自粛要請には手厚い給付金の支給を。

新型コロナウイルスの感染者のうち、症状の軽い人らを受け入れる宿泊施設の確保が課題となっている。7月の感染拡大局面では、沖縄や東京など準備が追いつかない自治体もあり、自宅で療養する人は2週間で3.8倍に膨らんだ。家庭内感染を防ぐためにも、受け皿の強化が欠かせない。
厚生労働省によると、7月29日時点で自宅で療養する感染者は全国で1686人。2週間前の436人から3.8倍となり、第1波のピークだった4月28日時点の1984人に近づいている。
予想を上回る感染者増に、対応が間に合わなかった自治体もある。7月31日に独自の緊急事態宣言を出した沖縄県は、同30日に那覇市内のホテルで60室を確保するまで軽症者向け宿泊施設はゼロだった。8月4日時点でも250人以上の療養先が決まっておらず、玉城デニー知事は「新たな選択として自宅療養も導入していく」と説明する。
東京都内には現在、約1260人分の収容能力があるが、利用者は4日時点で442人。業務が再び逼迫する保健所では調整や事務手続きに時間がかかったり、本人が望まなかったりして宿泊施設への橋渡しが円滑に進まず、都が入院・療養先を「調整中」とする人は900人以上いる。
愛知県は「1300室分の受け入れ能力がある」とするが、現時点で開所するのは同県東浦町の県施設にある63室のみだ。3日時点で1097人が自宅療養し、自宅療養か宿泊施設に入所するかなどを調整している人も約120人いるという。
軽症者や無症状者は自治体が借り上げた施設で療養するのが原則だが、厚労省は6月、解除基準を従来の「14日間」から「10日後」に変えた。例えば、発症から5日後に陽性と診断された患者の場合、保健所が調整に2日かければ、宿泊療養の期間は残り3日になる。既に7日間、自宅で過ごした患者が「短期間ホテルに移るぐらいなら、自宅のままでいい」と拒む例もあるという。
ただ、自宅療養が増えると家庭内の感染リスクが高まる。感染経路が判明した都内の感染者のうち7月28日~8月3日の1週間に確認された「家庭」関連の感染は246人で「夜の街」を上回って最多だった。
国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は、家庭内感染を防ぐ手段としての宿泊施設の役割を強調しつつ「食事の提供など、運営に多くの職員が必要で自治体の負担は多く、患者にとっても10日間程度は施設を出られないなどハードルは高い」と強調。「運営の効率化や入所期間の短縮など、負担を軽減する取り組みも求められる」と話している。
■国内感染4万人超す 重症者割合、第1波の5分の1
国内では4日、新型コロナウイルスの感染者が午後9時までに新たに1230人確認され、累計は4万747人となった。増加ペースは早いが、重症者の割合は第1波の約5分の1にとどまる。
東京都では4日、新たに309人の感染者が確認された。大阪府では193人、愛知県では120人の感染が確認された。緊急事態宣言中の4月18日に累計1万人に達し、82日後の7月9日に2万人を突破した。その17日後の7月26日に3万人を超え、さらに9日で4万人になった。
足元の感染者の約6割は20~30代の若年層だ。重症化リスクが高い60代以上の高齢者は第1波が31.1%いたのに対し、現在は11.6%だ。重症者の割合は5月7日の5.1%から7月29日には1.1%に下がった。
重症者が少ない背景として東北医科薬科大の関雅文教授(感染症学)は「コンピューター断層撮影装置(CT)で患者の胸部に特徴的な様子がみられると分かり、診断しやすくなった」と指摘。抗ウイルス薬「レムデシビル」やステロイド薬「デキサメタゾン」など「一定の効果が認められた薬が出てきて、医師が自信を持って対応できている。治療に慣れたことも関係している」とみる。
ただ医療機関や介護施設などでクラスター(感染者集団)が起きれば、重症者が急増する事態も想定され、備えを緩めることはできない>(以上「日経新聞」より引用)



 武漢肺炎の感染拡大が地方へと波及している。単位人口当たり感染者数でみれば沖縄が感染爆発を起こしている。
 沖縄県がホテルなどの軽症者用の隔離施設を確保していなかったとして、菅官房長官が批判したが、沖縄県は夏の観光シーズンを迎えてホテルを県が借り上げるのは困難だ。むしろ国こそが国の研修や療養などの施設を沖縄県に隔離用施設として貸与すべきではないか。

 地方自治体は感染の波が東京から地方の大都市へ、地方の大都市から地方へと拡散していくにしたがって、隔離用の施設が逼迫している。自宅療養患者が増えるにつれて、自宅内感染が問題になっている。
 しかし、そもそも指定感染症の患者は「隔離施設」に隔離することになっている。自宅療養を推奨しているものではない。国は全国にゴマンとある国の各種施設を隔離病棟として地方自治体に貸与すべきではないか。

 さらに現在のPCR検査態勢では到底すべての感染の疑われる人たちを検査できるようになってはいない。ただ朗報として「重症者が少ない背景として東北医科薬科大の関雅文教授(感染症学)は「コンピューター断層撮影装置(CT)で患者の胸部に特徴的な様子がみられると分かり、診断しやすくなった」と指摘。抗ウイルス薬「レムデシビル」やステロイド薬「デキサメタゾン」など「一定の効果が認められた薬が出てきて、医師が自信を持って対応できている。治療に慣れたことも関係している」とみる」との報道があることだ。
 そしてウィルスは感染して侵入したヒトが死亡すればウィルスも死滅することから、強毒のウィルスは自然と淘汰されて、毒性の弱いウィルスだけが感染するようになる、という自然界の掟がある。上記記事のように医療機関の対応が経験を重ねることにより重症化を抑えているのも確かだろうが、ウィルスそのものの弱毒化への変異があるのも自然の摂理だ。

 今しばらく「検査と隔離」を拡大して、嵐のような武漢肺炎の感染拡大を抑え込んでワクチンと特効薬の開発を待つしかない。経済を回すのはそれからのことではないか。中途半端な「GO TOトラベル」などの措置は却って感染拡大を後押しすることになって、経済を回すどころではなくなっている。
 「急がば回れ」だ。そうした感染拡大をしっかりと抑え込むまで、政府・厚労省は徹底した「検査と隔離」をおこない、経産省は持続化給付金の手厚い支給を実施すべきだ。給付金詐欺をお縄にするのは、武漢肺炎の感染を抑え込んでからでも遅くはない。まずは給付金を切れ目なく出すことだ。

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