あらためてTPP参加に反対する。

 幸いなことにオバマ氏への「お土産」としてTPP妥結を供することはなくなったようだ。それは日本政府の手柄ではなく、日本国内のTPP反対派の手柄でもない。ひとえに強欲な米国ハゲ鷹たちの思惑が外れただけだ。
 米国議会は多数派を占める共和党と民主党の一部が日本の農産品に関税を温存したままTPP参加を認める妥協は一切しないと決めている。オバマ大統領も安倍氏に農産品に対する関税完全撤廃を強く求めただろうが、いかに米国のポチ政権といえども、政権基盤を揺るがす決定は出来ない相談だったようだ。昨夜にも大臣級協議をして妥結を図るのではないかと報じていた日本のマスメディアの多くは予想を外したわけだ。

 なぜ米国は日本の関税完全撤廃を求めるという強硬な態度を崩さないのか、それは例外を日本に認めると他の加入諸国に伝播して南米諸国も農産品に対して関税を温存しようとするからだ。そうすれば米国内の穀物メジャーはせっかく手に入れかけた大きな利益を失うことになる。
 日本は締め上げればいつかは従う、というのが米国の観測だ。TPP参加に向けて今回のオバマ大統領訪日の間は妥協に到らなくても、それを宿題として日本に課し圧力をかけ続ける戦略に切り替えることも予想される。

 その米国の要求を日本国内で着実に結実させている竹中氏たち「新自由主義」者たちはこれから益々攻勢に転じるだろう。日本市場を丸裸にして米国への貢物にするために、彼らは日本国内法の整合性や仕組みを無視して突き進もうとしているかのようだ。
 たとえば不動産取引をネットで出来るようにしようとする試みが政府から漏れてきた。ネットで不動産取引を容認した場合、重要事項説明を対面により宅建主任者が行うとしている宅建法との整合性をどうするのか。たとえば売買の当事者認証を不動産業者のみならず司法書士や法務局担当者たちはどうやって確保するのだろうか。ネット取引容認で米国ハゲ鷹たちが直接日本国内不動産の売買を行える途を開こうとの企みだろうが、無理を通せば道理が引っ込むという言葉を知るべきだ。

 関税自主権は明治日本の悲願だった。関税を自ら決められなければ肉ない産業の育成や振興は不可能になる。明治日本は富国強兵策を推し進めなければ欧米列強の植民地にされることは解っていた。だから明治政府は必死になって日本のために関税自主権の回復に全力を注いだ。たとえ鹿鳴館を造って「西洋かぶれめ」と蔑まされようと、国粋主義者に襲われようと、彼らは日本のために欧化政策を推し進めた。
 関税を完全に撤廃することは日本の国内産業政策のコントロールを失うことに他ならない。それ以上にISD条項は日本の社会慣習や日本の文化までも破壊しかねない。その一つが「地域限定性社員」などという転勤という習慣のない米国流の企業経営を日本に持ち込もうという企てが竹中氏たち「新自由主義」者たちによって画策されている。

 かつて資本主義は極端な格差社会を生み出した。「資本論」を書いたマルクスが見た19世紀の英国の姿だ。その極端な格差社会に対する反省により「修正資本主義」が生み出された。つまり社会保障制度のある資本主義社会だ。
 応能負担と一律支給という大原則とする社会保障制度の創設により富の再配分という概念が資本主義社会の極端な格差是正に作用した。
 しかし米国から湧き上がっている「新自由主義」は原始資本主義社会を目指しているかのようだ。1㌫の人たちが富めば99㌫の人たちが困窮しても、それは自由競争の結果だから誰を恨むこともない、というハゲ鷹たちの論理だ。日本を米国型の社会にすることが望ましいと日本国民は本気で思って安倍政権を支持しているのだろうか。いや、日本の反日マスメディアによる巧みな世論操作により安倍政権の高支持率は創られているのだろう。

 ともあれ、TPPへの完全参加を求めて、米国ハゲ鷹たちは今後も手を変え品を変えて仕掛けて来るだろう。安倍氏は彼の郷土の大先輩たち、井上馨や伊藤博文たちが苦心惨憺の上に獲得した゛関税自主権」を放棄しようとしている。ただ農産品の関税完全撤廃が足枷となって今回は頓挫したが、米国のハゲ鷹たちは執拗だ。こころして「新自由主義」信奉者たちの動きから目を離してはならない。


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