醜悪な理念なき菅政権。

 かつて菅政権には理念がないと書いた。ただ理念らしきものがあるとすれば政権を絶対に手放さない、という図々しさだけだ。政権交代に一票を投じた国民を全く裏切ってしまった菅政権の迷走ぶりには呆れ果てて言葉もない。


 


 わざわざ党外から財政再建論者で増税ありきの与謝野氏を経済財政担当大臣に起用するなぞという暴挙を行うとは信じられない。与謝野氏が悪いというのではない、民主党が掲げていたまず歳出削減を行って後に税制論議をしようとする道順が崩れてしまったとしかいえない。それとも枝野氏が陣頭指揮で行った財務省主導のおざなりな事業仕訳で歳出削減は終わったということなのだろうか。


 


 小沢氏には徹底して強気だが、官僚に対しては借りてきた猫のようだ。どちらが主人か分からないほどの官僚政治に逆戻りしてしまった。国民の期待は大きく裏切られ、民主党政権は確実に凋落の坂道を転がり落ちていく。もう誰にも止められないだろう。


 


 それにしても菅氏の強気の源泉は何だろうか。党内に禍根を残してまで強引に党大会を幕引きしてしまった姿勢は党内民主主義を蔑にするものだ。口先では「挙党体制」と唱えつつ、これでは墜落するしかない片翼飛行をこれからも続けるということなのだろう。


 


 年度末にかけて菅政権が直面する来年度予算審議で必ず直面する窮地を民主党が一致結束して対処することもなくなった。菅氏は民主党支持者からも石を持て追われる立場を選んだが、大手マスコミの論調は彼に対して大変優しい。彼は大手マスコミのペットと化したかのようだ。これから迎合主義者の四肢滅裂ぶりを国民は目の当たりにすることになる。自民党的な政策との対立軸となる政党を失った日本の政界はますます溶解していくのだろうか。



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