国民は政治が1%対99%の戦いになっていることを認識すべきだ。

 高給を保障されている能天気なマスメディアが国民を誤魔化す報道に専念している。何を誤魔化しているのか、それは年金制度がこのままでは破綻する、という試算を「コレデモカ」と国民に宣伝していることだ。
 年金制度に関する試算の主要なモデルは『厚生年金』で、その現役勤労者の平均年収の何㌫を年金として支給できるか、という馬鹿げたモデルだった。それは官僚が『このままでは現行年金制度では支給額が50%を下回るゾ」という脅迫する作文でしかない。

 何であれモデルを提示するには前提条件を仔細に説明しなければ意味がない。いや、国民を「このままでは破綻するぞ」と脅せばよい、というのなら大成功だが。
 現行の厚生年金支給対象人口割合で推移するなら厚労官僚がマスメディアをして広報したとおりかも知れない。しかし厚生年金制度に加入出来て厚生年金を満額受給できる人口割合が現行のままとは決して思えない。なぜなら現行の年金受給世代が働いていた時代と、現在の現役が働いている労働環境は大きく異なっているからだ。

 そうなったのは今から十年前の『小泉・竹中』コンビによる派遣業法大幅規制緩和と構造改革による何でもアリ社会の到来により大きくそれ以前とそれ以降と異なるからだ。厚生年金に加入できるのは一握りの正規社員だけだ。派遣社員やパートタイムやバイトは国民年金に加入するしかない。
 そして国民年金加入割合が劇的に増えていることを無視して未来推計を国民に提示するのは無責任の謗りを免れない。「このままの保険制度と税制では支給額は現役平均給与の50%どころか39%に低下するンだぞ」とテレビの報道番組を総動員して国民をこれほど脅迫するのは、この10月にも『政府が決定する』来年10月から消費税10%を国民が受け容れざるを得ない国民世論環境を整えるためだろう。

 しかし将来推計でモデルとして示した厚生年金受給者の数が現在の受給割合と異なるのなら推計モデルの基礎となる数字が異なってくるのは当たり前だ。なぜその推計予測の基礎とした各種年金受給者割合をマスメディアは説明しなかったのだろうか。
 そして、基礎数字を示さない厚生年金の推計支給額は確かに説明したが、共済年金の説明は一切なかった。もちろん国民年金の説明も一切なかった。現在、共済年金加入者は500万人弱だが、厚生年金加入者は3000万人ほどで、国民年金加入者は6000万人ほどだ。もっとも多く加入している国民年金の説明なしに、年金の未来推計を説明されても、それは多くの国民にとって『消費税10%』導入の露払い程度の意味しかない。

 さらに政府・自公は<自民、公明両党は5日、与党税制協議会を開き、生活必需品の消費税率を低く抑える「軽減税率」の導入に向けた基本方針をまとめた。まず、飲食料品のうち何を軽減対象にするかについて8通りの分類案を提示。7月から業界団体へのヒアリングを開始し、9月以降、取りまとめの議論に入る。公明党内などでは、新聞・書籍についても「民主主義を支える『知識』には課税すべきでない」との意見が根強く、年末の税制改正論議などで改めて検討する見通しだ>(以上『毎日新聞』引用)というように、軽減税率を梃子に各業界を個別的にてなづけようとしている。
 しかし軽減税率とは名ばかりで、この春に税額を上げた8%で据え置くというものでしかない。軽減税率、と命名するなら英国並みに『非課税』とすべきだ。

 日本は既に1%対99%の激烈な戦いの場になっている。かつて終身雇用制度で労働者が守られ、派遣業も厳格な規制法により限定的でしかなかった当時、日本は高度経済成長を遂げた。しかし官僚たちとマスメディアが不動産バブルを『罪悪』とするプロパガンダを連日垂れ流し、国民を集団ヒステリー状態に陥れて最悪のバブル崩壊劇を演じた。
 バブルを崩壊させて、一体誰が得をして、一体誰が損をしたのか、評論家たちは自分たちが崩壊劇を煽った責任の一環として国民に説明すべきだ。バブル崩壊後の長期デフレ経済の間にこの国はどのように変化したのか。冷静な分析をマスメディアも官僚も、バブル崩壊劇に国民を誘導した当の責任者たちは誰も説明していない。その陰にいたのは紛れもなく日本の資産膨張をバブルと断定して、デフレ経済により徹底的に叩こうと目論んだ米国のハゲ鷹たちがいたことを誰も指摘しないのはなぜだろうか。そして公的資金を2兆円も注入した銀行を僅かな売却額で米国ハゲ鷹に誰が売却したのか、忘れてはならない。日本の国民は『諸悪の根源はバブルだ』とするマスメディアのプロパガンダにより、集団ヒステリーと集団催眠に誘導されて『バブル叩き』に熱狂し拍手した。その結果が現在だ。この20年間に一体何が起こったのか、冷静に検証すべきだ。

 この国のマスメディアも1%によって支配されている。官僚は勿論、国民に奉仕する人たちではない。政治家たちは自分たちを当選させる者に奉仕すべきだが、彼らの程度が余りに低すぎる。一体自分たちは何に奉仕しているのか、すら理解していない政治家が殆どだ。
 いよいよ安倍政権は日本の虎の子のGPIFもハゲ鷹の餌食に供すことに決めたようだ。1%対99%の戦いである現実から目を逸らしている時間的余裕はない。この国は何処へ向かおうとしているのか、国民は一人ひとり頭脳でじっくりと考えるべきだ。思考までマスメディアなどの「あー、そうだったのか」任せにしてはならない。一人一人が責任を持って考えなければならない。それが民主主義の基本だ。


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