米国とイランどちらが譲歩すべきか、答えは既に出ている。

<米当局者は27日、トランプ大統領が戦闘終結に向けたイランの最新の提案について、同国の核開発計画を巡る協議が戦闘終結後に先送り​されることに不満を抱いていると明らかにした。
 イランの関係筋が27日に明ら‌かにしたところによると、提案ではイランの核開発計画を巡る協議は戦闘が終結し、湾岸からの船舶輸送を巡る対立が解消するまで先送りするとされている。
 米政府は核問題について当初​から取り組まなければならないとの立場を示している。トランプ氏​はこの点を理由にイランの提案に不満を抱いていると、27日の大統領⁠と顧問らの会議について説明を受けた米当局者が語った。
 ホワイトハウスのウェ​ールズ報道官は、米国は「報道を通じて交渉するつもりはない」とし、トランプ​政権がイスラエルとともに開始した対イラン戦争の終結を目指す中で「レッドライン(譲れない一線)は明確にしてきた」と述べた。
 トランプ氏が週末に、娘婿のジャレッド・クシュナー​氏とウィットコフ中東担当特使のパキスタン訪問を取りやめると発表して以​降、和平交渉再開への期待は後退している。

 一方、イランのアラグチ外相は週末にパキスタ‌ンを2度⁠にわたり訪れたほか、オマーンも訪問し、27日にはロシアを訪れてプーチン大統領と会談、長年の同盟国から支持の言葉を受けた。
 アラグチ氏はロシアで記者団に対し、米国が目的を何一つ達成していないことからトランプ氏が交渉を求めたのだ​と語った。
 イラン高官筋は​匿名を条件にロイ⁠ターに対し、アラグチ外相が週末にイスラマバードへ持参した提案について、段階的な交渉を想定しており、当初は​核問題を棚上げする内容だったと明らかにした。具体的に​は、第一段階⁠として米国とイスラエルによるイランに対する攻撃を終結させ、戦闘を再開させないと保証し、第二段階として米国による封鎖措置のほか、イランが自国の管理下で⁠再開​を目指すホルムズ海峡の扱いについて交渉を行い、​こうした手続きを経て初めて、イランの核開発計画を巡る問題などについて協議を行うというも​のだった。
 イランはかねてより、ウラン濃縮の権利を認めるよう米国に求めている>(以上「REUTERS」より引用)




トランプ氏はイランの和平提案に不満、核協議先送りで=米当局者」と、イラン側が焦り始めた。いよいよイランの原油輸出停止から一週間以上が経過して、カーグ島の原油タンクが満杯になり、廃船していたタンカーまで総動員して原油を積み増しているが、後三日もするとカーグ島に送り込んでいるパイプラインを止めなければならなくなる、という。
 そうするとパイプライン内で原油が固まり、再稼働に多大な日数と労力を要する事態になるという。もちろん油井も採油を止めるため、再稼働しても原油が汲み上げられるか分からないという。米国が実行しているホルムズ海峡逆封鎖がいよいよ効力を発揮してきた。

 云うまでもなく、原油輸出はイランの生命線だ。原油を輸出して食糧や他の生活用品を輸入してきた。そうした経済循環がすべて止まり、イラン国内に深刻な物資不足とハイパーインフレを招いている。もはやイラン革命防衛隊の銃口でイラン国民を鎮圧することなど出来なくなっている。
 テヘランの大通りに面した壁に、殉教者たちの肖像画が掲げられているが、その中にモジタバ・ハメネイ師の肖像も書き加えられたという。つまりモジタバ師も亡くなったと当局が認めたということだ。そうすると文人派のアラグチ外相たちがイランを代表するのか、それともイラン革命防衛隊がイランを代表するのか、判らなくなった。

 トランプ氏はそうしたイラン国内情勢を見越した上で「誰がイランを代表するのか、決めてくれ」と注文を付けている。しかも「13時間も飛行機に乗ってイスラマバードまで出かけるまでもない、決まったら電話をくれ」と発言する始末だ。
 米国側には時間の輪裕はある。しかしイランは切羽詰まっている。どちらが譲歩すべきか、答えは既に出ている。
 イランのアラグチ外相はパキスタンからオマーンやロシアを訪問して、イランの後ろ盾になるように要請しているようだ。しかしロシアは既にウクライナ戦争に消耗し尽くして、イランの後ろ盾となって米国と対峙する力はない。オマーンへ行ったのは湾岸諸国がイランに敵対している現状打開に行ったのだろうが、ホルムズ海峡封鎖により湾岸諸国が経済混乱に陥っている現状打開が先決だと突き放されただけだったようだ。

 果たして、イラン当局はホルムズ海峡封鎖を解くから停戦してはどうか、と米国に持ち掛け、それに対して核開発を放棄する方が先だ、とトランプ氏は返したようだ。
 トランプ氏は急がない。時間的余裕は米国にある。イラン当局(誰が代表しているのか、判然としないが)は原油産出を停止すべきか、事態は切迫している。しかし大統領と議会議長という行政権と立法権の「長」をイラン革命防衛隊が拘束した「クーデター政権」がイランを代表しているのでは、トランプ氏は停戦協議のテーブルに着くことはないだろう。なぜなら軍でもない、テロ集団の親玉と協議するほど米国は落ちぶれていないし、その必要もないからだ。

 はマスウード・ペゼシュキヤーン大統領やモハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ国会議長(イスラム評議会議長)の身柄を拘束したが粛清してないのなら、彼らを元の地位に復して彼らをイラン共和国の代表とすべきだ。少なくとも、ペゼシュキヤーン大統領は国民投票で選ばれたし、ガーリーバーフ国会議長も国会議員によって選出された。彼らがイランを代表として出席するのなら、米国も停戦協議の席に着くだろう。
 物事には原則がある。国民の代表でも議会の代表でもない者が国家を代表してノコノコ出て来るようでは、米国はイラン政権代表とは見なさない。しかし、イラン革命防衛隊にそうした理屈の解る人材がいるのか。まずはその点から心配しなければならない。

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