武力による国境線の変更を容認してまで、ロシアと取引して何か意味があるのか。
<ロシアのユーリー・ウシャコフ大統領補佐官は12日、ウクライナ侵略終結に向けた和平交渉で、米国がウクライナ東部の前線地域を非武装地帯とする構想を提案したことに関し、軍部隊の代わりにプーチン大統領直轄の治安組織「国家親衛隊」を配備する可能性を示した。露紙コメルサントのインタビューで語った。
米国の提案は、ウクライナ軍が東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)で防衛を続ける地域から撤退し、「経済特区」を設ける内容とされる。ウシャコフ氏は「露軍もウクライナ軍もいなくなる可能性は十分にある」と述べ、非武装地帯には「国家親衛隊や警察などが駐留するだろう」と主張した。
国家親衛隊は国内のデモ警戒やテロ対策などにあたる治安組織だが、ウクライナでの戦闘にも参加し、戦車などの重火器も保有する。米政策研究機関「戦争研究所」は、「軍事能力を持つ部隊の展開は、非武装の否定に他ならない」との見方を示している。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は領土の問題について、国民投票などを通じて国民の意思を問う考えを示しているが、タス通信によると、ウシャコフ氏は12日、「ドンバス地方は全域がロシアだ」と主張し、受け入れない立場を強調した>(以上「読売新聞」より引用)
「ウクライナ非武装地帯構想、ロシアはプーチン氏直属「国家親衛隊」駐留させる可能性…米の戦争研究所「非武装の否定に他ならない」」との見出しにある通り、ロシア側は好き勝手な言い分を主張している。米国の戦争研究所が否定しているが、戦争の門外漢でも「ウクライナ非武装地帯構想、ロシアはプーチン氏直属「国家親衛隊」駐留させる」というのは「非武装地帯」ということにならないことは明らかだ。
ウクライナ国民の国土をトランプ氏がパイでも切り分けるようにして、ロシアに与えることはウクライナの主権侵害でしかない。30年前の1994年12月5日、ハンガリーの首都ブダペストで行われた式典でウクライナは、ベラルーシやカザフスタンと共に、アメリカ、イギリス、フランス、中国、そしてロシアからの安全保障の保証と引き換えに核兵器を放棄した。その時の経緯などを振り返って英国のBBCが2024年12月7日付「ウクライナは30年前に核兵器を放棄……なぜそうしたのかいま問う国民」との見出しで記事にしている。その記事の一部を引用する。
当時、ウクライナ北部ハルキウの軍事アカデミーを卒業して間もなかったオレクサンドル・スーシェンコ氏はその2年後、非武装化プロセスが始まったばかりのペルウォマイスクに着任した。スーシェンコ氏はミサイルが撤去され、ミサイル格納庫が爆破されるのを見守った。現在のスーシェンコ氏は、博物館のキュレーターとして基地に戻っている。
これまで約10年間にわたりロシアから受けた苦難を振り返り、国際社会がそれを防ぐことができなかった、あるいは防ぐ意思がなかったように見えるなかで、スーシェンコ氏は避けがたい結論に達している。
「今のウクライナで起きていることを見て、個人的な見解としては、すべての核兵器を完全に破壊したのは誤りだったと思う」。スーシェンコ氏はこう言う。
「しかし、それは政治的な問題だった。最高指導部が決定を下し、我々はただ命令を実行しただけだ」
30年前の当時、それは完全に理にかなった決定に思えた。ロシアが20年以内にウクライナを攻撃するなど、当時は誰も思ってもみなかったのだ。
「自分たちはおめでたかった。けれども同時に、信用していたのだ」。1994年にウクライナの駐英大使だったセルヒイ・コミサレンコ氏はこう言う。
「イギリスとアメリカ、そしてフランスが合意に加わったとき、我々はそれで十分だと思っていた。ロシアも同様だった」
ウクライナのような貧しい国にとっては、数十年にわたるソ連の支配から抜け出したばかりの状況で、維持に莫大な費用がかかる核兵器を持ち続けるなど、ほとんど意味をなさない発想だった。
「産業や繁栄のために使えるお金を、核兵器の製造や維持に使う必要がどこにある」という発想だったのだと、コミサレンコ氏は話す。
しかし、1994年に結ばれた運命的な「ブダペスト覚書」の記念日は現在、ウクライナが特定の主張をするために使われている。
ブリュッセルで今週開かれた北大西洋条約機構(NATO)外相会議に出席したウクライナのアンドリー・シビハ外相は、「ブダペスト覚書」のコピーが入った緑色のフォルダを掲げた。
「この文書は、ウクライナと大西洋両岸の安全を確保できなかった」、「このような過ちを繰り返してはならない」と、シビハ外相は述べた。」
米国の提案は、ウクライナ軍が東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)で防衛を続ける地域から撤退し、「経済特区」を設ける内容とされる。ウシャコフ氏は「露軍もウクライナ軍もいなくなる可能性は十分にある」と述べ、非武装地帯には「国家親衛隊や警察などが駐留するだろう」と主張した。
国家親衛隊は国内のデモ警戒やテロ対策などにあたる治安組織だが、ウクライナでの戦闘にも参加し、戦車などの重火器も保有する。米政策研究機関「戦争研究所」は、「軍事能力を持つ部隊の展開は、非武装の否定に他ならない」との見方を示している。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は領土の問題について、国民投票などを通じて国民の意思を問う考えを示しているが、タス通信によると、ウシャコフ氏は12日、「ドンバス地方は全域がロシアだ」と主張し、受け入れない立場を強調した>(以上「読売新聞」より引用)
「ウクライナ非武装地帯構想、ロシアはプーチン氏直属「国家親衛隊」駐留させる可能性…米の戦争研究所「非武装の否定に他ならない」」との見出しにある通り、ロシア側は好き勝手な言い分を主張している。米国の戦争研究所が否定しているが、戦争の門外漢でも「ウクライナ非武装地帯構想、ロシアはプーチン氏直属「国家親衛隊」駐留させる」というのは「非武装地帯」ということにならないことは明らかだ。
ロシアが「領土だ」と主張するウクライナ東部とクリミア半島を図解で示す。(北海道新聞より転用)
引用した地図は現在トランプ氏が提案している停戦案によるもののようだが、こうした武力による国境線の変更は断じて認められない。トランプ氏の提案は間違っている。それは中国による台湾軍事侵攻を容認することに繋がり、独裁国家による隣国への侵略の口実にされるだろう。
国際社会の秩序を守るべき先進諸国の採るべき和平案ではない。国際司法裁判所で「戦争犯罪人」と判決が下されたプーチンの主張を是認してはならない。もちろんプーチンと取引することもあってはならない。プーチンの野望を挫くことこそが人類の未来にとって「地球上から永遠に戦争を終わらせる」ために必要不可欠だ。
ウクライナ国民の国土をトランプ氏がパイでも切り分けるようにして、ロシアに与えることはウクライナの主権侵害でしかない。30年前の1994年12月5日、ハンガリーの首都ブダペストで行われた式典でウクライナは、ベラルーシやカザフスタンと共に、アメリカ、イギリス、フランス、中国、そしてロシアからの安全保障の保証と引き換えに核兵器を放棄した。その時の経緯などを振り返って英国のBBCが2024年12月7日付「ウクライナは30年前に核兵器を放棄……なぜそうしたのかいま問う国民」との見出しで記事にしている。その記事の一部を引用する。
「
厳密に言えば、これらのミサイルはソ連のもので、新たに独立したウクライナのものではなかった。ただブタペスト覚書に署名した国々の1つであるロシア自体が2022年にウクライナに侵攻したので、(ロシアの署名分に関しては)この覚書は既に破棄されている。 ブタペスト会議に参加したビル・クリントン米大統領(当時)はブダペストで、「(ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンの)3カ国に対して安全保障を保証すると約束した。この3カ国の独立、主権、領土の一体性を、我々がいかに重視していくか強調するものだ」と述べた。
これまで約10年間にわたりロシアから受けた苦難を振り返り、国際社会がそれを防ぐことができなかった、あるいは防ぐ意思がなかったように見えるなかで、スーシェンコ氏は避けがたい結論に達している。
「今のウクライナで起きていることを見て、個人的な見解としては、すべての核兵器を完全に破壊したのは誤りだったと思う」。スーシェンコ氏はこう言う。
「しかし、それは政治的な問題だった。最高指導部が決定を下し、我々はただ命令を実行しただけだ」
30年前の当時、それは完全に理にかなった決定に思えた。ロシアが20年以内にウクライナを攻撃するなど、当時は誰も思ってもみなかったのだ。
「自分たちはおめでたかった。けれども同時に、信用していたのだ」。1994年にウクライナの駐英大使だったセルヒイ・コミサレンコ氏はこう言う。
「イギリスとアメリカ、そしてフランスが合意に加わったとき、我々はそれで十分だと思っていた。ロシアも同様だった」
ウクライナのような貧しい国にとっては、数十年にわたるソ連の支配から抜け出したばかりの状況で、維持に莫大な費用がかかる核兵器を持ち続けるなど、ほとんど意味をなさない発想だった。
「産業や繁栄のために使えるお金を、核兵器の製造や維持に使う必要がどこにある」という発想だったのだと、コミサレンコ氏は話す。
しかし、1994年に結ばれた運命的な「ブダペスト覚書」の記念日は現在、ウクライナが特定の主張をするために使われている。
ブリュッセルで今週開かれた北大西洋条約機構(NATO)外相会議に出席したウクライナのアンドリー・シビハ外相は、「ブダペスト覚書」のコピーが入った緑色のフォルダを掲げた。
「この文書は、ウクライナと大西洋両岸の安全を確保できなかった」、「このような過ちを繰り返してはならない」と、シビハ外相は述べた。」
ウクライナの平和のためにウクライナの国力に見合った選択をしたはずだったが、覚書は簡単に破棄されてしまった。ロシアとはいかなる条約も覚書も意味を持たないことをウクライナが実証している。それでもトランプ氏はプーチンのロシアと取引するのだろうか。