安易な関税交渉は国内産業を衰退させる。

 日・豪政府は関税交渉でオージービーフに関して30数%を20%前後に引き下げることに合意したようだ。これを梃子にして農産品に対して関税撤廃を求めている米国に譲歩を迫るつもりのようだが、米国は依然として例外ない関税撤廃を強く求めているようだ。
 しかし国内農業を守り、食糧の安全性を確保するためにも安易な譲歩は認められない。一旦妥結したなら再び関税を設けたり引き上げたりすることは不可能に近く、関税政策に失敗したからといって元に復することはないと覚悟しなければならないだろう。

 米国は自国の自動車産業を守る自動車に対する関税の存続はキッチリ固めて、日本が例外なく守るつもりの農業産品に対しては一切の妥協を許さないという態度はいかがなものだろうか。そもそもTPPとはあらゆる関税を撤廃する、という原則に立つ交渉ではなかっただろうか。
 日本は一次産業に関して譲歩することは出来ないし、他の産業に関しても自由貿易主義を標榜しつつも、国内政策により関税を設けて国内産業を保護しなければならない場合も出てこないとも限らない。たとえば将来のips細胞技術による新薬が開発された場合、国内の遺伝子操作技術の育成と新薬開発の助成を国策としてやらなければならない場面が出てこないとも限らない。その場合に「非関税障壁」だと認定されて損害賠償騒動に発展しかねないTPPに参加することに懸念を覚えざるを得ない。

 自動車などの工業産品に関しても、いつまでも日本国内企業が常に優位にあるとはいえないだろう。いつかは他国に先を越され、その分野から撤退することは国の政策として是認できない分野がないとはいえない。
 関税自主権は明治日本政府の悲願だった。その歴史的事実を政治家諸氏はもう一度顧みるべきだ。安易なTPP参加は国家百年の計を誤りかねない。自由貿易により日本は発展してきたし、今後とも貿易が日々の国民生活と日本の発展に欠かせない。そうしたことを十分に考慮した上でも、関税自主権を完全に撤廃し、あまつさえ非関税障壁にまで他国の企業が土足で踏み込む権利を認めるTPPへの参加は狂気の沙汰というしかない。


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