医薬品の規制緩和の結果、医薬品不足に陥り、国民は命の危険に晒されている。

<今、病院で処方してもらう処方薬が市場から一気に消え始め、調剤薬局や医薬品卸が薬を求めて走り回る大騒動が起きている。連日製薬会社から、医薬品回収や欠品、出荷調整(オーダー休止)情報が相次いでいるのだ。
 代替品の確保さえ対応不可能な医薬品も出てきている。全体の状況を正確に把握することも困難なほどに、流通が混乱している。医療品卸や、医薬品流通情報会社らの話を総合すると、現時点で約2560品目にも上る医薬品が回収や欠品などに陥っているという。前代未聞だ。

 異変の切っ掛けは、2020年12月4日に起きた事件だ。ジェネリック医薬品メーカー「小 林化工」製の抗真菌薬「イトラコナゾール錠」に、強い催眠作用がある劇物「リルマザホン塩酸塩水和物」が大量に混入し、小児から高齢者までの重篤な事故や、死者も含む多くの被害患者を出してしまった。
 この一件は大きく報道され、小林化工には業界史上最長の業務停止処分が下った。同社の約500医薬品の回収が発生、出荷が停止。6月5日にようやく業務停止期間が終了したものの、あまりに杜撰だった体制の改善は容易ではなく、いまだ業務再開の見通しが立っていない。

 だがこれは発端に過ぎなかった。医薬品の品質管理の見直しが急務となり、他社の医薬品の事故や品質問題も次々明るみに。これにより、さらに回収や出荷停止が相次ぐ展開となった。この煽りで先発オリジナル医薬品を含む代替薬品への注文が殺到、約半年分は各社で保持するとされる在庫も枯渇、玉突き状態で医薬品不足の「緊急異常事態」に陥った。
 ある大手薬局チェーンの担当者は悲痛な声でこう漏らす。
「毎日回収の情報があり、卸も薬局も対応に追われ大混乱で、経験した事がないレベルの事態です。そのうえ、オリンピック開催によって、観客や選手の新型コロナ感染だけではなく熱中症などでも医薬品の需要が増えたら、とてもじゃありませんが耐え切れそうにない。命に抱わる深刻な健康被害も起きかねない」

 特に、東京五輪・パラリンピックの開催については、みな不安を隠せない。ある医薬品卸の関係者もこう語る。
「安定確保医薬品と言って、その医薬品が無いと命の危険に直結し、かつ簡単に代替の効かないような薬を、6月1日に厚生労働省がリストアップしたところです。全部で506成分あって、特に優先度が高いものだけで21成分。この中で新型コロナ治療やワクチン副反応対応で対処療法として使う可能性があるものが13成分ほどあります。また現在流通に問題があったり、製薬会社の出荷に不安があったりして、特に心配なものが18成分はある。オリ・パラで多くの人が集まって新型コロナがまた流行したり、何か大きな事故があったりしたら、既に現段階で逼迫しているのですから、あっという間に命に直接関わる医薬品の供給がストップするかもしれません。その時にはもはや地域や、薬の内容は関係なく、日本中大混乱になりかねません。絶対起こしてはならない恐ろしい事態です。医薬品業界としては、昨年より今年の方が危ない状態なんですよ。なのに命がけで綱渡りをする必要があるでのでしょうか」

小林化工は売り上げ約3倍増
 数々の薬局チェーンや卸を取材するも、どこも悲鳴ばかりだ。薬剤師会も、厚労省にこの異常事態の改善を求めている。
 厚労省の医政局経済課は本件の取材に対し、事態を「把握している」と答え、製薬会社が品質や安定供給を担保すべきことを前提とした上で、「原薬・原材料の国内製造の支援」をし、「医療上必要不可欠であって、汎用され、我が国の安全保障上にも、安定確保上特に配慮が求められる医薬品については、順次供給確保に向け対策を講じる」と答えた。

 この異常事態は、国内のジェネリック薬品の品質管理が「呆れるほど杜撰」だった事に始まる。
 安倍前政権の指示により、規制緩和の旗の下、先発オリジナルの薬品からジェネリック薬品へ置き換えが一気に加速した。馴染みの薄かったジェネリック薬品を、2020年までに80%をシェアにするよう政策がとられ、ほぼこれを実現している。ジェネリックは一気に約3倍の増加だ。市場は急激に変化したものの、製薬会社の対応はそう簡単ではない。本来専門性が必要な工場や人員を追加しようにもとても追いつくスピードではない。一方でシェア争いは熾烈を極め、品質管理が後回しになった格好だ。

 混乱の発端の事件を起こした小林化工もこの期間に約3倍売り上げを伸ばし、内部留保も700億円を超え、大手製薬会社に引けを取らない規模に成長。どうやら品質勝負ではない戦いをしたようだ。同社の第三者委員会の報告によると、劇薬の保管庫にも鍵をかけず、法に基づく規定通りの製薬工程や品質チェックをせず、記録の残らない手作業を交えた方法で材料を投入していた。トラブルは隠蔽された。事故は起きるべくして起きた。こうした呆れるほどの杜撰管理によって、出荷スピードをあげ、シェアを伸ばしたのだ。

 小林化工は、実はオリックスグループの一員。本来医業と関係の無いリース業の会社が、M&Aで傘下にした形だ。安倍政権下で、ジェネリック薬品への置き換えを一気に加速させる規制改革の本丸となったのは、日本経済再生本部だった。その民間議員である竹中平蔵氏は、オリックスの社外取締役だ。
 医薬品の規制緩和の結果、医薬品不足に陥り、国民は命の危険に晒されようとしている。この状況でオリンピック強行は狂気の沙汰だ。命より優先させるビジネスなど許されるはずがない>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)




 引用した記事は桜井杏里氏(ジャーナリスト)が執筆したオリンピック開催に対する渾身の警告文だ。国民は気付いていないが、薬品業界では医薬品供給が明日にも絶たれはしないかと気が気ではないという。現に、ワクチン接種の影響でロキソニンなどの消炎鎮痛剤やバッファリンなどの解熱薬が薬局店の棚から姿を消したとニュースになった。
 これも「構造改革」の影響だという。引用記事によると「安倍前政権の指示により、規制緩和の旗の下、先発オリジナルの薬品からジェネリック薬品へ置き換えが一気に加速した。馴染みの薄かったジェネリック薬品を、2020年までに80%をシェアにするよう政策がとられ、ほぼこれを実現している。ジェネリックは一気に約3倍の増加」したが、そのために製造ラインに従事する労働者の質が低下してしまったそうだ。その典型的な影響が昨年12月に起きた「ジェネリック医薬品メーカー「小 林化工」製の抗真菌薬「イトラコナゾール錠」に、強い催眠作用がある劇物「リルマザホン塩酸塩水和物」が大量に混入し、小児から高齢者までの重篤な事故や、死者も含む多くの被害患者を出してしまった」。

 記事の「混乱の発端の事件を起こした小林化工もこの期間に約3倍売り上げを伸ばし、内部留保も700億円を超え、大手製薬会社に引けを取らない規模に成長。どうやら品質勝負ではない戦いをしたようだ。同社の第三者委員会の報告によると、劇薬の保管庫にも鍵をかけず、法に基づく規定通りの製薬工程や品質チェックをせず、記録の残らない手作業を交えた方法で材料を投入していた」という部分から問題の深刻さが良く解る。
 製薬業界の地殻変動というべく「(ジェネリック)市場は急激に変化したものの、製薬会社の対応はそう簡単ではない。本来専門性が必要な工場や人員を追加しようにもとても追いつくスピードではない。一方でシェア争いは熾烈を極め、品質管理が後回しになった格好だ」と、早い変化に製薬会社の人材育成や企業体質の向上が追い付かなかったようだ。

 テレビでもジェネリックを使おう、と黒柳氏を使ったコマーシャルが頻繁に流れていた。しかし人材育成は促成化は出来ない、いや人材だけではなく「この異常事態は、国内のジェネリック薬品の品質管理が「呆れるほど杜撰」だった事に始まる」とあるように、製薬会社としての企業体質の向上こそが図られるべきだった。
 理論上は薬の原材料と生産工程が整えば薬は製造できる。しかし製薬のために必要なモラルの涵養は理論ではない。長年の経験や慣習によって保持されるものだ。たとえば鉄道職員が習慣のように「指差し確認」を行うように、安全確保が体に染みついてこそ「安全確保」が高レベルで維持されるのだ。

 世の中が大きく変化する時、それが「世論」だと思わせる仕掛けを演出する演出家がいる。その演出家が政界と経済界を股にかける人物だとしたら、途端に政治がキナ臭くなる。
 あるいは、と思ったら引用記事の最後の章でカラクリが明らかになった。ここにも安倍-竹中ラインが顔を出した。「小林化工は、実は本来医業と関係の無いリース業の会社が、M&Aで傘下にしたオリックスグループの一員」で「安倍政権下で、ジェネリック薬品への置き換えを一気に加速させる規制改革の本丸となったのは、日本経済再生本部」だったが、「(日本経済性本部の)民間議員である竹中平蔵氏は、オリックスの社外取締役」という構図だ。

 時には経済学者の顔を使い、時には政府委員として政策に強い影響を与え、そして時には企業経営者や社外取締役として暗躍する。竹中氏は飛んでもない「政商」だ。彼こそ日本社会を破壊し、日本を喰い物にするグローバル化の先兵だ。
 桜井氏は「医薬品の規制緩和の結果、医薬品不足に陥り、国民は命の危険に晒されようとしている」と異常な議医緩和策が廻り回って国民の健康や命を危険に晒していると告発する。そして「この状況でオリンピック強行は狂気の沙汰だ。命より優先させるビジネスなど許されるはずがない」と菅自公政権の闇雲にオリンピック開催へと突き進む姿勢を批判している。

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