当面、ドル基軸通貨から代替できる通貨は存在しない。
国による基軸通貨の保有は貿易決済通貨として必要なものだ。そして国がある程度保有していないと民間貿易決済で国の保有外貨がショートしてしまう。そのため後進国や外貨準備数量の少ない国に対して、FRBはその国の通貨を引き受けてドルと交換して融通している。たとえば韓国が破綻した1997年当時は米国FRBはウォンを引き取り、同額のドルを融通している。
日本で問題なのは政府が保有している60数兆円分のドルだけでなく、正式発表されていない銀行や生保が保有しているドルが実は膨大な額に及んでいることだ。中国は70兆円程度の外為保有ドルを「叩き売ってやるぞ。そうすれば米国経済は破綻するだろう」と何かにつけて脅していた。それに対してFRBは数日前に60兆円程度の米国債買い取りを行うと発表した。米国は幾ら中国が脅しても構わないという策を手にしたわけだ。ただ、そのとばっちりは日本に及ぶだろう。
国民に不人気な仏国大統領は露骨に中国に取り入ろうとしている。それにより仏国経済を浮上させて人気回復の一助としようとしているようだ。それを敏感に感じ取った中国政府はエアバスを200機ばかり購入契約を締結したという。どうやら欧州人は恥を余り知らない現金な人種のようだ。自分さえ良ければ他人の迷惑は考えない。そうした国が人権啓蒙運動発祥国とは泉下の先人たちは嘆いているだろう。そこまでやるほどなら、しっかりと筋を通して大統領選挙で敗れる方が人生と国家に汚点を残すよりはマシだと考えないのだろうか。