「小沢氏排除」は自信のなさの現れだ。

  野田氏が「小沢氏処分を見直すつもりはない」と言うのは小物政治家として当然だろう。なにしろ菅氏に担がれ仙谷氏の応援を得て、菅政権の中枢幹部を居抜きで登用した雇われママのような野田政権だから予測された結果通りだ。しかし輿石氏までが「当分見直す必要はない」と発言するのは戴けない。幹事長となり党内融和を優先したい気持ちは分かるが、党内融和のために政治家の権利を剥奪したままで良いわけはない。


 


 日本の大マスコミや政治家の多くが「小沢氏の処分」に異議を唱えないが、この異常事態を異常だと感じないほど公平・公正を旨とする判断基準が麻痺しているのだろうか。この国のバカげた憲法ですら「基本的人権」を謳いあげ、刑罰における「推定無罪」の原則を規定している。小沢氏は地裁裁判で「有罪」判決を得たわけではなく、まだ公判廷すら始まっていない。その段階でこの国の大マスコミは押しなべて「確定した犯罪事実」でもあるかのように「政治とカネ」なるプロパガンダを連日嵐のように繰り広げ、国民に小沢氏の悪印象を徹底的に刷り込んでしまった。これが犯罪でなくして、一体なんだろうか。


 


 野田氏はそうした危険な現代日本の「魔女裁判」を承知の上で、菅氏たちのしでかした人権無視の政治家生命を脅かす「処分」を撤回しないと言い放った。なんたる悪辣さだろうか。彼はどの勢力とコミットし、どのような利権構造に奉仕しようとしているのか、自ら宣言したに等しい。そして現行法上沖縄県議会の同意なくして出来もしない「公有水面埋め立て」を伴う辺野古沖移設案を実施すると米国でオバマ氏に明言した。これほど明確な二枚舌を野田氏は平然と用いたが、沖縄県民は再び莫大な「特別振興補助金」の掴み金で故郷を売る決定に手を貸すだろうか。決して彼らは二度と集団催眠術にかからないだろう。


 


 誠意なき人物は誠意なき言辞を平気で弄する。それが一時しのぎのその場限りだとしても、本当に責任を取らなければならない事態に陥った時に、自分は首相の椅子に座っていないことを見透かしたかのように。かつての菅氏がそうだった。鳩山氏はマトモな「最低でも県外」発言により米国の大マスコミによってではなく、日本の大マスコミによって首相の椅子を追われた。日本の大マスコミが奉仕しているのはどうやら日本国民ではなく、米国のようだ。そして日本の官僚たちも日本国民に奉仕しているのではなく、日本国民の税と負担により米国当局に奉仕しているかのようだ。


 


 野田氏には何も期待しない。政治的手腕もなければ高邁な理念すらも窺えない。松下政経塾の後輩たちと仲良しクラブ内閣を作って、日本国民の税と負担金でしばしの間政権ごっこをして遊ぶのだろう。それでも民主党が政権にある間は仕方ないが、せめては民主党を政権に就けた大先輩を座敷牢から一日も早く出すべきが筋ではないか。それすらも失念したドジョウは泥の中に潜って冬眠することだ。



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