二年後の中間選挙で大敗すれば、トランプ氏はたちまちレイムダックに陥る。中間選挙後の二年間をホワイトハウスでニートを決め込むわけにはいかないだろう。だから、それほど心配する必要はない。
<習近平政権、トランプに殴り返す
トランプ政権は中国に対して第二弾の制裁関税を発動したが、習近平政権が強気に反撃して、アメリカから輸入される穀物などの農産物に報復関税が発動された。本来ならば、中国にとってアメリカは最重要な貿易黒字国であるため、報復関税を発動する代わりに、トランプに和解する姿勢をみせなければいけないはずだが、なぜ習近平政権はこんなに強気なのだろうか。
それは中国人の気質と無関係ではない。その気質とは中国が大国であり、やられたらやり返すのは中国人の気骨のある対応であると思われている。トランプ政権一期目のときもトランプ政権に制裁され、習近平主席は「やられたらやりかえす、歯には歯」と繰り返して強調した。今も習近平政権の姿勢は基本的に変わっていない。
そして、習近平政権が強気になれるのはそれ以外にも理由がある。習近平政権にとってもっとも都合の悪い貿易制裁のパターンは、TPPのような対中貿易制裁包囲網のようなものである。そうなると、中国は孤立してしまうからである。だからこそ中国政府は一貫して貿易紛争を多国間の枠組みに持ち込もうとする。
トランプ政権二期目の関税戦法は手当たり次第に主要貿易相手国のすべてに対して制裁関税を課して、グローバルサプライチェーンをアメリカに集約することである。すなわち、これは中国の一国に照準を合わせた制裁措置ではないため、習近平政権にとっては怖くない。
「やられたらやり返す…!トランプ関税で中国の「景気後退懸念」が高まる中、習近平政権が「強気のワケ」」と柯 隆(東京財団政策研究所主席研究員・静岡県立大学グローバル地域センター特任教授)氏がトランプ氏から関税戦争を仕掛けられた今の習近平氏を論評している。
トランプ政権は中国に対して第二弾の制裁関税を発動したが、習近平政権が強気に反撃して、アメリカから輸入される穀物などの農産物に報復関税が発動された。本来ならば、中国にとってアメリカは最重要な貿易黒字国であるため、報復関税を発動する代わりに、トランプに和解する姿勢をみせなければいけないはずだが、なぜ習近平政権はこんなに強気なのだろうか。
それは中国人の気質と無関係ではない。その気質とは中国が大国であり、やられたらやり返すのは中国人の気骨のある対応であると思われている。トランプ政権一期目のときもトランプ政権に制裁され、習近平主席は「やられたらやりかえす、歯には歯」と繰り返して強調した。今も習近平政権の姿勢は基本的に変わっていない。
そして、習近平政権が強気になれるのはそれ以外にも理由がある。習近平政権にとってもっとも都合の悪い貿易制裁のパターンは、TPPのような対中貿易制裁包囲網のようなものである。そうなると、中国は孤立してしまうからである。だからこそ中国政府は一貫して貿易紛争を多国間の枠組みに持ち込もうとする。
トランプ政権二期目の関税戦法は手当たり次第に主要貿易相手国のすべてに対して制裁関税を課して、グローバルサプライチェーンをアメリカに集約することである。すなわち、これは中国の一国に照準を合わせた制裁措置ではないため、習近平政権にとっては怖くない。
世界の工場としての中国産業構造の強靭さ
なぜ習近平政権にとって二期目のトランプ政権の関税戦争が怖くないのだろうか。要するに、トランプ政権は既存の国際分業体制を瞬時に取り壊している。国際社会に強く依存している国と地域の経済にとって深刻なダメージを与える可能性があるが、中国の産業構造はフルセット型のもので、トランプ関税から影響を受けるが、自力更生で生き延びれるため、予想以上に強靭的である。
要するに、二期目のトランプ政権が行っているのは対中国制裁ではなくて、アメリカ第一主義を中心とする多国間関税戦争である。トランプからみると、不公平の関税をすべて正常化しないといけない。それは対中国だけでなく、対カナダ、メキシコ以外に、日本に対しても高関税を課す可能性がある。同時に、EU諸国との関税戦争も勃発している。
実は、トランプの問題意識はすべて間違っているとはいえない。アメリカ一国で世界経済をけん引していく時代がすでに終わったかもしれない。問題は貿易相手国と話し合わずに、いきなり関税を課していることである。その結果、もともと信頼関係ができている同盟国もトランプ政権に対して不信にならざるを得なくなった。トランプ政権が発足して2か月しか経っていないが、国際社会の相互信頼が完全に壊れている。
こうしたなかで、習近平政権はもともとトランプによって制裁されるのを知っていた。かなりの心の準備をしていたはずであり、しかも、当初、60%の関税を課すとトランプが言っていたため、現在、累計20%の追加関税しか課されていない。したがって、習近平政権においては、逆に余裕があるとみるべきである。
トランプにとってカナダやメキシコに対して制裁関税を課すことでは、報復を食らってもそれほど怖くない。しかし、中国との関税戦争で、習近平政権はアメリカから輸入する農産物に関税を課しているため、トランプにとって痛手となる可能性が高い。なぜならば、農家の票を失うと、トランプの共和党は中間選挙で大敗を喫する可能性がある。そうすると、トランプ政権の後半の二年間は法案が通りにくくなる。
なぜ習近平政権にとって二期目のトランプ政権の関税戦争が怖くないのだろうか。要するに、トランプ政権は既存の国際分業体制を瞬時に取り壊している。国際社会に強く依存している国と地域の経済にとって深刻なダメージを与える可能性があるが、中国の産業構造はフルセット型のもので、トランプ関税から影響を受けるが、自力更生で生き延びれるため、予想以上に強靭的である。
要するに、二期目のトランプ政権が行っているのは対中国制裁ではなくて、アメリカ第一主義を中心とする多国間関税戦争である。トランプからみると、不公平の関税をすべて正常化しないといけない。それは対中国だけでなく、対カナダ、メキシコ以外に、日本に対しても高関税を課す可能性がある。同時に、EU諸国との関税戦争も勃発している。
実は、トランプの問題意識はすべて間違っているとはいえない。アメリカ一国で世界経済をけん引していく時代がすでに終わったかもしれない。問題は貿易相手国と話し合わずに、いきなり関税を課していることである。その結果、もともと信頼関係ができている同盟国もトランプ政権に対して不信にならざるを得なくなった。トランプ政権が発足して2か月しか経っていないが、国際社会の相互信頼が完全に壊れている。
こうしたなかで、習近平政権はもともとトランプによって制裁されるのを知っていた。かなりの心の準備をしていたはずであり、しかも、当初、60%の関税を課すとトランプが言っていたため、現在、累計20%の追加関税しか課されていない。したがって、習近平政権においては、逆に余裕があるとみるべきである。
トランプにとってカナダやメキシコに対して制裁関税を課すことでは、報復を食らってもそれほど怖くない。しかし、中国との関税戦争で、習近平政権はアメリカから輸入する農産物に関税を課しているため、トランプにとって痛手となる可能性が高い。なぜならば、農家の票を失うと、トランプの共和党は中間選挙で大敗を喫する可能性がある。そうすると、トランプ政権の後半の二年間は法案が通りにくくなる。
米中首脳会談が模索されるも対立がさらに激化
米中関税戦争がまだ始まったばかりであるが、トランプ大統領にとって主要貿易国との全面戦争になっている。そのなかでとくに中国との関税戦争がこれ以上エスカレートすると、アメリカでインフレが再燃する可能性が高い。したがって、トランプ政権は習近平政権との対話を模索している。
一方、習近平政権も本気でトランプ政権と関税戦争を深めたくないはずである。なぜならば、中国国内経済の回復が予想以上に遅れており、とくに失業率が高騰するなかで、デフレ進行が加速している。2025年2月、消費者物価指数はマイナスに転じ、生産者価格指数は一貫してマイナスで推移している。このままでは、中国経済は回復する可能性が低いだけでなく、トランプ政権との関税戦争により中国経済は一段と落ち込み、社会不安が深刻化する恐れがある。
だからこそ米中は近いうちに首脳会談の実施を模索していると報じられている。トランプと習近平が直接会談すれば、さらなる関税引き上げの可能性は低くなる。ただし、トランプ政権は中国のハイテク企業に対する制裁をこのまま続けると思われる。トランプ政権が中国ハイテク企業に対する制裁を続けるのは中国が脅威とみなされているからである。これは関税とはまったく異なるカテゴリーの議論である。
3月11日に閉幕した全人代で政府活動報告が採決され、大胆な景気対策を実施し、AIなどハイテク技術立国の基本方針が打ち出された。習近平政権にとっての難題は、国内経済についてストックの債務問題や国有銀行の不良債権問題などを急いで対処しないといけないことだ。
同時に、いかに経済成長を押し上げるフローの問題も解決する必要がある。全人代開幕前に、習近平主席は主要大手民営企業の経営者たちを北京に呼び、意見交換を行った。しかし、これで民営企業がどこまで協力してくれるかは未知数である。そのうえ、トランプ政権との関税戦争は中国経済成長を立ちはだかる厚い壁になっている。ハイテク技術立国を掲げる習近平政権にとって、トランプ政権による中国ハイテク企業に対する制裁も中国経済回復を邪魔している。
今後、習近平政権の戦略は対米依存度を徐々に低下させながら、グローバルサウスの国や地域との経済協力をより強化していくだろう。このように考えれば、習近平政権が発足した当初に考案された「一帯一路」イニシアティブは必ずしも間違っていないといえる。
たとえば、アメリカから輸入する農産物(大豆とトウモロコシ)に報復関税を発動しているが、代わりに、ブラジルから代替輸入することができる。逆に、アメリカの農家は中国市場を失って、代わりのマーケットが見つからない。ポストトランプ政権になって、農産物の対中輸出が再開される可能性が出てくるが、それは4年後のことになる。
結論的にいえば、トランプが仕掛けた関税戦争はまだ始まったばかりだが、その勝者と敗者がまだわからない。
米中関税戦争がまだ始まったばかりであるが、トランプ大統領にとって主要貿易国との全面戦争になっている。そのなかでとくに中国との関税戦争がこれ以上エスカレートすると、アメリカでインフレが再燃する可能性が高い。したがって、トランプ政権は習近平政権との対話を模索している。
一方、習近平政権も本気でトランプ政権と関税戦争を深めたくないはずである。なぜならば、中国国内経済の回復が予想以上に遅れており、とくに失業率が高騰するなかで、デフレ進行が加速している。2025年2月、消費者物価指数はマイナスに転じ、生産者価格指数は一貫してマイナスで推移している。このままでは、中国経済は回復する可能性が低いだけでなく、トランプ政権との関税戦争により中国経済は一段と落ち込み、社会不安が深刻化する恐れがある。
だからこそ米中は近いうちに首脳会談の実施を模索していると報じられている。トランプと習近平が直接会談すれば、さらなる関税引き上げの可能性は低くなる。ただし、トランプ政権は中国のハイテク企業に対する制裁をこのまま続けると思われる。トランプ政権が中国ハイテク企業に対する制裁を続けるのは中国が脅威とみなされているからである。これは関税とはまったく異なるカテゴリーの議論である。
3月11日に閉幕した全人代で政府活動報告が採決され、大胆な景気対策を実施し、AIなどハイテク技術立国の基本方針が打ち出された。習近平政権にとっての難題は、国内経済についてストックの債務問題や国有銀行の不良債権問題などを急いで対処しないといけないことだ。
同時に、いかに経済成長を押し上げるフローの問題も解決する必要がある。全人代開幕前に、習近平主席は主要大手民営企業の経営者たちを北京に呼び、意見交換を行った。しかし、これで民営企業がどこまで協力してくれるかは未知数である。そのうえ、トランプ政権との関税戦争は中国経済成長を立ちはだかる厚い壁になっている。ハイテク技術立国を掲げる習近平政権にとって、トランプ政権による中国ハイテク企業に対する制裁も中国経済回復を邪魔している。
今後、習近平政権の戦略は対米依存度を徐々に低下させながら、グローバルサウスの国や地域との経済協力をより強化していくだろう。このように考えれば、習近平政権が発足した当初に考案された「一帯一路」イニシアティブは必ずしも間違っていないといえる。
たとえば、アメリカから輸入する農産物(大豆とトウモロコシ)に報復関税を発動しているが、代わりに、ブラジルから代替輸入することができる。逆に、アメリカの農家は中国市場を失って、代わりのマーケットが見つからない。ポストトランプ政権になって、農産物の対中輸出が再開される可能性が出てくるが、それは4年後のことになる。
結論的にいえば、トランプが仕掛けた関税戦争はまだ始まったばかりだが、その勝者と敗者がまだわからない。
日本はもっと正念場
最後に、日本の通商戦略のあり方について述べておきたい。実は、今の日本経済は分水嶺に差し掛かっている。
まず、脱デフレは道半ばにあるが、世界経済は後退局面にあり、日本経済も再度デフレに陥る可能性がある。
そして、日本企業は中国市場に大きく依存しているが、中国企業の台頭により日本企業の価格競争力が減退しているだけでなく、EVなどの産業について技術競争力も失いつつある。
さらに、トランプ政権に高関税が課される可能性が高く、日本企業の製品輸出の交易条件は一気に悪化する恐れがある。
日本企業を取り巻く外部環境が複雑化するなかで、石破政権は十分に対策を練っていないようにみえる。それに大企業のサプライチェーンの最適化についても、決断が遅れている。日本経済にとってまさに正念場である>(以上「現代ビジネス」より引用)
最後に、日本の通商戦略のあり方について述べておきたい。実は、今の日本経済は分水嶺に差し掛かっている。
まず、脱デフレは道半ばにあるが、世界経済は後退局面にあり、日本経済も再度デフレに陥る可能性がある。
そして、日本企業は中国市場に大きく依存しているが、中国企業の台頭により日本企業の価格競争力が減退しているだけでなく、EVなどの産業について技術競争力も失いつつある。
さらに、トランプ政権に高関税が課される可能性が高く、日本企業の製品輸出の交易条件は一気に悪化する恐れがある。
日本企業を取り巻く外部環境が複雑化するなかで、石破政権は十分に対策を練っていないようにみえる。それに大企業のサプライチェーンの最適化についても、決断が遅れている。日本経済にとってまさに正念場である>(以上「現代ビジネス」より引用)
「やられたらやり返す…!トランプ関税で中国の「景気後退懸念」が高まる中、習近平政権が「強気のワケ」」と柯 隆(東京財団政策研究所主席研究員・静岡県立大学グローバル地域センター特任教授)氏がトランプ氏から関税戦争を仕掛けられた今の習近平氏を論評している。
柯隆氏によれば習近平氏は強気だという。しかし習近平氏が「強気」になる根拠が私には殆ど何も見えない。なぜなら中国経済はGDPを支える三本柱のうち唯一健在なのは貿易だけだからだ。その貿易を直撃するトランプ氏の関税引き上げが習近平氏にとって痛くないわけがないからだ。
今年三月の初旬に終わった全人代で、習近平氏は前年2024年は5%成長の約束を果たし今年も5%の経済成長を確約した。しかし、中国民の殆どは「そんなのは嘘だ」と思っている。なぜなら商都・上海ですらオフィスの空室率は20%を超え、巨大な上海に数ヶ所あるショッピングモールもガラガラだ。
ことに外人の居住区は人影がまばらで、百万人前後の外国人が帰国したという。外国人が中国からいなくなったのも、その主因は中共政府が中国内の外国人を矢鱈と拘束し逮捕するからだ。中共政府は人質を取るつもりかもしれないが、それでは外国人が中国から撤退しても仕方ないだろう。
昨年の外国の対中投資は80%↓で、外国投資家たちが先を争って資金を引き揚げている。当然ながら中国に進出していた外国企業も「損切」をしてでも撤退している。日本のタイヤメーカ・東洋タイヤもブリヂストンに続いて撤退する。中国内に安価なタイヤメーカーが乱立して、東洋タイヤの中国内の販売が落ち込み、今後とも回復する見込みがないという。
かくして中国には粗悪なタイヤばかりが流通して、走行中にタイヤがバーストするのは珍しくない。ロシアに輸出された中国製タイヤが役に立たない代物だと、ロシア国民から不満が高まっている。粗鋼にしても中国は世界需要を上回も生産を行っているが、世界各国に輸出された粗鋼が粗悪だとBRICK諸国の一つブラジル政府が批判している。
中国の製造業発展計画「中国製造2025」の第1段階の目標が設定されている年で、2025年までに「世界の製造強国の仲間入り」することを目標としている。しかし習近平氏が数重兆円を投じて半導体製造を督励していたが、今のところ7nm半導体ですら満足に製造できていない。
兵器開発でも第五世代の米国製最新鋭戦闘機F-35を上回る高性能の第六世代戦闘機を実戦配備していると豪語しているが、ステルス性はもちろんジェットエンジンでも満足な推力を発揮できていない。耐熱特殊合金の開発が上手く行っていないのか、中国製ジェットエンジンは米国製ジェットエンジンの使用可能時間の1/8程度でしかないという。中国は相変わらずナンチャッテ戦闘機しか製造できていない。
柯隆氏はトランプ氏による関税引き上げに、中国は互角に渡り合えて対抗できると論評しているが、中国のGDPを支える三本柱(個人消費、投資、貿易)の唯一牽引力のある貿易までも後退すれば、中国経済の崩壊はさらに加速されるのは明らかだ。いかに穀物輸入(主としてトウモロコシ)をブラジルに切り替えようと、輸出が減少すれば中国の外貨収入が減少して、ブラジルから輸入する穀物の対価に「元」での支払いをブラジルに呑ますことは出来ないだろう。
柯隆氏は「トランプが仕掛けた関税戦争はまだ始まったばかりだが、その勝者と敗者がまだわからない」と米中いずれが勝者となるか様子を見なければわからない、としているが、結果は火を見るよりも明らかだ。
日本の場合は自動車が愁眉の的だが、米国では自動車販売シェアの実に40%を日本車が占めている。それは値段が安いからではなく、故障が少なく燃費も良いことから米国の消費者から歓迎されているからだ。
トランプ氏は「日本人はなぜアメ車を買わない」と憤慨しているが、アメ車が日本の若者の憧れの的だった時代を知らないのだろうか。しかし日本車が性能でも燃費でも良くなったため、アメ車への憧れが消えて、「日本規格」の街並みや駐車場に巨大な車体が合わなくなったため敬遠されているだけだ。今後ともガソリンがぶ飲みのアメ車の需要が高まるとは思えない。
米国へ輸出される日本車に25%関税が課され米国内の販売価格が25%上昇すると、日本車の販売が落ち込は充分に予想される。しかし、日本車に対する根強い需要があるため、落ち込みは一時的なもので、それほど心配することはないだろう。ただ他の輸入消費者物価も高騰するため、米国内でトランプ氏の関税政策に対する批判が高まり、中間選挙も控えているため、関税政策がそれほど長く続くとは思えない。
トランプ氏が気にすべきは貿易赤字よりも、インフレ対策になるだろう。なぜなら貿易赤字は国家金融の問題だが、インフレは米国民の問題だからだ。国は選挙権を待たないが、国民は選挙権を持っている。トランプ氏の高関税政策は長く持って一年半だ。二年後の中間選挙で大敗すれば、トランプ氏はたちまちレイムダックに陥る。中間選挙後の二年間をホワイトハウスでニートを決め込むわけにはいかないだろう。だから、それほど心配する必要はない。