年金まで「秘書」任せにして、知らないと答弁する国会議員が国民の代表か。

麻生太郎金融担当相は14日の衆院財務金融委員会で、自身が年金を受給しているかどうかについて「秘書に任せている。任すと言った以外、正確な記憶がない」と述べた。立憲民主党大串博志議員の質問に対する答弁。

 麻生氏は、質問が通告にはなかったと弁解。その上で「年金がいくら入ってくるか心配したことがあるか、自分の生活として心配したことがあるかというとございません」とも話した。

 大串氏は「さすがに通告しなくても即座に答えると思って聞いた。自分の年金がいくらになるのかみんな考えている」と追及した>(以上「共同通信」より引用)


 麻生氏が自身の受け取る年金に関して「秘書に任せている、いくら貰っているか知らない」と国会で答弁したという。国会議員の秘書とは、かつての執事と同じものなのだろうか。議員の個人的な年金の受け取りまで管理するものなのだろうか。
 もちろん公設秘書に国会議員の私的な年金まで管理させてはいないだろうが、いかに「私設秘書」といえども麻生氏が受け取る年金を管理させているとは非常識ではないだろうか。そうした人物が国民の年金生活者に貯金が2,000万円必要だ、という議論が馴染まないのは当然といえば当然だ。

 国民目線で政治を行う、というのなら年金受給年齢に達した国会議員は年金だけで半年くらい生活してみてはどうだろうか。そうすれば年金が「現役時代の収入の50%を確保する」ものだと答弁した小泉氏の「年金100年安心」が、いかに荒唐無稽なものか理解できるだろう。
 つまり年金は現役当時の収入の50%を保障するものだ、というのなら高給取りだった者は年金生活も高給取りで、派遣労働者は年金生活も派遣生活の半分程度という極貧生活を送れ、ということだ。

 現役時代は能力に応じて収入に格差があるのは「自由主義社会」の有り様だ。しかし現役を退いた社会保障としての年金受給生活にまで現役時代の格差が持ち込まれる、というのは「自由主義社会」の社会保障たる年金の有り様とは反する。それは格差の維持、という利権主義社会の考え方でしかない。
 社会保障は「負担は応能で、支給は一律」というのが大原則だ。年金生活では国民が一律同額な年金で生活するのが大原則だ。国民年金は一階建ての基礎年金だから生活保護費以下で良い、という論理は年金が確立した当時の1960年前後にそうした発想はなかった。ただ現在の公務員等が受給する「共済年金」が「恩給」という名で特別に存在していた。当時、恩給は公務員等で12年以上掛け金を支払えば受給資格がもらえる、という「特別待遇」だった。つい最近まで国民年金などの他の年金受給資格は20年以上掛け金を支払っていなければ受給資格はなかった。いかに「差別的」だったかお解りだろうか。公務員は自分たちの貰う「恩給」に関しては「お手盛り」を当時からしていた。グルとなって恩給制度を維持してきたのが10年以上の掛け金で受給資格が貰えた議員年金の「国会議員」たちだ。

 国会議員の「お手盛り」は公務員の「お手盛り」を黙認する装置でしかない。地方議員も含めて、議員と称する連中の報酬が高額なのも、公務員給与が高給であるための装置でしかない。議員報酬が低額で議員が極貧生活を送っていれば、公務員の「俸給」も高額なら議員からメスを入れられる心配がある。だから議員報酬を労働種賃金よりも高額にしていれば公務員の平均労働者賃金よりも高額な「俸給」が問題になりにくい。いずれも「税金」から支給される同じ穴の狢だから、チェックが働かないようにしている。
 国会議員のトップともいえる派閥の会長で財務大臣まで務める麻生氏が「年金は秘書に任せている」というのなら、さっさと引退して、国民の年金生活者がいかに極貧生活を送っているか体験してはどうだろうか。もちろん年額400万円以上が保障されている国会議員年金は辞退して頂くのが前提だ。そうすれば国会議員の加入年金制度は国民年金だから生活保護費以下の暮らしを楽しんでいただけるだろう。ただ、麻生氏は麻生セメントなどの大企業の社長などを勤めていたため高額給与の50%を保障する厚生年金に加入していたと思われるが。

 有権者はこのような大金持ちを国会議員などに選んではならない。そして年金は秘書に任せているから私は知らない、などと答弁して恥じない厚顔無恥な人も選んではならない。それは自らの首を絞めることでしかないからだ。
 国民目線というのなら、各議員は等しく労働者賃金の平均額を議員報酬とすべきだ。地方議員報酬が少くなく、国会議員報酬が多いという常識は捨て去るべきだ。そうして報酬格差を設けることで上下関係を意識付けようとするのは階級社会当時の残滓でしかない。
 かつて参議院は「貴族院」と呼ばれていた。日本にも貴族がいた。しかし戦後民主主義により貴族階級はすべて一掃された。地方議員と国会議員と議員間の格差も一掃すべきだ。高額なギャラを手にしているタレントやお笑い芸人が自分たちの仲間だと意識している国民のバカさ加減と何ら変わらないことを、有権者は認識すべきではないだろうか。

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