バイデン氏は備蓄放出ではなく、シェールオイル新規採掘禁止を解除せよ。

米政府、石油備蓄の市場放出を決定 日本も協調
 高騰が続く原油価格を抑制するねらいで、アメリカ政府は23日、石油の備蓄の一部を市場に放出すると発表した。イギリスや中国、日本などの主要石油消費国と協調した動きだと説明。日本メディアによると、岸田内閣も24日、アメリカと協調し、石油の国家備蓄の一部放出を決定したと発表した。

 アメリカは今後数カ月で、計5000万バレルを放出する方針という。供給量を増やして原油価格の上昇を抑えることが目的。日本、インド、韓国、イギリス、中国と協調した取り組みだと説明した。
 ホワイトハウスは声明で、「アメリカの消費者は、ガソリンスタンドでの給油代、そして自宅の暖房費において価格高騰の影響を実感している。アメリカの企業も同様だ。石油供給が需要に見合ってこなかったためだ」と指摘し、「そのためバイデン大統領は価格を抑制し、供給不足に対応するため、全力を尽くしている」と表明した。

 アメリカ政府関係者は、アメリカが世界の主な石油消費国と協調してこのような対応をとるのは初めてだと説明した。
 イギリス政府はアメリカに協調し、民間企業による自発的な備蓄放出を150万バレルまで認める方針。この動きは世界経済の回復を助けるためのものとしつつ、「イギリスのドライバーにとってのメリットは、限定的で短期的なものにとどまる」とも述べている。
 NHKなど日本メディアによると、岸田文雄首相は24日午前、記者団に対し、「アメリカと歩調を合わせ、石油備蓄法に反しない形で国家備蓄石油の一部を売却することを決定した」と述べた。首相は、「原油価格の安定は、新型コロナウイルスからの経済回復を実現する上で、大変重要な課題だ」とも話した。
 インド政府も23日、備蓄から500万バレルを市場に放出すると発表した。

 バイデン大統領はこれまでも繰り返し、石油輸出国機構(OPEC)に対して、原油増産を加速させるよう働きかけてきた。しかしOPECは、増産は徐々に行うという従来方針を維持してきた。産油国側は、新型コロナウイルスの感染が再拡大すれば、パンデミックが特に深刻化した時期と同様に、石油需要が一気に急減してしまうことが懸念されると説明している。
 各国経済がパンデミックから回復する中、今年10月末には原油価格が一時7年ぶりの高値をつけた。その影響で多くの国でガソリンなど燃料価格が高騰している。
 原油価格は今年、年初から約50%上昇している。

アナリストの評価は
 サウジアラビアやロシアなどが参加する産油国の枠組み「OPECプラス」はこれまで、各国からの増産要請を再三拒否してきた。アメリカではそのため産油国へのいらだちが高まっている。
 アメリカ政府高官の1人は23日、記者団に対して「この件について我々は引き続き、連携各国と協議を続ける」と述べ、さらに「もし追加措置が必要ならば大統領にはその用意がある。世界全体と連携して対応するため、大統領権限のすべてを使う用意がある」とも話した。
 独国際商業銀行コメルツバンクのアナリスト、カルステン・フリッシュ氏は、今回のアメリカの動きを受けて、OPECプラスはこれまでの戦略を再考し、来週の会合で増産に合意するかもしれないと指摘する。
「全体像で捉えるなら、5000万バレルというのは、1カ月間毎日160万バレルの増産、あるいは7週間1日100万バレルの増産を意味する。これはかなりの規模だ」
 しかし、実質的な効果がどの程度出るのか疑問視するアナリストの意見もある。
「具体的に意味のある形で石油価格を引き下げるほどの規模は足りないし、これを機にOPECプラスが増産のペースを遅らせることになれば、むしろ逆効果だ」と、英経済調査会社キャピタル・エコノミクスの主任消費財エコノミスト、キャロライン・ベイン氏は話した。
「つまり今回の動きは、かなり象徴的なもので、政治的な動機によるものに思える」とベイン氏は続け、さらに「いささか短気」な動きにも見えると述べた。もしOPECプラスが増産を続ければ、来年の第1四半期には原油市場は供給過多状態になり、「そうすれば価格は自然と下がる」というのが、多くのアナリストの一致した見方だという>(以上「BBC」より引用)



 経済アナリストが備蓄石油放出は逆効果になるかも知れないと評しているように、バイデン氏が世界に呼び掛けて「協調的」に実施しようとしている備蓄石油の放出が世界の石油消費国のガソリン価格引き下げには役立たない可能性の方が高い。なぜなら米国が放出する備蓄石油の量は全米が消費する石油の2,3日分でしかないからだ。それは日本をはじめ、世界各国でも似たようなものだからだ。
 石油産出国にとって、そんな少量の石油放出なら減産で対抗するまでもない。現状を維持すれば放出石油は何事もなく石油精製企業に吸収されて消え去るだけだ。しかも放出した石油は安全保障からの観点から、新たに補填しなければならない。そもそも石油備蓄は原油市場価格調整のために備蓄したものではない。用途外利用という側面は免れない。

 バイデン氏の提案した備蓄石油の放出より効果的な方法がある。バイデン氏が凍結したシェールオイル開発を再開することだ。アラスカから敷設していた天然ガス・パイプラインの工事凍結を解除することだ。
 米国は世界最大の原油産出国だ。米国のシェールオイルの採算ラインが1バレル60ドル前後だといわれている。現在の80ドル台の高値なら、米国の石油企業にとっても充分に利益の出る悪くない話ではないか。バイデン氏は国内原油掘削企業に増産を求めるべきではないか。

 バイデン氏はトランプ氏が離脱したパリ協定に復帰し、脱炭素社会に向けて米国も取り組むとしているが、それが米国の国家と国民の利益になるのだろうか。OPECプラスが容易に増産に踏み切らないのは脱炭素社会に向けて、石油離れして来るのではないか、という危機感が根底にある。それなら儲けられる時に儲けておこう、と考えるのが普通ではないか。
 脱炭素のスローガンの裏には戦後長らく国際金融の流れをオイルマネーが握ってきたことに対する国際金融家たちの主導権争いがある。もちろん脱炭素社会というスローガンはカーボントレードという荒唐無稽な利権争いの仕掛けであることは疑いないが、国際金融を自在に操るためには巨額なオイルマネーが邪魔であったのも確かだろう。

 記事でアナリストは「もしOPECプラスが増産を続ければ、来年の第1四半期には原油市場は供給過多状態になり、「そうすれば価格は自然と下がる」というのが、多くのアナリストの一致した見方だ」と分析しているが、だからこそOPECプラスは増産に踏み切らないでいる。
 そうすれば増産すべきは原油産出国第一位の米国ではないか。備蓄石油放出など「焼け石に水」の効果しかないし、有事を起こす機会を狙っている中共政府に絶好の機会を与える事にもなりかねない。そもそも石油備蓄は原油の市場価格調整のためではなかったはずだ。文字通り「油断」の有事に備えるためだ。ガソリンなどの価格引き下げに備蓄石油に手を付けるべきではない。

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