フリマアプリに出されたコメの哀れな姿こそ戦後農政の姿だ。
<LINEヤフー、メルカリ、楽天ラクマのフリマアプリ大手3社は13日、23日から当面の間、コメの出品を原則禁止すると発表した。政府が13日、備蓄米を含む精米、玄米などの米穀の高値転売を禁止したことを受けた対応で、すでに出品されているものも削除する。現状では精米や玄米、備蓄米が含まれているとみられるブレンド米などが取引されているが、フリマアプリからコメが一時的に姿を消すことになる。
大手3社は5月末に随意契約で放出された備蓄米の転売禁止を開始しており、政府の決定を受けて足並みをそろえた。LINEヤフーは同社が運営するフリマアプリとオークションサービスで出品を禁止する。同社が認定した法人と個人事業主が出品できるヤフーオークションストアでは、オークション形式の出品のみを禁止する。
メルカリは米穀全般の取引をキャンセルし、出品を削除する。米穀全般を出品したアカウントの利用制限も実施する。ネット通販のメルカリショップでは法人のみがコメを販売できるとし、個人事業主の出品は禁止した。楽天ラクマも23日から同様にコメの出品を原則禁じる。
政府の転売禁止は、国民生活安定緊急措置法の政令改正に基づく措置。小売店から購入した人が購入価格よりも高い値段で転売すると法律違反に問われる。新型コロナウイルス流行時にマスクやアルコール消毒製品の転売を防ぐ際にも行われた。
違反者には拘禁刑もしくは罰金が科される。罰則が規定されていることから、警察などが強制捜査に踏み切ることも可能となっている。ただ、出品したのが個人の転売ヤーか、小売店から購入したか、購入した価格などを証明することは困難で、農林水産省の担当者は「出品をゼロにするのは難しい」としていた>(以上「産経新聞」より引用)
「フリマアプリからコメが消える LINEヤフー、メルカリ、楽天ラクマが出品を原則禁止」は当然だが、フリマアプリ側が「コメ転売」を自主規制すべきだったのではないだろうか。
大手3社は5月末に随意契約で放出された備蓄米の転売禁止を開始しており、政府の決定を受けて足並みをそろえた。LINEヤフーは同社が運営するフリマアプリとオークションサービスで出品を禁止する。同社が認定した法人と個人事業主が出品できるヤフーオークションストアでは、オークション形式の出品のみを禁止する。
メルカリは米穀全般の取引をキャンセルし、出品を削除する。米穀全般を出品したアカウントの利用制限も実施する。ネット通販のメルカリショップでは法人のみがコメを販売できるとし、個人事業主の出品は禁止した。楽天ラクマも23日から同様にコメの出品を原則禁じる。
政府の転売禁止は、国民生活安定緊急措置法の政令改正に基づく措置。小売店から購入した人が購入価格よりも高い値段で転売すると法律違反に問われる。新型コロナウイルス流行時にマスクやアルコール消毒製品の転売を防ぐ際にも行われた。
違反者には拘禁刑もしくは罰金が科される。罰則が規定されていることから、警察などが強制捜査に踏み切ることも可能となっている。ただ、出品したのが個人の転売ヤーか、小売店から購入したか、購入した価格などを証明することは困難で、農林水産省の担当者は「出品をゼロにするのは難しい」としていた>(以上「産経新聞」より引用)
「フリマアプリからコメが消える LINEヤフー、メルカリ、楽天ラクマが出品を原則禁止」は当然だが、フリマアプリ側が「コメ転売」を自主規制すべきだったのではないだろうか。
云うまでもなく、コメの販売には様々な法規制がある。米の生産から流通、販売、消費に至るまで、様々な段階で米の品質、安全、価格の安定を確保することを目的として、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(食糧法)、「食品衛生法」、そして「米トレーサビリティ法」などが定められている。全国の「転売ヤー」たちがそれらの法律を熟知して適法に取扱しているとは思えない。だからフリマ事業者はコメの出品を当初から原則禁止にすべきだった。
そうすれば銘柄米取扱業者を騙って詐欺を行う違法サイトも作られなかっただろう。コメは然るべき「コメ取扱業者」を通して消費者は購入する、という常識が広く共有されていただろう。しかしコメも他の商品と同じく、誰でも容易に買い占め出来て、誰でも何処でも容易に販売できる、と誤った情報で「転売ヤー」たちが動いたのだろう。
しかし春過ぎて常温で保管していたコメにはコクゾウムシがわき、品質の低下は避けられない。いわばコメは生鮮食料だ。だから農協などは低温倉庫などに籾殻米を保管している。それを一般的な日用雑貨と同様に取り扱い「転売ヤー」がフリマアプリで不特定多数に販売することなどあり得ない。
いつも政府の対策は後手に回っている。昨年から堂島コメ相場を開場したのなら、当然コメが相場商品として投機対象になることは分かり切っていたはずだ。しかも現物取引として投機人がコメを確保・保管するのも解っていたはずだ。そうするとコメ相場に相場師として登録する際に低温保管庫の保有等の条件を付しておくべきだった。
いや、そもそもコメに「堂島市場」での市場取引を許可すべきだったのか。それはコメを民間相場取引に任せて、政府がコメから手を引くためではないのか。主食たるコメ取引から政府が手を引けば今回のような米価高騰が起きることは分かり切っているのではないか。「儲け」があると読めば、その取引に関与するのが「転売ヤー」であり、「転売ヤー」の親玉が商社だ。既にコメ取引には伊藤忠や豊田通商といった商社が関与している。
国民の食糧安全保障から政府が手を引いてどうするのか。財務相は予算の中でしか思考しないからコメを完全に民間取引にすれば政府掘署などは一切必要なくなる、と胸算用をしているのかも知れないが、政治家には国民を飢えさせない義務がある。その義務を放棄して食糧安全保障までも放棄するコメの相場取引を導入したことは政治家としての務めを放擲したに等しい。なぜ国家と国民に責任を持つべき政治家が財務省の描いた「絵」を疑いもなく実行するのだろうか。
コメ騒動を収め、国民の食糧安全保障を確保するためには「農家の戸別所得補償制度」か「農産品の買取制度」かのいずれかを導入しなければならない。前者は欧州各国が導入している制度で、後者は米国が導入している制度だ。日本は中途半端な制度を実施していたが、昨夏導入した「米価の民営化」というべき堂島コメ相場の開場によって中途半端だった制度が破綻した。国民は米価高騰の責任を自公政権と与党政治家に求めるべきだ。彼らが日本のコメをこれほどまでに棄損したからだ。フリマアプリに出されたコメの哀れな姿こそ戦後農政の姿だ。