国は対前年増の予算をいつまで続けるつもりなのか。

 ついに来年度歳出予算の概算要求額が100兆円を超えるという。<要求総額は今年度当初予算(95兆8823億円)に比べ約6兆円多く、政策経費は約3兆円増の約76兆円。国債費は11%増の25兆8238億円に上った。社会保障関係費は高齢化の進展で膨らみ、厚生労働省の要求額は3%増の31兆6688億円。2年連続で増額した公共事業関係費は6兆121億円と、16%増の要求になった。防衛省は島嶼(とうしょ)部の防衛強化に向け過去最大の5兆545億円を要求。景気回復による地方税収の上振れを見込み、総務省は自治体に配る地方交付税を16兆450億円と5%の減額要求とした>(以上『産経新聞』引用)

 いかに増税しようと対前年増の予算を組み続ける限り赤字国債は減少できない。このままでは来年度返済する26兆円に対して新規発行額は50兆円近くに達する。まさしくサラ金地獄の自転車操業だ。政府は国民に対して借金をし続け、さらに国民に負担の増額を押し付けようとしている。それをさもマスメディアは国民が一人当たり900万円も借金しているなどと、間違ったシグナルを国民に送り続けて官僚たちの間違った財政運営に免罪符を与え続けている。そうした無責任構造がついに概算要求段階とはいえ100兆円を超える歳出予算となってしまった。この危険な状況がマスメディアには解っていないのではないだろうか。

 既に日本は人口減社会に突入している。勤労人口に限れば毎年100万人規模で減少している。対前年増の予算を組み続けている状態でないことは人口を見れば歴然としている。なぜならGDPの過半数を占める個人消費がこれ以上伸びを期待するのは無理だからだ。
 経済成長の限界を国家として見据えた財政運営をしなければならない。つまり歳出削減圧力は日本の人口を見るだけで実施に待ったなしだとの危機感を覚えるべきなのだ。しかし官僚はもとより、政治家にその危機感は希薄だ。

 厚労省の予算請求増は年金・医療などの社会保障費の増加だと説明されている。しかし人口減になれば医療費や年金の支出は減少するものだ。ただ、老人人口が増えるから当面は医療・年金会計が膨張を続けると説明されてきた。
 医療費に関しては既に電算処理されているレセプトをビッグ・データとして捉えて管理しようとの発想になっているようだ。ビッグ・データを適正運用すれば医療費の適正化に大きく役立つだろう。なぜなら一人当たり一日に処方する適切な薬剤は人の肝臓などの処理能力から限度があるからだ。それを超えて患者を薬漬けにする医療行為は仁術ではなく算術でしかないからだ。

 同様にカルテの電子化と一元管理によるビッグ・データ化すれば重複検査の排除や過剰医療の排除はもっと適切に実施できるだろう。なぜカルテの電子化に厚労省は乗り出さないのだろうか。それは医療費の適正化だけでなく、国民の医療情報を一元管理することにより何処の医療機関にかかってもカルテが医師に共有されることにより既往症やアレルギーなどの個人情報も得られて医療過誤が未然に防げる。
 それのみならず患者が各地の医療施設を巡る過剰医療の阻止も可能になる。医療費の増大を問題にするなら無駄を省くことを考えるべきだ。医療行為は仁術であって、医療機関の算術であってはならないという理念を徹底させる必要がある。

 年金に関しては高額年金を受給している階層こそ問題にすべきだ。一年間に勤労者の平均年収以上受給している年金所帯の年金は一律全額カットされてしかるべきだ。それはあらゆる「年金」と名のつく公的な年金すべての総額に適用すべきだ。他の年金と「議員年金」との合計額が勤労者の平均年収を超えている部分も全額カットする必要がある。ヌクヌクとした既得権益に一部の国民が浸っているのを許してはならない。
 さらに高額年金受給者も既得権益とみなすべきだ。高額年金受給者の既得権を維持するために貧困層に厳しい「消費増税」をするというのがいかに社会保障の理念から逸脱しているか。なぜマスメディアはそのことを一切報じないのだろうか。自分たちが高額年金の既得権者たちだから、自分たちの既得権を守るために報じないのだとしたら、これほど腐り切った人たちはいないだろう。

 そして暮らせる最低年金をすべての国民に支給すべきだ。当然、65歳以上に生活保護費は無用となる。その部分が減額されるのはいうまでもない。
 一握りの官僚や公務員、さらには特別職の議員たちによって国庫や地方財政は食い潰されようとしている。彼らのすべての既得権を剥ぎ取ることを徹底させなければならない。元来、公務員給与は「民間給与に準拠する」とされている。その基本線を護らない人事院は必要なのだろうか。労働三権を奪わなければ労働争議が頻発して公的機関が動かなくなるのだろうか。彼らは労働争議を起こさなければならないほど過重な労働と薄給により生活が困窮しているのだろうか。単なる既得権益の上に胡坐をかいて国民にふんぞり返って税や負担を押し付けているだけではないだろうか。

 公共事業をさらに増やしてどうするつもりだろうか。現状ですら資材不足人手不足で資材費が高騰している。入札が方々で不調になり、さらに高価な丸公単価が上がっている。民間事業費とどれほど乖離しているか、ハコモノの坪単価建設費を比較するキャンペーンをなぜマスメディアは行わないのだろうか。
 ガランドウの公共施設の建設費が坪単価150万円を超えるのは珍しくない。マンション建設ですら坪単価100万円というと目玉が飛び出るほど高級物件だというのに、だ。しかし、そうしたことが議会で問題になることは国会でも地方議会でも全くない。議員と称する連中がいかにダメな連中の集まりか、国民はもっと怒るべきだ。

 しかし議員たちは高額な「議員歳費」や様々な「手当」などを通じて官僚や公務員に飼い慣らされてしまっている。それが特別職たる自分たちの既得権益だと思い込まされ、官僚や公務意の既得権に切り込むのは自分たちの既得権を手放すことだからと馴れ合っている。
 税金食いたちの傲慢さは一体なんだろうか。それは税負担者たちの大人しさと無知が原因だ。無知ということはこの国のマスメディアが適切な情報を主人たる国民に開示していないからだ。100兆円を超える予算の概算要求がいかに浮世離れした既得権の塊か、国民はもっと知らなければならない。


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