金融バブル崩壊の序章が始まった。

<週明け16日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は暴落し、前週末からの下げ幅は一時、2700ドルを超え、取引時間中の過去最大を更新した。ニューヨーク証券取引所は取引開始直後に米株価指標の下落率が規定を超えたとして、取引を一時停止するサーキットブレーカーを発動した。取引停止の措置は今月に入って3度目。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が新型コロナウイルス感染症の景気対策として、ゼロ金利と量的緩和政策の導入を決定。2008年の金融危機の際に実施した異例の措置だが、かえって市場関係者の景気不安が強まり、売りが加速した>(以上「共同通信」より引用)



 世界的な武漢肺炎の感染拡大により世界中の株式相場が乱高下しているようだ。当然といえば当然のことだ。何しろ予期していなかった世界的な経済の収縮が起きているのだから。
 それに反して、金融市場は収縮どころかさらに金融緩和して拡大しようとしている。本来なら物資の輸送が滞りサプライチェーンが分断されたならインフレ予測から金利が上昇するはずだが、FRBは金利引き下げを決定したし、日銀も昨日の会議で金融拡大方針を堅持すると決定したようだ。ただし日銀は金利引き下げできないマイナス金利に突入したままだから、買いオペを発動するしか選択肢はないようだが。

 金融はバブル状態にある。実体経済の伸びとは乖離した金融緩和により金融市場はジャブジャブだ。その金融市場に日本政府はあの手この手を用いて国民を引き込んだ。年金もギャンブルに引き込んだし、個々人に投資信託と称する「ジャンク債」を銀行を通して売りつけた。
 少し前まで銀行は決して博奕を顧客に勧めるようなことはしなかった。しかし現在の銀行は国際的なハゲ鷹投機家たち並みの品格になってしまった。ウォールストリートの投機コンサルタントは年収数億円も稼ぐ者はザラにいるが、彼らは何か価値ある仕事をしているわけではない。トウモロコシ一つもネジの一個も作っていない。ただ巨額な資金を相場取引の中で投機資金をコマネズミのように動かしているだけだ。

 だから株式相場のダウが下落すれば忽ちルンペンになる。1920年の暗黒の月曜日が株式街で起きている。年収数億円の金満家たちが一夜にしてスッテンテンになってしまう。
 そうした博奕金融取引に年金基金を「自己責任」で運用しろと唆したり、老後資金を投資信託で運用しろ、と唆してジャンク債を銀行が買わしたりする。それも政府指針に沿った上でのことだ。しかし損失は「自己責任」だ。

 上記記事に一喜一憂してはならない。ただ金融取引は水物で、現在の金融は世界各国が競って金融緩和したジャブジャブのバブルだという認識を忘れてはならない。武漢肺炎ショックで株式市場が乱高下しているが、もっと巨大な津波が金融市場に襲い掛かろうとしていることを忘れてはならない。
 それは「元」が紙屑になる日だ。習近平氏は中国内で製造され日本へ送る予定だったマスクを緊急物資として工場から移動禁止措置を取った。だが、それは中国国内でマスクが不足しているからではない。

 習近平氏はマスクを「戦略物資」として使うつもりだ。今後アフリカや南アメリカで武漢肺炎が蔓延すればマスクが「戦略物資」となって利用価値が上がることを、武漢などへの日本からのマスク支援で知った。その手をアフリカや南アメリカ各国への「支援物資」として備蓄しておくことに決めたに過ぎない。日本でマスクが不足していようが習近平氏は知ったことではない。
 自分の利益のためなら何でもやるのが中共政府のやり方だ。武漢肺炎が何処から起きたか、習近平氏は検証するつもりのようだ。武漢肺炎のウィルスは米軍が持ち込んだものだ、と中共政府高官が発言しているようだ。保身と責任逃れのためなら何でもデッチ上げるのが中共政府の本質だ。その線上に南京大虐殺プルパガンダもある。

 現在は金融バブルにあることは間違いない。国際金融は各国が通貨の増刷でパンパンに膨れ上がっている。それは決して実体経済を反映したものではない。
 それは恰もここ数年の労働賃金の減少を無視して「日本はゆるやかに景気回復している」と安倍氏がつい先日も前年10-12月が年換算GDP-7.1%の感想を聞かれてそう答弁したのと似ている。実態と遊離した「虚言癖」を発揮しているだけだ。

 日経ダウ平均が暴落しようと、ニューヨーク・ダウが暴落しようと多くの日本国民は無縁だ。それらが実体経済を反映していないマネー・ゲームだからだ。それはアホノミクスにより上昇した株価が実体経済の好況を表して来なかったのと同じことだ。
 出口戦略を提示しないまま、日銀が異次元金融緩和策に突き進んでいるが、今や金融市場によって出口戦略を迫られる場面に直面させられている。つまり黒田戦略が終焉を迎えようとしていることだけは確かだ。

 いよいよ金融バブルの崩壊により、グローバル化は劇的な転換を迎える。グローバル化は金融屋たちが政治家を操って創り出した政策に過ぎない。中共政府もグローバル化に悪乗りして「一帯一路」を打ち出した。しかし、それも幻想に過ぎない。
 永遠に続いた「帝国」など一つもないことは歴史が教えている。金融帝国も金満ルンペンをウォール街に大量に排出して終焉を迎える。それは1920年に見た悪夢だ。

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