現在「国のために戦う」国民は13.2%しかいないが、
<ロシアによるウクライナ軍事侵攻から100日を超え、各国が軍事費や防衛費を引き上げするなど国防意識が高まっている。統計データ分析家の本川裕さんは「『国のために戦いますか』という問いに、日本人が『はい』と答えた率は世界最低の13%でした。調査を時系列で見ていくと、50歳以上の中高年の国を守る気概が下がっていることがわかった」という――。
先の大戦後80年にわたって平和が続く日本は世界の大国の中でも特異な存在だが、それだけではなく、若者は学校教育の戦後史観に色濃く洗脳されている。
教育が若者に及ぼす影響が大きいのは、同様の世論調査を他国で行った場合は、「戦わない」と回答したのは、ベトナムは3.6パーセント、中国は10.2パーセント、ロシアは22パーセント、アメリカは38.6パーセントとなっている。
徴兵制もなく義務教育で先の大戦を「悪」と教え、国防の必要性を教える授業も行われていない日本において、若者たちの考えがどのように形成されるかを顕著に表している。
◎世界を覆う戦争の影
ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まって以来、戦争の影が世界のどこにおいても強く意識されるようになった。そうした中で、NATO諸国が軍事費の対GDP比目標を2%以上に引き上げたのにならって、中国の台湾侵攻や海洋支配拡大、ロシアの対外膨張への懸念を深める日本も同様に防衛費を増額するといった動きが見られる。
しかし、こうした状況変化は本当にロシアによるウクライナ軍事侵攻によるものなのだろうか。あるいは、むしろ、世界で広がる国防意識の高まりに刺激されるかたちでロシアによるウクライナ軍事侵攻もそれへの各国の反作用も起ったのではなかろうか。
この点についての見通しを得るため、今回は、1981年から実施されている世界価値観調査(※)による「国のために戦いますか」を調べた結果をよく検討してみよう。
※世界数十カ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票で各国国民の意識を調べ相互に比較する「世界価値観調査」が1981年から、また1990年からは5年ごとの周期で行われている。ただし、最新調査は前回調査から7年経過した2017年からはじまった。各国ごとに全国の18歳以上の男女1000~2000サンプル程度の回収を基本とした個人単位の意識調査である。
同調査では調査開始以来、「もし戦争が起こったら国のために戦うか」という問を継続的に設けている。図表1では、この設問に対する各国の最新の回答結果を示した。日本語での設問文の全文は「もう二度と戦争はあってほしくないというのがわれわれすべての願いですが、もし仮にそういう事態になったら、あなたは進んでわが国のために戦いますか」である。各国の調査票も同様である。

「はい」の比率が日本の場合、13.2%と、世界79カ国中、最低である。「いいえ」の比率は48.6%と6位である(「いいえ」の1位はマカオの59.0%)。
「いいえ」が「はい」を10%ポイント以上上回っているのは、値の大きい順に日本、スペイン、マカオ、スロバキア、アンドラ、リトアニアの6カ国である。第2次世界大戦の敗戦国側か、戦争との関係で複雑な経緯を抱えているという共通点をもつ。
前回(2010年)調査では、やはり敗戦国だったイタリアやドイツも「いいえ」が「はい」を10%ポイント以上上回っていた。もっとも、今回イタリアの差は縮まった。ドイツに至っては2つの回答が逆転し、「はい」が「いいえ」を上回るに至っている。
もし戦争が起こったら国のために戦うかどうかという点に関する国民の意識に先の世界大戦が如何に大きな影響を与え続けているかがうかがわれる。「戦争はもうこりごりだ」という感情が強いためと単純にとらえられる側面が大きいのである。
正義感から戦場でこそ役割を果たしたいと、2010年に、志願して国際治安支援部隊(ISAF)の一員としてアフガニスタンにいった元ドイツ軍歩兵はそう考えるに至った過去をこう振り返っている。
「ドイツでは第二次世界大戦の苦い経験から、兵士の仕事を批判的にみる人が多い。でも、僕は子どものころから兵士になりたかった」(東京新聞2016年3月25日)
日本でもやはり自衛隊は社会的評価がかつては今よりずっと低かった。敗戦国に共通の心情があるのだと考えられよう。
もっともドイツは、「はい」「いいえ」の割合が、前回(2013年)の41.7%対54.4%から、今回(2017年~18年)、44.8%対40.6%へと逆転しているのが印象的である(後段の図表2参照)。敗戦国意識から徐々に抜け出し、EUリーダー国として国家意識が高まっているとも見られる。
日本の場合は、敗戦国だという事情に加えて、日本国憲法が他国の憲法にない戦争放棄条項を有しており、憲法に対する遵法精神の上からは、この問は答えにくい内容をもっているといえる。日本は、「はい」が一番少ないだけでなく、「わからない」が38.1%と世界で最も大きい値を示していることからもそれがうかがわれよう。
第2次世界大戦の敗戦国、および戦争放棄条項をもつ憲法を有する国ということから、こうした回答結果となっているのであって、日本の若者が軟弱になっているからといった素朴な見方はあてはまらないことが、こうした国際比較から分かる。日本だけの調査結果であったら、「はい」と答えた者の少なさの理由として、日教組の影響、若者の軟弱さ、愛国心の欠如などが挙げられた場合、そうかもしれないと誰もが思ったであろう。
逆に、「はい」の比率の高い国は、第1位はベトナムの96.4%であり、第2位以下は、比率の高い順にヨルダン、キルギス、バングラデシュ、中国、フィンランド、インドネシア、パキスタンである。ほとんどがアジアや中東の発展途上国である。
中国は、後にも見るように「はい」の値が前回の74.2%から88.6%へと14.4%ポイントも増加している。日本の隣国の大国なので無関心ではいられない。
欧米先進国は、ノルウェーやスウェーデン、フィンランド、デンマークといった北欧諸国がかなり上位なのを除くと、フランス、英国、米国、オーストラリア、オランダといった順でほぼ中位の水準にある。日本の「はい」の低さの原因の一つとして、経済先進国だからという点も挙げられよう(解釈次第では、経済的に豊かなので敢闘精神が欠如している、あるいは命の値段が高くなっている事情があるとも言えよう)。
なお、共同防衛というより個別防衛を国是とし、そのために「国のために戦う」意識の強かった北欧諸国もロシアによるウクライナ侵攻を受けて次々に防衛政策の歴史的な転換を図っている。
すなわち、スウェーデン、フィンランドは、ロシアを不必要に刺激しないようNATOに加盟せず、個別に国を守るという方針を転換し、NATO加盟を申請するに至っている。またデンマークはNATO加盟国でもEU加盟国でもあるにもかかわらず、これまでEUの共通安保・防衛政策に対しては適用除外権を行使していたのであるが、新たに共通政策に加わることとなった。
ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まって以来、戦争の影が世界のどこにおいても強く意識されるようになった。そうした中で、NATO諸国が軍事費の対GDP比目標を2%以上に引き上げたのにならって、中国の台湾侵攻や海洋支配拡大、ロシアの対外膨張への懸念を深める日本も同様に防衛費を増額するといった動きが見られる。
しかし、こうした状況変化は本当にロシアによるウクライナ軍事侵攻によるものなのだろうか。あるいは、むしろ、世界で広がる国防意識の高まりに刺激されるかたちでロシアによるウクライナ軍事侵攻もそれへの各国の反作用も起ったのではなかろうか。
この点についての見通しを得るため、今回は、1981年から実施されている世界価値観調査(※)による「国のために戦いますか」を調べた結果をよく検討してみよう。
※世界数十カ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票で各国国民の意識を調べ相互に比較する「世界価値観調査」が1981年から、また1990年からは5年ごとの周期で行われている。ただし、最新調査は前回調査から7年経過した2017年からはじまった。各国ごとに全国の18歳以上の男女1000~2000サンプル程度の回収を基本とした個人単位の意識調査である。
同調査では調査開始以来、「もし戦争が起こったら国のために戦うか」という問を継続的に設けている。図表1では、この設問に対する各国の最新の回答結果を示した。日本語での設問文の全文は「もう二度と戦争はあってほしくないというのがわれわれすべての願いですが、もし仮にそういう事態になったら、あなたは進んでわが国のために戦いますか」である。各国の調査票も同様である。

「はい」の比率が日本の場合、13.2%と、世界79カ国中、最低である。「いいえ」の比率は48.6%と6位である(「いいえ」の1位はマカオの59.0%)。
「いいえ」が「はい」を10%ポイント以上上回っているのは、値の大きい順に日本、スペイン、マカオ、スロバキア、アンドラ、リトアニアの6カ国である。第2次世界大戦の敗戦国側か、戦争との関係で複雑な経緯を抱えているという共通点をもつ。
前回(2010年)調査では、やはり敗戦国だったイタリアやドイツも「いいえ」が「はい」を10%ポイント以上上回っていた。もっとも、今回イタリアの差は縮まった。ドイツに至っては2つの回答が逆転し、「はい」が「いいえ」を上回るに至っている。
もし戦争が起こったら国のために戦うかどうかという点に関する国民の意識に先の世界大戦が如何に大きな影響を与え続けているかがうかがわれる。「戦争はもうこりごりだ」という感情が強いためと単純にとらえられる側面が大きいのである。
正義感から戦場でこそ役割を果たしたいと、2010年に、志願して国際治安支援部隊(ISAF)の一員としてアフガニスタンにいった元ドイツ軍歩兵はそう考えるに至った過去をこう振り返っている。
「ドイツでは第二次世界大戦の苦い経験から、兵士の仕事を批判的にみる人が多い。でも、僕は子どものころから兵士になりたかった」(東京新聞2016年3月25日)
日本でもやはり自衛隊は社会的評価がかつては今よりずっと低かった。敗戦国に共通の心情があるのだと考えられよう。
もっともドイツは、「はい」「いいえ」の割合が、前回(2013年)の41.7%対54.4%から、今回(2017年~18年)、44.8%対40.6%へと逆転しているのが印象的である(後段の図表2参照)。敗戦国意識から徐々に抜け出し、EUリーダー国として国家意識が高まっているとも見られる。
日本の場合は、敗戦国だという事情に加えて、日本国憲法が他国の憲法にない戦争放棄条項を有しており、憲法に対する遵法精神の上からは、この問は答えにくい内容をもっているといえる。日本は、「はい」が一番少ないだけでなく、「わからない」が38.1%と世界で最も大きい値を示していることからもそれがうかがわれよう。
第2次世界大戦の敗戦国、および戦争放棄条項をもつ憲法を有する国ということから、こうした回答結果となっているのであって、日本の若者が軟弱になっているからといった素朴な見方はあてはまらないことが、こうした国際比較から分かる。日本だけの調査結果であったら、「はい」と答えた者の少なさの理由として、日教組の影響、若者の軟弱さ、愛国心の欠如などが挙げられた場合、そうかもしれないと誰もが思ったであろう。
逆に、「はい」の比率の高い国は、第1位はベトナムの96.4%であり、第2位以下は、比率の高い順にヨルダン、キルギス、バングラデシュ、中国、フィンランド、インドネシア、パキスタンである。ほとんどがアジアや中東の発展途上国である。
中国は、後にも見るように「はい」の値が前回の74.2%から88.6%へと14.4%ポイントも増加している。日本の隣国の大国なので無関心ではいられない。
欧米先進国は、ノルウェーやスウェーデン、フィンランド、デンマークといった北欧諸国がかなり上位なのを除くと、フランス、英国、米国、オーストラリア、オランダといった順でほぼ中位の水準にある。日本の「はい」の低さの原因の一つとして、経済先進国だからという点も挙げられよう(解釈次第では、経済的に豊かなので敢闘精神が欠如している、あるいは命の値段が高くなっている事情があるとも言えよう)。
なお、共同防衛というより個別防衛を国是とし、そのために「国のために戦う」意識の強かった北欧諸国もロシアによるウクライナ侵攻を受けて次々に防衛政策の歴史的な転換を図っている。
すなわち、スウェーデン、フィンランドは、ロシアを不必要に刺激しないようNATOに加盟せず、個別に国を守るという方針を転換し、NATO加盟を申請するに至っている。またデンマークはNATO加盟国でもEU加盟国でもあるにもかかわらず、これまでEUの共通安保・防衛政策に対しては適用除外権を行使していたのであるが、新たに共通政策に加わることとなった。
◎世界金融危機以降に低下から上昇へ反転した国防意識
それでは、「国のために戦う」という国防意識は、これまで、日本やその他の国でどう変化してきているのであろうか。この点を次に観察してみよう(図表2参照)。

ここで、調査時期について、例えば、「2017年期」と呼んでいるのは、同じ調査票が使用される調査回(原資料ではウェーブと表現)について2017年に最初に多くの国で調査されたからである。それ以前の年期も同様である。
まず、日本の結果については、毎期、「はい」が10%台半ばでほとんど回答傾向に変化がないのが大きな特徴である。
対照のために掲げた各国の結果のうち、例えば、韓国の推移を見ると、日本と比較して「はい」が多く、「いいえ」や「わからない・無回答」が少ない点は、毎期、変わりがないが、時系列的には、「はい」が8割水準から6割台へと減少し、「いいえ」が1割から3割へと増加するという傾向的な変化が認められる。
韓国以外の主要国の結果をざっと見渡してみても、日本ほど傾向的な変化が認められない国はない。
多くの国で共通しているのは、ソ連邦が崩壊し、冷戦が終わった1990年期をピークに国防意識が低下傾向をたどっていたのが、リーマンショック後の世界金融危機が起った直後の2010年期をボトムに反転している点である。
冷戦の終焉によって自由主義陣営と共産主義陣営との武力対立から解放され、戦争の危機がとりあえず去ったと意識された結果として国防意識が弱まっていったことは、なるほどと納得できる変化だったといえよう。
しかしながら、世界金融危機後の2010年期をボトムに再度、国防意識が各国で反転、上昇に転じた理由については、必ずしも明確ではない。
私見によれば、こうした転換が起ったのは、世界金融危機を契機に、グローバリゼーションがもたらす経済成長によって皆が豊かになるという「プラス面」が後退して、貧富の格差、産業空洞化、移民問題、国際テロ、地球環境の悪化などグローバリゼーションの「マイナス面」ばかりが目立つようになり、弱まりつつあったナショナリズム意識が多くの国で復活し始めたからだと考えられる。
英国が2016年に国民投票でEU離脱を選択し、翌2017年に米国で「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ政権が誕生したのがそれを象徴する二大事件だったといえよう。
世界価値観調査の結果には影響していないが、直近では、グローバリゼーションのマイナス面として、新型コロナなど国際感染症のパンデミック脅威がさらに加わっている。
軍事侵攻とそれへの反撃が続いている当事国のロシアとウクライナの国防意識の動きを見ると、今回の軍事侵攻を予見するかのように、両国とも2010年期から2017年期にかけて国防意識がかなり明確に反転、上昇しているのが目立っている。
こうした世界的トレンドとは、ほとんど関わりない日本人の意識の推移については、やはり、上述の要因に規定された特異なものと見なさざるを得ないだろう。
それでは、「国のために戦う」という国防意識は、これまで、日本やその他の国でどう変化してきているのであろうか。この点を次に観察してみよう(図表2参照)。

ここで、調査時期について、例えば、「2017年期」と呼んでいるのは、同じ調査票が使用される調査回(原資料ではウェーブと表現)について2017年に最初に多くの国で調査されたからである。それ以前の年期も同様である。
まず、日本の結果については、毎期、「はい」が10%台半ばでほとんど回答傾向に変化がないのが大きな特徴である。
対照のために掲げた各国の結果のうち、例えば、韓国の推移を見ると、日本と比較して「はい」が多く、「いいえ」や「わからない・無回答」が少ない点は、毎期、変わりがないが、時系列的には、「はい」が8割水準から6割台へと減少し、「いいえ」が1割から3割へと増加するという傾向的な変化が認められる。
韓国以外の主要国の結果をざっと見渡してみても、日本ほど傾向的な変化が認められない国はない。
多くの国で共通しているのは、ソ連邦が崩壊し、冷戦が終わった1990年期をピークに国防意識が低下傾向をたどっていたのが、リーマンショック後の世界金融危機が起った直後の2010年期をボトムに反転している点である。
冷戦の終焉によって自由主義陣営と共産主義陣営との武力対立から解放され、戦争の危機がとりあえず去ったと意識された結果として国防意識が弱まっていったことは、なるほどと納得できる変化だったといえよう。
しかしながら、世界金融危機後の2010年期をボトムに再度、国防意識が各国で反転、上昇に転じた理由については、必ずしも明確ではない。
私見によれば、こうした転換が起ったのは、世界金融危機を契機に、グローバリゼーションがもたらす経済成長によって皆が豊かになるという「プラス面」が後退して、貧富の格差、産業空洞化、移民問題、国際テロ、地球環境の悪化などグローバリゼーションの「マイナス面」ばかりが目立つようになり、弱まりつつあったナショナリズム意識が多くの国で復活し始めたからだと考えられる。
英国が2016年に国民投票でEU離脱を選択し、翌2017年に米国で「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ政権が誕生したのがそれを象徴する二大事件だったといえよう。
世界価値観調査の結果には影響していないが、直近では、グローバリゼーションのマイナス面として、新型コロナなど国際感染症のパンデミック脅威がさらに加わっている。
軍事侵攻とそれへの反撃が続いている当事国のロシアとウクライナの国防意識の動きを見ると、今回の軍事侵攻を予見するかのように、両国とも2010年期から2017年期にかけて国防意識がかなり明確に反転、上昇しているのが目立っている。
こうした世界的トレンドとは、ほとんど関わりない日本人の意識の推移については、やはり、上述の要因に規定された特異なものと見なさざるを得ないだろう。
◎問題は最近の「若者」ではなく「中高年」である
最後に、こうした各国の国防意識の変遷を年齢別の意識の推移からとらえ直してみよう。
日本の低い国防意識について「最近の若者は国を守る気概に欠ける」などと表現されることが多いが、本当だろうか?
確かに、日本の2017年期の男女別、年齢別の結果を見ると、「国のため戦うか」への「はい」の回答率は、女性より男性、また若年層より高年層のほうが大きい(図表3参照)。



ところが、時系列推移を見ると(図表4参照)、若年層(30歳未満)の回答率はほぼ横ばい(10%前後)であるのに対して、高年層(50歳以上)の回答率は大きく低下してきており(1981年期31.8%→2017年期16.6%)、両者の差は大きく縮まっている。
1981年期には、若年層の11.5%に対して高年層は31.8%と2.8倍だったが、2017年期には、8.8%に対して16.6%と1.9倍にまで縮小しているのである。つまり、「最近の若者は国を守る気概に欠ける」のではなく、「最近の中高年は国を守る気概に欠ける」のである。
これは、「戦後民主主義」の洗礼を受け、戦争は悪と叩き込まれた団塊の世代が、若い頃の精神を保ちながら中高年の域に達したからであることは言うまでもない。選挙の票数は中高年のほうが圧倒的に多いので、保守党があまりに国防の強化にとらわれると痛い目に遭うだろう。
年齢計の「国のために戦う」回答率に年次変化が認められないのは、従って、相対的に国防意識の高い中高年の割合が高まって回答率を押し上げる効果を中高年自体の国防意識の低下が相殺しているからだと分かる。
世界は日本とは大きく異なる。「最近の若者は国を守る気概に欠ける」という言辞がまさしく当てはまっているのは米国である。米国では、日本とは逆に、中高年の国防意識が横ばいであるのに対して、若年層の国防意識はまさしく低下傾向をたどり、2017年期にも反転していない。
また、韓国やロシアでは、年齢によって異なる方向を向いているということはなく、若年層も高年層もほぼ同じ起伏の国防意識推移を示している。
ロシアについて特に目立っているのは、常に、若年層の国防意識が中高年の国防意識を上回っている点である。確かに、こうした若年層の「国のために戦う」という意識の高さがなければ、さすがのプーチン大統領もウクライナへの軍事侵攻には踏み切れなかっただろう>(以上「PRESIDENT」より引用)
国際調査機関が国民の意識調査を定期的に実施している。その調査項目のうち「時刻が戦争になった場合、国のために戦いますか」という質問に対して、日本の若者の「はい」が増加しているという。「「国のために戦いますか?」日本人の「はい」率は世界最低13%…50歳以上の国防意識ガタ落ちの意外な理由他国はリーマンショック後の世界金融危機直後に「国防意識」上昇」とい文章で本川 裕(フォロー統計探偵/統計データ分析家)氏がそうした現象について論述している。
最後に、こうした各国の国防意識の変遷を年齢別の意識の推移からとらえ直してみよう。
日本の低い国防意識について「最近の若者は国を守る気概に欠ける」などと表現されることが多いが、本当だろうか?
確かに、日本の2017年期の男女別、年齢別の結果を見ると、「国のため戦うか」への「はい」の回答率は、女性より男性、また若年層より高年層のほうが大きい(図表3参照)。


ところが、時系列推移を見ると(図表4参照)、若年層(30歳未満)の回答率はほぼ横ばい(10%前後)であるのに対して、高年層(50歳以上)の回答率は大きく低下してきており(1981年期31.8%→2017年期16.6%)、両者の差は大きく縮まっている。
1981年期には、若年層の11.5%に対して高年層は31.8%と2.8倍だったが、2017年期には、8.8%に対して16.6%と1.9倍にまで縮小しているのである。つまり、「最近の若者は国を守る気概に欠ける」のではなく、「最近の中高年は国を守る気概に欠ける」のである。
これは、「戦後民主主義」の洗礼を受け、戦争は悪と叩き込まれた団塊の世代が、若い頃の精神を保ちながら中高年の域に達したからであることは言うまでもない。選挙の票数は中高年のほうが圧倒的に多いので、保守党があまりに国防の強化にとらわれると痛い目に遭うだろう。
年齢計の「国のために戦う」回答率に年次変化が認められないのは、従って、相対的に国防意識の高い中高年の割合が高まって回答率を押し上げる効果を中高年自体の国防意識の低下が相殺しているからだと分かる。
世界は日本とは大きく異なる。「最近の若者は国を守る気概に欠ける」という言辞がまさしく当てはまっているのは米国である。米国では、日本とは逆に、中高年の国防意識が横ばいであるのに対して、若年層の国防意識はまさしく低下傾向をたどり、2017年期にも反転していない。
また、韓国やロシアでは、年齢によって異なる方向を向いているということはなく、若年層も高年層もほぼ同じ起伏の国防意識推移を示している。
ロシアについて特に目立っているのは、常に、若年層の国防意識が中高年の国防意識を上回っている点である。確かに、こうした若年層の「国のために戦う」という意識の高さがなければ、さすがのプーチン大統領もウクライナへの軍事侵攻には踏み切れなかっただろう>(以上「PRESIDENT」より引用)
国際調査機関が国民の意識調査を定期的に実施している。その調査項目のうち「時刻が戦争になった場合、国のために戦いますか」という質問に対して、日本の若者の「はい」が増加しているという。「「国のために戦いますか?」日本人の「はい」率は世界最低13%…50歳以上の国防意識ガタ落ちの意外な理由他国はリーマンショック後の世界金融危機直後に「国防意識」上昇」とい文章で本川 裕(フォロー統計探偵/統計データ分析家)氏がそうした現象について論述している。
日本の「国のために戦う」と回答した割合が世界で最も低い13.2%にとどまったのは先の大戦の影響が色濃く残っているからなのだろう。また世代別の「国のために戦う」と回答した割合も世界的な傾向が必ずしも日本の傾向と一致していないのは、学校教育で刷り込む自虐史観が若者ほど強い影響を与えているからだろう。
しかしZ世代に特定した「日本が侵略された場合は」と設定した調査結果はまた別の日本国民の意識を示している。
「「侵略されたら戦いますか?」Z世代の回答は…
Q:もし日本が侵略されたら戦いますか?
戦う:28.2% / 戦わない:71.8%
Q:「戦わない」を選んだ方にお聞きします。日本が侵略された場合、どのような態度を取りますか?
国内で避難を試みる:38% / 日本国外に避難する:22% / 侵略者を支持する:2% / 何もしない:38%
と、7割以上が「戦わない」。うち6割が避難を選択」
Q:もし日本が侵略されたら戦いますか?
戦う:28.2% / 戦わない:71.8%
Q:「戦わない」を選んだ方にお聞きします。日本が侵略された場合、どのような態度を取りますか?
国内で避難を試みる:38% / 日本国外に避難する:22% / 侵略者を支持する:2% / 何もしない:38%
と、7割以上が「戦わない」。うち6割が避難を選択」
先の大戦後80年にわたって平和が続く日本は世界の大国の中でも特異な存在だが、それだけではなく、若者は学校教育の戦後史観に色濃く洗脳されている。
教育が若者に及ぼす影響が大きいのは、同様の世論調査を他国で行った場合は、「戦わない」と回答したのは、ベトナムは3.6パーセント、中国は10.2パーセント、ロシアは22パーセント、アメリカは38.6パーセントとなっている。
徴兵制もなく義務教育で先の大戦を「悪」と教え、国防の必要性を教える授業も行われていない日本において、若者たちの考えがどのように形成されるかを顕著に表している。
ただこの数値は男女合計の数値であり、男性に限っていえば約4割が「戦う」を選択している。さらに「戦わない」を選んだ若者に対して「日本が侵略された場合に、どのような態度を取るか?」という追加質問をした場合、国内・国外への避難を試みるという回答が合計で6割。「何もしない」が約4割だった。ごくわずかではあるが「侵略者を支持する」という回答もあった。
世界的に若者の「国のために戦う」とする割合が低下傾向を示しているのに対して、日本の場合は一定の割合で推移している。それは50代以上で低下しているのと異なる現象だ。
日本国民のパラダイムがシフトした、と私は何度もこのブログに書いてきた。昨年以後の新しい調査はまだ実施されてないが、若者に参政党など保守政党支持者が多いのは最近の選挙結果が示している。それはオールドメディアだけの情報ソースからネットへと移行した新世代のパラダイムが転換している証拠だ。
学校教育の戦後史観からの脱却がなされない限り、日本国民の「国のために戦う」意識の大幅な変化は起きないだろう。しかし学校教育が変わらなくても、ネットなどによる「普通の国」の常識が日本国民に「国を守る意識」を確実に変化させている。
経済界が「外国人労働移民」は必要だ、と政府とメディアに圧力をかけているが、日本国民の多くは「外国人労働移民」はもう沢山だ、と拒否反応を示している。そうした世論の変化はかつての日本ではあり得なかった。日本の世論はオールドメディアが誘導する方向へと流れるのが常だった。「慰安婦」然り「CO2地球温暖化」然りだった。しかし、今ではEV化が自動車の未来の姿だ、と多くの日本国民は考えていない。太陽光発電などの省エネ発電こそが地球を救うと、多くの日本国民は考えていない。オールドメディアによる世論誘導戦略は確実に崩れている。「国を守る気概」についても、国民の多くが自由なネット空間から情報を得るようになれば、日本の正確な現状を理解する能力が高まり、祖国愛も高まると思われる。