63億円もドブに捨てるこの無責任な歳出体質と、過去最高の国債残1057兆円。

<安倍晋三首相は10日の参院予算委員会で、2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画見直しについて「白紙撤回の前に締結した契約による支出は、その当時は適正な支出だったが、結果として白紙撤回したものに貴重な公的資金を使用したことは国民に申し訳ない思いだ」と陳謝した。
 その上で新国立競技場建設に関して「できる限りコストを抑制し、現実的にベストな計画を作るよう、内閣全体で責任をもって取り組んでいく」と強調した>(以上「産経新聞」より引用)

 新国立競技場の無駄となった支出額は〆て63億円だという。なんという無節操な歳出だろうか。所管官僚が辞任した以外に誰が責任を取るというのだろうか。安倍氏はザハ案を決めたのは民主党政権だったと、わずか数日で政権交代して以来、二年有余も放置してきた安倍自公政権の無能・無策ぶりを自省・自戒しないで済ますことは許されない。
 決定したのは民主党政権下の話だったかもしれないが、それ以降の実施に向けて基本設計や、それに伴う大幅な中央線付け替えなどの付帯工事が予想されたために3000億円を超えると予想された建設費を1600億円に圧縮したり、いやそれでも2520億円もかかるという積算が出たりしたのはすべて安倍自公政権下のことだ。安倍氏が臆面もなく「民主党政権下のことだ」といかにも民主党政権に瑕疵があったかのごとくに嘯くのは無責任の誹りを免れない。

 その伝でいくと、次期政権は「核兵器を移送できないとしたのは安倍政権下のことで、法律には核兵器の輸送を禁じているという条項はない」と嘯くのだろう。なにしろ法的安定性なぞ大したことではない、と切り捨てた補佐官が15分間の委員会での陳謝で済まされるご時世だ。
 日本国憲法が今ほど軽くなった時代はない。軽いことの例えに「鴻毛」の如しというのがあるが、日本国憲法はまさしく鴻毛の如しだ。安倍自公政権は63億円も支出し、ドブに捨てたことに関して、誰も責任を取らない。そしてついに国債残高は史上最大の1057兆円に達したという。

 それでも来年度の公務員給与は増額予定だという。この国の財政再建策は一体どうなっているのだろうか。国民には負担を求めるが、自分たちの給与や年金は聖域として削減対象として手を触れさせないというどころではなく増加させる、というのでは国民に増税を求めるのは無理な話ではないだろうか。
 自民党の一部議員から新国立競技場は建設しないで今ある施設を利用してオリンピックを乗り切ってはどうかという案が出ている。それこそ歓迎すべき「対案」というべきではないだろうか。そもそも神宮外苑は神宮の森が茂っていた。その森を取り戻すべきではないだろうか。

 そして箱モノに使うのではなく、予算は削減して圧縮し、森元総理がオリンピック実施まで付帯工事が1兆円かかる、とブチ上げた諸施設整備に関しても、当初予算を厳守させる必要がある。
 日本の官僚たちは予算の「頭出し」さえできれば、そののちに予算を暫時膨らまらるのは簡単だ、という観念がある。その最たるものが八ン場ダムだ。当初予算の十倍もかけて、なおも完成していない。そうした無定見な「予算」が存在することがこの国の諸悪の根源だ。断じて許すべきではないゾ、政治家諸氏よ。


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