武漢肺炎を乗り越えよう。

新型コロナウイルスの感染が世界的に広がり、各国で入国制限や移動の制限をかける動きが相次いでいる。日本政府は9日午前0時、感染が広がる中国と韓国からの入国を制限する措置を一斉に発動した。第三国経由も対象とする。イタリア政府は8日、経済都市ミラノを含む北部を広範囲に封鎖する措置に踏み切った。移動制限が拡大すれば企業活動や物流にも影響し、世界経済の失速にもつながりかねない。
日本は9日午前0時から中国と韓国からの入国を制限した。同時に、中韓で発給済みのビザ(査証)の効力を停止した。中韓からの入国者は自宅や宿泊施設などで2週間待機するよう要請する。主に中韓に滞在中の日本人が対象になる見込み。いずれも3月末日までとしているが、感染の状況次第で更新する。新しいビザの発給も原則停止する見通しだ。
厚生労働省は8日までに、日本人を含む中国や韓国からの入国者に2週間の待機を要請する政府方針について、第三国を経由して入国する場合も対象とすると明らかにした。6日に政府が入国制限を閣議決定した後、同省は「対象外」としていたが、方針を転換した。
欧州で新型コロナウイルスの感染拡大が最も深刻なイタリア政府は8日、ミラノを含む北部の広範囲で封鎖に踏み切った。ミラノがあるロンバルディア州全域と、観光名所のベネチアを含むベネト州の一部などから他地域への移動を制限する。
4月3日まで原則として対象地域との出入りができなくなり、約1600万人が影響を受ける。イタリアの人口の約4分の1に当たる。同国で新型コロナに感染した死者は233人にのぼり、世界で2番目に多い。
米国でもニューヨーク州のクオモ知事が7日に州内の新型コロナウイルス感染者が急増したことを受けて非常事態を宣言するなど影響が広がっている。7日には、トランプ大統領も出席した政治集会での参加者1人の感染が明らかになった。
中東サウジアラビアも中国や韓国、イタリアなどを対象に入国を停止した。ニュージーランドは過去2週間に中国とイランに渡航歴のある外国人の入国を禁じた。韓国の報道によると、アフリカのモーリタニアやブルキナファソが新たに韓国からの入国を制限した。
南米でも警戒は強まる。アルゼンチンでは新型コロナウイルスに感染した同国人の男性が7日、首都ブエノスアイレスの病院で死亡した。中南米で初の死者となった>(以上「日経新聞」より引用)



 武漢肺炎を機に世界が反・グローバル化の流れになった。国境を超えた「ヒト モノ カネ」の自由な流れこそがグローバル化の象徴だったが、まず移民や難民の大量流入により欧州諸国で反・グローバル化の波が起き、英国がEUから離脱した。
 米国ではトランプ氏が国際分業でラストベルト化した中部工業地帯の白人たちの不満を背景に「米国ファースト」を叫んで大統領に登場した。そして現在、武漢肺炎により世界は人事交流の停滞を余儀なくされている。

 世界経済もグローバル化で享受してきたGDPも減速せざるを得ないだろう。国際分業から撤退して、国内でサプライチェーンの再構築を余儀なくされる「国際企業」も出て来るだろう。
 そうしたグローバル化の恩恵を最も多く享受してきた中国が受ける武漢肺炎の影響は甚大なものになるだろう。それは中国経済が現在陥っている操業低下だけで終わるものではない。たとえ武漢肺炎が終息しても、武漢肺炎以前の中国に戻ることは決してないだろう。なぜなら具体的な「中国リスク」を経験して、それでも武漢肺炎以前の国際分業体制を維持しようとする能天気な経営者はいないからだ。

 これまでも中国へ進出した世界各国の企業経営者たちは中共政府の横暴な「統制経済」と我慢して付き合ってきた。それは中国へ進出することで手に入れられる「低廉にして豊富」な労働力という負の面を補って余りある魅力があったからだ。しかし、低廉な労働力という魅力は労働者賃金の上昇により殆どなくなった。
 そして現在、残っているのは中共政府の横暴な「統制経済」という負の面だけだ。企業経営者たちは武漢肺炎を機に世界で展開してきたサプライチェーンを今一度総点検する必要に迫られている。

 世界史上で人類の存在を危機に陥れて来た数々の感染パンデミックを起こしてきたウィルスも、時間の経過とともに宿主となる人類を殺してしまっては元も子もないことに気付いて、人類と共存する形をとるようになってきた。
 武漢肺炎も人類との共生関係のあり方を学習して、ウィルスとしての生き残り戦略に移行すると思われる。新型インフルエンザもいつの間にか季節で流行するインフルエンザになってしまったように。

 これまでの数々の世界的な大流行を起こした感染症がそうであったように、武漢肺炎も感染初期から急傾斜の曲線を描く大流行期を経て、なだらかな下降曲線を描いて終息へと向かうだろう。その曲線の山がいつになるのか、まだ予断できないか、いずれ感染患者の増加の勢いも鈍化する。
 それまでの間は武漢肺炎の宿主となるヒトの移動を制限するしかない。武漢肺炎に感染しないことが武漢肺炎を抑え込むことになるからだ。たとえ日本人が他国によって入国制限されても、それを以て日本排斥だと捉えてはならない。武漢肺炎の感染拡大を止める最善の方法はウィルスの宿主となったヒトを入国させないことだからだ。

 グローバル化を推進してきた連中が世界各国の経済人にグローバル化の魅力を説く最大の武器が国際分業論だった。それは確かに生産拠点を海外移転させた企業に短期利益の最大化をもたらしたが、その反面、国内雇用の喪失と労働賃金の低下を招来した。
 物事には必ず表裏二面がある。良い面と悪い面だ。企業経営者はグローバル化で「利益の最大化」という釣り餌に目が眩んで、企業の社会的責任を失念してきた。つまり企業が寄って立つ「土地、人、資本」の三原則の人を他国に求めるリスクを忘れた。武漢肺炎により企業経営者の社会的責任に気付き、国内回帰の機運が出れは、それこそが武漢肺炎がもたらす唯一のメリットだ。

 人は犠牲者が出なければなかなか観念でリスクを理解することは困難な生き物のようだ。それだけ現代人類は未開な段階にいる、ということなのだろうか。

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