一歩譲った。
実際、トランプにとっても、ダボスの1週間は全面的な成功ではなかった。週末を迎えた時点で、グリーンランド「所有」に近づいたとは言えない。ガザの監督機関から、国連に代わる存在を目指す組織へと変形してきたトランプの「平和評議会」構想は、数十の開発途上国や独裁国家を引きつけたにとどまった。民主主義の同盟国の多くは、インドやブラジルといった新興大国とともに、距離を置いたままだ。
しかし、これらは何れも大きな安心にはならない。グリーンランド危機は容易に再燃しうる。枠組み合意の条件や、それが本当にトランプを満足させるのかは不透明だ。さらに、同盟国の権利を踏み躙ろうとし、ダボスでの演説で欧州に対する軽蔑を露にしたことで、欧州や北大西洋条約機構(NATO)の同盟国と米国との信頼は、深刻に傷ついた。
二つの大きなリスクがある。第一は、トランプが次に何をするかだ。トランプは、ベネズエラ大統領拘束の成功で勢いづき、自らと米国の力への自信と相まって、益々直感で行動する傾向を強めている。
彼がどこへ向かうのか誰にも分からない。いずれ深刻な誤りを犯すかもしれないし、その代償は世界の他の国々が支払うことになるだろう。
第二のリスクは、トランプの行動が他国を如何に増長させるかに関係する。ロシアや中国は、大国が自らの勢力圏で好きなように振る舞い、さらには領土を奪取しても容認されるシグナルを見つけようとしている。同時に、トランプは、これまで他の大国を抑制するためにあった米国主導の同盟網を損なっている。
カナダのカーニー首相は、「中堅国」が同盟網を通じて協力し、一定のルールや制度を維持し、貿易と安全保障を守るための構想を示した。欧州はトランプに対抗し、自らの強靭性強化の必要性を認識し始めたという心強い兆しを見せた。だが危険なのは、危機が後退すれば安易な自己満足に陥ってしまうことだ。
大事なことは、カーニーの言葉を借りれば、「破裂は起きている」ということだ。古い秩序は既に消え去り、そして二度と戻っては来ない。
* * *
なぜ、米欧は陰湿な批判を続けるのか
この社説は、1月のダボス後の世界の状況につき、①グリーンランドや対欧軽蔑等につき欧州が強く反攻の姿勢を見せ、トランプが「一歩譲歩」したのは「朗報」だ、②しかし、「危機が後退すれば安易な自己満足に陥ってしまう」のが従来の欧州の例だ、③カーニーの言葉を借りれば、「破裂は起きている」、「古い秩序は既に消え去り、そして二度と戻っては来ない」ということだと主張する。
社説が、トランプは「いずれ深刻な誤りを犯すかもしれないし、その代償は世界の他の国々が支払うことになるだろう」と述べるのも印象的だ。それは既に起きている。
しかし、カーニーは何が破裂していると言うのか。同盟の側面には、安保、経済、政治など幾多の重要な側面があるが、カーニーのいう「破裂」は恐らくこれらの諸側面の土台となる「信頼」が「破裂していること」に危機感を抱いているのだろう。それは理解できる。
カナダはトランプの無神経な言動に傷ついている。カナダのカーニーが、古い秩序は返ってこないというのは、「今や米国への信頼を無くした」と言うのであろう。
歴史や文化を共有する米欧は、なぜここまで陰湿な批判を執拗に続けるのか、いまだに良く分からない。恐らくトランプ政権を構成する側近達の病的なまでに歪曲された世界観やイデオロギーが根底に有るのだろう。
具体的に言えば、トランプやスティーブン・ミラー、バンス、ナバロらだ。極度に個人化された政治や外交を通じて、特殊な性癖を持つ一握りの人間がいじめやすいものをいじめているようにしか思えない。
トランプの世界では、いじめやすいものがいじめられる。欧州が反抗姿勢を見せたら、トランプもやや怯んだ。市場もトランプを怯ませた。
ダボスを通じて、欧州もカーニーと同じような感覚になっている。そこで、できることは、今後は他の国との協力を深め、多様化し、自国の力を強化する以外にない。
慎重にすべき対中接近
ここにきて、既に世界の潮目が変わりつつあるようにも見える。12月にはフランスのマクロン大統領が訪中、1月には英国のスターマー首相も訪中、訪日した。
これらの訪中は、10年前頃の無原則な欧州の対中接近の再来であってはならず、もっと熟慮された対中関係を模索するのであれば、対トランプ牽制のための多様化とはなり得るだろう。しかし、注意深くやるべきだ。また、そのためにも欧州はもっと信頼性のある域内経済政策、産業政策を実施して行くべきだとつとに指摘されている。
日本もそれに協力して行くべきだ。EU対話の一層の強化と環太平洋経済連携協定TPP)での連携を具体化していきたいものだ。
この社説が、今後のリスクとして、トランプの行動が中ロに与える影響を指摘する。その通りだ。これまでトランプは、中ロを喜ばすことばかりしている。4月のトランプ訪中が注目される。
米国は、ある種、規律の効かないモンスター政権を生み出した。もはや、それを規律できるのは、それを生み出した米国のデモクラシーでしかない。>(以上「Wedge」より引用)
ここにきて、既に世界の潮目が変わりつつあるようにも見える。12月にはフランスのマクロン大統領が訪中、1月には英国のスターマー首相も訪中、訪日した。
これらの訪中は、10年前頃の無原則な欧州の対中接近の再来であってはならず、もっと熟慮された対中関係を模索するのであれば、対トランプ牽制のための多様化とはなり得るだろう。しかし、注意深くやるべきだ。また、そのためにも欧州はもっと信頼性のある域内経済政策、産業政策を実施して行くべきだとつとに指摘されている。
日本もそれに協力して行くべきだ。EU対話の一層の強化と環太平洋経済連携協定TPP)での連携を具体化していきたいものだ。
この社説が、今後のリスクとして、トランプの行動が中ロに与える影響を指摘する。その通りだ。これまでトランプは、中ロを喜ばすことばかりしている。4月のトランプ訪中が注目される。
米国は、ある種、規律の効かないモンスター政権を生み出した。もはや、それを規律できるのは、それを生み出した米国のデモクラシーでしかない。>(以上「Wedge」より引用)
「トランプの世界は危険な世界!米欧で続く“陰湿な批判”…世界が支払わなければならない代償」と題して岡崎研究所が論評を発表した。まさにカナダのカーニー首相が提起した「中堅国連合」構想を取り上げている。それは「中堅国」が同盟網を通じて協力し、一定のルールや制度を維持し、貿易と安全保障を守るための構想を示したものだ。
なぜ「中堅国連合」が必要とされるのか。それは覇権国家が経済力・軍事力を背景として勝手気儘に国際秩序を乱すからだ。これまで米国は戦略的ではあっても、国際秩序を破壊する方向には向かわなかった。しかしトランプ大統領は米国を日本アニメ「ドラえもん」のジャイアンに変貌させた。
トランプ氏は突如として「トランプ関税」を各国に課して、米国が主導して設立したWTO体制を自ら破壊した。そしてベネズエラの主権を侵害してベネズエラ大統領夫妻を「拉致・連行」した。さらにグリーンランドの領有を主張して国際社会から大顰蹙を買った。今度は中東に複数の空母打撃群を展開してイラン政権を恫喝している。
確かにトランプ氏の言い分にも「一分の理」がある。しかし国際秩序を破壊しているのは歴然とした「事実」だ。何事を行うにしても、それぞれに取り決めた手続きに従って行うべきだ。米国の良き隣人であり、最大の理解国のカナダ首相が「中堅国家連合」構想を提起した意味合いは重い。米国民はトランプ氏に自重すべきと声を上げるべきだ。いや連邦議会こそがトランプ氏のハチャメチャな振る舞いに対して「非難決議」を行うべきだ。
欧州諸国が中国に接近しているようだが、米国が駄目なら中国だ、という短絡的な考え方には賛同しかねる。なぜなら習近平政権の中国が如何なる振る舞いをして来たかを見れば歴然ではないか。中国は決して国際秩序を維持する側に立ってはいない。自らの利益のためなら他国を「債務の罠」に嵌めて恥じない国だ。
自国の利益のためなら他国企業の知的財産の剽窃もいとわず、劣悪なコピー商品を全世界に売り捌いているではないか。そして生産調整することなく、供給過多に陥った粗悪な鉄鋼などをダンピングして世界へ輸出しているではないか。単に経済規模が大きいからと云って、中国に擦り寄る欧州諸国の振る舞いは浅ましくさえある。
岡崎研究所の提言は傾聴に値する。ことに「日本もそれ(中堅国連合)に協力して行くべきだ。EU対話の一層の強化と環太平洋経済連携協定TPP)での連携を具体化していきたい」との結論に異議はない。まったく、その通りだと思う。米中二大覇権国の狭間で翻弄される中堅諸国が力を合わせて国際秩序を維持すべきだ。
今後は米中の乱暴な所業を決して許さない、という確固たる存在を示さなければならない。そのために必要とされる国際機関の設置を考えるべきだ。本来なら国連がその役割を果たすべきだが、米中の顔色ばかり窺う国連は既に無力化されている。それどころか、CO2地球温暖化詐欺に加担して、国連が排出権取引の場に堕落しているではないか。排出権取引とは金さえ払えばCO2を排出しても良い、という「CO2地球温暖化」阻止とは全く相いれない破廉恥な「取引」だ。さらにコロナ禍でWHOが中国の手先だということを自ら露呈した。だから米国はWHOからの脱退を宣言した。もはや国連は利権調整の場でしかないし、その役割すら満足に果たしていない。いわば崩壊状態だ。
役にも立たない国際機関に縋っていても仕方ない。それなら実効性のある国際機関を創設する方が良い。国連はチャイナマネーに汚染されてしまった。日本の皇室を批判するような男女平等を提唱する機関などが本当に必要か?
そうした無意味な活動などどうでも良い。米中二ヶ国の覇権国家を自ら自称する国の首に鈴を付ける「中堅国連合」こそが必要だ。引用した論評に全面的な支持を表明する。