立憲主義を否定する内閣と自公政権の暴走。

 2014年7月1日は戦後史を明確に分かつ日として日本史に刻まれるだろう。立憲主義を時の内閣が否定した日として。
 安倍氏の閣議後の記者会見を聞いて彼の集団的自衛権に対する強い思いは伝わったが、戦後一貫して集団的自衛権は憲法第9条に反するとして否定してきた。それを閣議決定による『解釈改憲』で可能にする、というのは余りに稚拙ではないだろうか。

 しかし安倍氏は「ホルムズ海峡が封鎖されれば日本はたちまち混乱に陥る、だから日本が攻撃されていなくても機雷掃海に出動しなければならない」などと有り得ない想定を語ってみせた。ホルムズ海峡を封鎖するなどと、どこの馬鹿がやるのだろうか。
 中東の石油に依存していない非産油国は世界のどこにもない。人類共通の利益を破壊して喜ぶ勢力はテロ集団といえども存在しない。彼らを支援する組織もホルムズ海峡の安全航行により利益を得ているからだ。

 有り得ない想定は他にもあった。日本人を他国の艦船で輸送中に第三国により攻撃された場合に日本は集団的自衛権により第三国と戦う、という設定だ。紛争地域から邦人が撤退するのに他国が艦船を提供することが有り得るだろうか。日本国民を保護する義務を負うのは日本であり、当地の日本大使館や日本領事館がその任に当たる。
 それを放棄して現地の日本大使などが勝手に引き揚げたとでもいうのだろうか。有り得ない想定だ。そうしたデッチ上げた想定により日本国民に実在しない危機感を煽り、実在する日本国憲法を無視する正当性を訴える、というのはマトモな大人のやることではない。

 憲法第9条を改正して世界の普通の国家にすべきと私は考える。しかしそれなら日本駐留米軍の在り方も同時に問題として米国と撤退について協議しなければならない。なぜなら日本は普通の国家として米軍とも共同軍事行動がとれる国家になるのだから、日本国内に大量の米軍が駐留している必要はない。
 むしろ、首都圏にこれほど大量の米軍が展開しているのは日本が憲法第9条の縛りにより軍事的に独立していないからであって、その規定を憲法改正により改正しようというのなら米軍の撤退と同時進行で議論しなければならないだろう。もちろん、自衛隊の増強と攻撃兵器の保持・開発についても国民的議論が必要となる。

 日本が普通の国家になるのなら当然空母を旗艦とする機動艦隊を最低でも二群保持しなければならない。航続距離の長い輸送機ももちろんだが、即時海外展開できる部隊を全国に数部隊展開しておく必要がある。
 そうした広範な議論と準備があって集団的自衛権を含めた軍の在り方とその陣容を必要性を主眼として設定しなければならない。当然、日本からすべての米軍が撤退したという設定の元での話だ。その上で米国と同盟関係を結んで軍事協力するのが集団的自衛権本来の在り方だ。

 昨夜の安倍氏の説明では自衛隊を米軍の三下奴として使役しようという下心が透けて見える。米国の財政的な理由から一部撤退する米軍の後釜を自衛隊に担わせるための米国の戦略に日本が丸々加担する、という構想が見えている。
 そうでないというのなら、日本国内から米軍の撤退を米国に要請すべきだ。日米安保条約でなく、日米軍事同盟を結ぶ用意があると、米国に説明すべきだ。そして解釈改憲ではなく、国民の同意のもとで憲法改正の手続きを経て実施すべきだ。安倍氏は飛んでもない悪手を打ってしまった。その悪手をどうやって解消すべきか、次の政権は宿題を課された。その悪手解消なくして世界的に毀損した日本の立憲主義国家の対面は保たれない。


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