住み良さランキングに見る住民の政治への関心の必要性。

<今回の「住みよさランキング2021」の算出指標は、安心度・利便度・快適度・富裕度の4つの視点からなる20指標を採用しており、前回と比べ算出基準に変更点はない。

 ランキング対象となる自治体については、全国の792市と、都心3区と呼ばれる千代田区・中央区・港区を除いた東京特別区20区の合計812市区。こちらも前回と変更はない。

2年連続「総合評価1位」は石川県野々市市
「住みよさランキング2021」の総合評価1位は、昨年と同じく石川県野々市市となった。野々市市は石川県のほぼ中央に位置し、金沢市と白山市に囲まれた新興都市。金沢駅まで電車で7分の距離にあり、複数の大学が立地している。人口は5.3万人で若いファミリー世代を中心に増加が続いている。
 野々市市における4つの視点の各ランキングは、利便度以外の順位は3桁台であるのに対し、利便度は10位と突出する前回同様の傾向となった。利便度を構成する指標である「人口当たり小売販売額(以下「小売販売額」)」と「人口当たり大規模小売店店舗面積(以下「大型店面積」)」が、ともに偏差値の上限の70を獲得して1位であることから、商業施設がそろう良好な買い物環境があるとうかがえる。また、安心度の順位は181位であるものの、安心度を構成する指標「子どもの医療費助成」(3位)については、外来・入院ともに「18歳の年度末まで所得制限なし」で利用できる。「20~39歳女性人口当たり0~4歳児数(以下「0~4歳児数」)」も高い。
 他の指標では、快適度を構成する「水道料金」、富裕度を構成する「財政力指数」や「1住宅延べ床面積」、「住宅地地価」なども上位にある。

 総合2位になったのは東京都武蔵野市。3位が東京都文京区となり、前回の2位と3位が入れ替わる結果となった。上位3位の偏差値について前回と比較すると、野々市市が前回55.62から55.34、武蔵野市が同55.12から同55.26、文京区が同55.14から同55.13となり、文京区の横ばいに対して武蔵野市がスコアを伸ばしトップに詰め寄った。

 東京23区に隣接する武蔵野市は人口14.7万人、市内の吉祥寺駅周辺には商業施設が多く建ち並ぶ人気の街として知られる。「小売販売額」と「可住地面積当たり飲食料品小売事業所数(以下「食料品小売店数」)」、「人口当たり飲食店数(以下「飲食店数」)」が偏差値の上限の70を獲得して1位。
 また、「財政力指数」や「納税義務者1人当たり所得(以下「個人所得」)」、「住宅地地価」も偏差値が70であり、富裕度に属する多くの指標で全国1位になっている。
 総合3位の文京区は、東京大学など19の大学・短大が立地する文教の街である。東京23区の中心近くにあるが住居系の用途地域が確保されているため住宅の割合が多い。「小売販売額」と「食料品小売店数」がともに1位で、「転出入人口比率」や「汚水処理人口普及率」も上位にあり、利便度と快適度の高さが目立つ。

都道府県別「安心度」では九州勢が強さを発揮
 4視点の上位50位にランクインした市区の都道県別合計を各都道府県の自治体数で割った比率を比較してみた。医療・福祉など安心度では長崎が62%、熊本が50%、鹿児島が42%と九州勢が上位を占める。単純にランクインした市区数合計でも傾向は変わらない。
 安心度を構成する指標「人口当たり病院・一般診療所床数」と「0~4歳児数」では九州勢のスコアが高い傾向にあり、とくに「0~4歳児数」の上位50位には、長崎県と鹿児島県がともに7市ランクインしていた。

 小売店店舗面積や飲食店数などの利便度では、和歌山が22%、東京と富山がともに20%、と際立つものはないが、東京は10市区をランクインさせている。水道料金や気候などの快適度は、神奈川が32%、東京が22%、石川が18%と続き、関東勢が優位のなか石川県が健闘している。
 財政力や納税などの富裕度は、愛知が34%、東京が27%、神奈川が26%、静岡が13%と比率では愛知の強さが際立つ結果となった。市区数合計では東京がトップに立つが、上位3都県の顔ぶれは変わらない。

「住みよさランキング2021」算出指標 
■ランキングの対象
2021年6月時点で、全国にある市と特別区(東京23区)が対象。特別区のうち、千代田区、中央区、港区の3区は対象から除外しており、812市区を対象としている。

■算出指標
「安心度」、「利便度」、「快適度」、「富裕度」の4つの視点から、20のデータを用いて算出。

■算出方法
各指標について、平均値を50 とする偏差値を算出。すべての指標の偏差値を平均したものを「総合評価」としている。偏差値は、特異数値による過度の影響を避けるため、各指標の最高を70、最低を30に調整しており、末尾に※を付した指標は、小→大の順に算出。また、財政力指数、人口当たり法人市民税は特別区を除外して算出している。

A.安心度
(1)人口当たり病院・一般診療所病床数(2019年10月):厚生労働省「医療施設調査」
(2)老年人口当たり介護老人福祉・保健施設定員数(2019年10月):厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」
(3)20~39歳女性人口当たり0~4歳児数(2020年1月):総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」
(4)子ども医療費助成(対象年齢・所得制限の有無)(2021年4月):東洋経済調べ
(5)人口当たり刑法犯認知件数(※)(2019年):各都道府県警察調べ
(6)人口当たり交通事故件数(※)(2019年):交通事故総合分析センター調べ

B.利便度    
(7)人口当たり小売販売額(2015年):総務省・経済産業省「経済センサス活動調査」
(8)人口当たり大規模小売店店舗面積(2020年):東洋経済「全国大型小売店総覧」
(9)可住地面積当たり飲食料品小売事業所数(2016年6月):総務省・経済産業省「経済センサス活動調査」
(10)人口当たり飲食店数(2016年6月)総務省・経済産業省「経済センサス活動調査」

C.快適度    
(11)転出入人口比率(2019年):総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」
(12)水道料金(※)(2021年4月):東洋経済調べ
(13)汚水処理人口普及率(2020年3月):国土交通省、農林水産省、環境省調べ
(14)気候(月平均最高・最低気温、日照時間、最深積雪)(1981~2010年):気象庁「メッシュ平年値データ」
(15)都市計画区域人口当たり都市公園面積(2019年3月):国土交通省「都市公園整備水準調書」

D.富裕度    
(16)財政力指数(2019年度):総務省「市町村別決算状況調」
(17)人口当たり法人市民税(2019年度):総務省「市町村別決算状況調」
(18)納税義務者1人当たり所得(2019年):総務省「市町村税課税状況等の調」
(19)1住宅当たり延べ床面積(2018年10月):総務省「住宅・土地統計調査」
(20)住宅地平均地価(2020年7月):国土交通省「都道府県地価調査」

(注記)
・(1)の病床数は、各市区で算出した値と「二次医療圏」で算出した値を比較し、高い値で偏差値を算出。
・(4)の子ども医療費は、対象年齢と所得制限の有無を東洋経済が指数化して偏差値を算出。
・(7)の小売販売額、(8)の大型店面積は、各市区で算出した値と「東洋経済生活圏」で算出した値を比較し、高い値で偏差値を算出。
・(14)の気候は、月平均最高気温、月平均最低気温、日照時間、最深積雪のそれぞれの偏差値の平均値を採用。




>(以上「東洋経済」より引用)



 東洋経済から「2021住み良さランキング」が発表された。詳しくは東洋経済誌をご購入して頂くしかないが「住み良さ」の概略は引用した通りだ。
 何を「住み良さ」として数値化するかに異論はあるだろうが、暮らしている地域が客観的にどのような地域なのか、改めて「棲めば都」の都度合いを考えてみるのも必要ではないだろうか。

 私の暮らす山口県からベスト10に初めて入った下松市は近隣市町と比較しでも水道料金の安さではダントツだ。一般家庭の平均月額で隣接する周南市が3,742円で全国419位、光市が2,760円で全国73位なのに対して、下松市は1,833円で全国5位だ。しかも子供の医療費は通院が12歳年度末まで、入院が15歳年度末まで無料となっている。
 住み良さ一位の野々市市が通院、入院とも18歳年度末まで▽武蔵野市は通院が15歳年度末まで、入院が18歳年度末まで▽文京区は通院、入院とも15歳年度末まで。3市とも手厚い子育て政策を展開し、押しなべて上位ランキング市は子供医療費の助成を行っている。

 しかし子供の医療費無料化などは本来各地域でバラさつきがあって良いはずがない。国が統一した制度を全国一律に適用すべきで、子供医療費の無料化を各市町村に任せていては都市間格差が拡大するだけだ。
 水道料金も基本的には水系ごと流域ごとに統一されるべきだが、実際は平成の大合併により大規模市の料金に統一されてしまった地域が多いのではないだろうか。水系的にいうなら光市と周南市熊毛地区は同じ島田川水系だ。浄水場も同一の施設を利用している。ただ周南市となっただけで高い水道料金を適用されている。それも住民が選択した合併の結果だといえばそれまでだが。

 住み良さランキングを改めて見てみると、都会が必ずしも高評価点を獲得しているわけではないことが分かる。5位にランクしている倉吉市(鳥取県)などは大都会ではない。むしろ簡素な田舎町といった風情のある市だ。そうした所が5位にランクしていることから日本人の感性の健全性が窺われる。
 摩天楼が聳え立ち、大勢の人が行き交う街が必ずしも住み良い町ではない。それは齢評価のA安心度で評価される点が住み良さに大きく関係しているようだ。するとある程度住民の意識が行政に反映されれば「住み良さ」が向上する可能性がある。民主主義は政治の結果も、地域の住み良さも、住民の政治的意識と無関係ではないことが良く解る。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。