なんとも誇大妄想な人だろうか。
北朝鮮と日本は国交がない。そうした状態で先日の半島併合百年の談話は半島全体に効力が及ぶ、とはなんとも誇大妄想な人だと世界から笑われるだけだ。条約の定義でいえば談話は条約に基づく共同声明でもない。一定の会談で合意を得た声明でもない、いわば今はやりのツイッターのような独白に過ぎない。それを国交もない相手に向かって「半島全体に効力が及ぶ」と宣言するとは誇大妄想の類いだ。そもなければ外電を傍受しているはずだから、それを韓国と同じように解釈せよ、と北朝鮮の方角へ向かって叫んだだけだ。
外交に疎い国内的には有効かもしれないが、正式に外交チャンネルを通して発した談話でもないものを、半島全体の残り半分の国民も聞いているか、というのは明らかに礼を失する。
それよりも日本首相として的確に反応すべきは円高対策だ。国民の多くに影響の及ぶ世界的な問題に対しては「談話」どころか新聞記者相手に「注視する」といったにすぎない。なぜ「急激な円高は我が国産業に及ぼす影響は多大であって、深く憂慮する」程度の発言ができないのだろうか。そして更には為替介入をするぞ、と世界の投資家を脅すぐらいの芝居を打てないのだろうか。
菅氏は政権を担う人として致命的な欠陥がある。鼎の軽重を瞬時に判断できないということだ。たとえ策がなくても軽井沢から直ちに官邸へ戻り、ポーズだけでも為替担当官僚を官邸に呼びつけるくらいの芝居を打てば産業界は少しは安堵するものだ。それがマインドとして相場に敏感に反応するのだ。そうした芝居も打てず軽井沢でのうのうとしているのは正に選挙前夜に消費税10%増税を打ち出して国民がどのような反応を示すか全く分からなかったのと同じ病理だ。首相たる菅氏には一分一秒たりとも私的な時間はないし、そうした時間を浪費することは許されない。どうしても夏休みを軽井沢で過ごしたいのなら首相を辞任してからにしてはどうだろうか。